ライラックは一度倒しているから、俺と神聖剣なら太刀打ちできるはずだ!
「昔、世界中を戦火に巻き込む大戦争を起こした。クラスド・エドガーという暴君が治めていたことでも、有名な国なのよ。非常に好戦的なところもあるの。敵に回すと最悪な国。そう、今は深刻な食糧難で、グレード・シャインライン国が狙われているけれど、本当はどこの国でも良かったのかも知れない……」
「うへえええ」
武力行使好きな国って意味なのか?!
「鬼窪くん。もうすぐ橋の上よ。準備はいい? 猪野間さんもしっかりと身を守ってね」
「わかった」
「よっしゃあ、行こうぜ! 降りようぜ!」
北の大地から凄まじい地鳴りを発し、白と騎士の国の白いフルプレートメイルの兵たちが、ラピス城の橋へとまるで白い大波のように押し寄せてくる。ざっと見てもその数。3万の大軍だった。
白い軍団。
その軍団には騎馬兵隊や戦車隊などもいる。
「ラピス城の戦力は?? マルガリータさん?」
「こちらは、せいぜい騎士団が100人ぽっちの兵数ね。後、ナイツオブラストブリッジがいるだけなの。なので、もう壊滅状態よ」
「そう……よく、今まで城を守れたわね……」
猪野間は感心と呆れた顔が同居した顔をした……。
俺は橋へとマルガリータの箒から降りると、全滅した騎士団の先頭で神聖剣を抜いた。
怒号が橋のすぐそこまで来ていた。
一体。一体の兵は千騎士だからとても強いんだ。
だから、こうなりゃ、こっちは高火力戦だ!!
鋼雲剣をこれでもかって、ぶっ放してやるぞ!!
「よし! この橋は絶対守りきってみせる!」
「鬼窪くん! 無茶よ!!」
「一人で戦える相手じゃないわ! 鬼窪くん! 私の魔法でも効かないはずだから、ここはお師匠のブレンドファイアで……お師匠は今、ラピス城の自室にいるから呼んでくる!」
???
な、なんで。
ヒッツガル師匠はラピス城の自室で待機しているんだ??
あ、そうか……。
ヒッツガル師匠は魔法方向音痴だった……。
3万の白の大軍が橋の目と鼻の先の森から姿を現してくる。
進軍から発する地響きが、ラピス城の橋を襲う。
全員。隙がまったくない!
よく。いや、凄まじさを覚える程の訓練をしている兵だった。
兵卒でも、一騎当千の騎士。
千騎士。
「うおおおーーー!! くらえ!」
「大型集団転移魔法!」
「へ??」
俺は神聖剣を構えて、突撃しようとしたが、声の方を向くと……。橋の上には、サンポアスティ国の兵たちの大軍が眩い光の中から現れた。
一瞬にして、ラピス城の橋はその大軍によって、埋め尽くされる! 上空にはサーフィンに乗ったサンポアスティの兵たちも、空を埋め尽くすほどに現れた。
大軍の先頭には、アスティ女王と……西田がいた。
「へ?? 西田??」
白と騎士の国の軍へ、サンポアスティ国軍の銃弾の一斉射撃が始まり。サーフィンに乗ったサンポアスティ国軍の兵隊が突撃する。
二大強国の激突の中に、俺は鋼雲剣を放つ。
「うっりゃああああーーー!! くらえーーー!!」
サンポアスティ国軍の一斉射の発砲音とマルガリータの魔法と、神聖剣の光速の光の束は、凄まじい轟音を発し、白と騎士の国の軍に向かった。
「あ! ……あれ??」
「あ……!」
大軍の進撃が止まった。
多くの千騎士たちは倒れだした。
だが、神聖剣の光の束もサンポアスティ国軍の激しい銃撃もマルガリータの魔法も……先頭にいる一際目立つ白馬に乗った千騎士の鎧には、跳ね返るだけだった……。
「な……なんだ? あの白い騎士は??」
鋼雲剣を受けても。
む、無傷??
俺は戦慄した。隣へ駆けて来た猪野間は刀を抜いた。
「むむっ! その人……あの四大千騎士の一人のはずよ! 確か……名前は……名前は……あ!」
そして、猪野間は硬直した。
魔法を唱えるのを止めたマルガリータが箒を抱えながら、口を抑えた。
「嘘! あの顔! クラスド・エドガーだわ……」
え?
クラスド・エドガーって??
昔の人……おじいさんなのか……??
よくあんなに遠いのに、マルガリータは見えるなあ。
「むんっ!」
謎の千騎士が剣を一振りする。
途端に物凄い剣風が俺たちを襲った。
マルガリータの火炎弾がその剣風を相殺した。
俺は戦場に駆け出して、謎の千騎士の正体を知ろうとした。
だが、白馬に乗った謎の千騎士は、すぐにアーメットを被り。顔が見えなくなってしまった。それでも、俺は走り、神聖剣を上段に構えて突撃した。
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