ナイツ・オブ・ラストブリッジ

この橋は絶対守りきってみせる!
主道 学
主道 学

公開日時: 2023年9月24日(日) 00:05
更新日時: 2024年2月28日(水) 06:41
文字数:1,160

   轟々と音のする水の流れの中に俺は居た。息継ぎもできずにもがくだけだった。水の流れは激しく。目を開けた俺は元居たところから、数メートルは流されていることがわかった。


 その時、背中に鈍い音と共に痛みが走った。

 何か固いものに背中があたったようだ。俺は必死にその固いものを両手で掴んだ。どうやら、触ってみて見た感じは、それがボートのようだということだった。


 必死にボートのようなものにしがみつく。

 ボートはゆっくりとだが前進していた。


 肩にオールがぶち当たりそうだった。

 息が苦しかった。必死にボートから身体を少し離して、上へと泳いだ。


 どうしても息継ぎがしたかった。

 いや、生きたかった。

   

「ぷはっ!!」


 俺はどうやら、海面に顔を出せたようだ。辺りは海に囲まれ、遥か上空には一本の橋が掛けられていた。


 かなり長い橋だった。


 その橋の向こうに綺麗なお城があった。

 俺にはドイツのノイシュバンシュタイン城を思い起こさせた。


 あれ?

 そういや、俺はいじめのリーダーに向かって、確かなんか叫んだんだよな??

   

 ???


 なんで、こんな海の中に?? 

 独りだけで??

 

 さ、寒いし!

 心細いし!


 一体! 俺が何したっていうんだよーーー!!


 しばらくボートにしがみついていると、前方に海中に沈む石の城壁が見えてきた。そこまで泳いで、息継ぎのため城壁を伝って海面まで泳いだ。


「ぷはっ!」


 ようやく水の中から顔を出すと、目の前の城壁に上の橋へと繋がる大きな梯子が付いていた。 


 うわーー!

 長いなあ……。


 よし!

 俺は学校では陸上競技会にでたほどの実力者だ。

 体力には自信がある!


 城壁の背に伸びた梯子を登り切ると、そこは青い色の鎧と普通の鎧を着た大人たちが戦っていた。でも、少し違った。その中には白い鎧の少女が戦っている。


「あ、危ない!!」


 俺は咄嗟に少女を脇にどけた。

 途端に一本の矢が飛んできて、少女のいたところの地面に突き刺さった。石造りの橋の地面にヒビが入ったが、少女は俺の顔を見てプッと笑って「そんくらい鎧で弾けるわよ」と言った。


 よ、鎧?!

 ここは、どこなんだ?!

 何故だ!

 

 な、なんで?

 言葉が通じるんだ?

 見たところ外国人のようだけど……。

 

 でも、女の子が無事で良かった。


 俺はホッとすると同時に尻込みした。

 少女が気合いと共に長剣を振り回して、大勢の戦いの間へと突っ込んでいったからだ。

 

 ここはどこだ! 

 お、俺に……どうしよっていうんだ!

 なんだか。こ、ここ、怖いぞ!


 まるで、戦争の最中みたいだぞ!


 徐々にだが、土煙を上げて戦っている連中がこちらに近づいてきた。よく見ると、橋の向こう側の人たちは青い鎧で、こちらの城側の人たちは普通の鎧だった。どう見ても、多勢に無勢だった。城側が圧倒的に不利だ。そして、あの少女だけ白い鎧かと思ったが……。


 突然、一人の青い鎧の男が俺に斬りかかってきた。咄嗟に足に力を入れて後ろへ逃げる。


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