ナイツ・オブ・ラストブリッジ

この橋は絶対守りきってみせる!
主道 学
主道 学

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公開日時: 2024年1月2日(火) 23:08
文字数:1,753

  ライラックは一度倒しているから、俺と神聖剣なら太刀打ちできるはずだ!


「昔、世界中を戦火に巻き込む大戦争を起こした。クラスド・エドガーという暴君が治めていたことでも、有名な国なのよ。非常に好戦的なところもあるの。敵に回すと最悪な国。そう、今は深刻な食糧難で、グレード・シャインライン国が狙われているけれど、本当はどこの国でも良かったのかも知れない……」

「うへえええ」


 武力行使好きな国って意味なのか?!


「鬼窪くん。もうすぐ橋の上よ。準備はいい? 猪野間さんもしっかりと身を守ってね」

「わかった」

「よっしゃあ、行こうぜ! 降りようぜ!」


 北の大地から凄まじい地鳴りを発し、白と騎士の国の白いフルプレートメイルの兵たちが、ラピス城の橋へとまるで白い大波のように押し寄せてくる。ざっと見てもその数。3万の大軍だった。


 白い軍団。


 その軍団には騎馬兵隊や戦車隊などもいる。


「ラピス城の戦力は?? マルガリータさん?」

「こちらは、せいぜい騎士団が100人ぽっちの兵数ね。後、ナイツオブラストブリッジがいるだけなの。なので、もう壊滅状態よ」 

「そう……よく、今まで城を守れたわね……」


 猪野間は感心と呆れた顔が同居した顔をした……。


 俺は橋へとマルガリータの箒から降りると、全滅した騎士団の先頭で神聖剣を抜いた。 


 怒号が橋のすぐそこまで来ていた。

 

 一体。一体の兵は千騎士だからとても強いんだ。

 だから、こうなりゃ、こっちは高火力戦だ!!


 鋼雲剣をこれでもかって、ぶっ放してやるぞ!!


「よし! この橋は絶対守りきってみせる!」

「鬼窪くん! 無茶よ!!」

「一人で戦える相手じゃないわ! 鬼窪くん! 私の魔法でも効かないはずだから、ここはお師匠のブレンドファイアで……お師匠は今、ラピス城の自室にいるから呼んでくる!」


 ???

 な、なんで。

 ヒッツガル師匠はラピス城の自室で待機しているんだ??


 あ、そうか……。

 ヒッツガル師匠は魔法方向音痴だった……。


 3万の白の大軍が橋の目と鼻の先の森から姿を現してくる。


 進軍から発する地響きが、ラピス城の橋を襲う。


 全員。隙がまったくない!

 よく。いや、凄まじさを覚える程の訓練をしている兵だった。


 兵卒でも、一騎当千の騎士。


 千騎士。


「うおおおーーー!! くらえ!」

「大型集団転移魔法!」

「へ??」


 俺は神聖剣を構えて、突撃しようとしたが、声の方を向くと……。橋の上には、サンポアスティ国の兵たちの大軍が眩い光の中から現れた。


 一瞬にして、ラピス城の橋はその大軍によって、埋め尽くされる! 上空にはサーフィンに乗ったサンポアスティの兵たちも、空を埋め尽くすほどに現れた。


 大軍の先頭には、アスティ女王と……西田がいた。


「へ?? 西田??」


 白と騎士の国の軍へ、サンポアスティ国軍の銃弾の一斉射撃が始まり。サーフィンに乗ったサンポアスティ国軍の兵隊が突撃する。

 

 二大強国の激突の中に、俺は鋼雲剣を放つ。


「うっりゃああああーーー!! くらえーーー!!」  


 サンポアスティ国軍の一斉射の発砲音とマルガリータの魔法と、神聖剣の光速の光の束は、凄まじい轟音を発し、白と騎士の国の軍に向かった。


「あ! ……あれ??」

「あ……!」


 大軍の進撃が止まった。

 多くの千騎士たちは倒れだした。


 だが、神聖剣の光の束もサンポアスティ国軍の激しい銃撃もマルガリータの魔法も……先頭にいる一際目立つ白馬に乗った千騎士の鎧には、跳ね返るだけだった……。


「な……なんだ? あの白い騎士は??」


 鋼雲剣を受けても。

 む、無傷??


 俺は戦慄した。隣へ駆けて来た猪野間は刀を抜いた。


「むむっ! その人……あの四大千騎士の一人のはずよ! 確か……名前は……名前は……あ!」


 そして、猪野間は硬直した。

 魔法を唱えるのを止めたマルガリータが箒を抱えながら、口を抑えた。


「嘘! あの顔! クラスド・エドガーだわ……」


 え?

 クラスド・エドガーって??


 昔の人……おじいさんなのか……??

  

 よくあんなに遠いのに、マルガリータは見えるなあ。 


「むんっ!」

 

 謎の千騎士が剣を一振りする。

 途端に物凄い剣風が俺たちを襲った。

 マルガリータの火炎弾がその剣風を相殺した。

 俺は戦場に駆け出して、謎の千騎士の正体を知ろうとした。 


 だが、白馬に乗った謎の千騎士は、すぐにアーメットを被り。顔が見えなくなってしまった。それでも、俺は走り、神聖剣を上段に構えて突撃した。


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