「これからは四カ国による総力戦だな」
「いや、違うようだ。ちと厄介だな。サンポアスティ国もクシナ要塞も兵はもうすっからかんなのだから」
「白と騎士の国の王は、現在は病に伏せってるそうだ。そのため国民には姿を現さないようだ。最強と呼ばれたトルメル城の国宝のエクスカリバーは、戦争には参加しないのだろう」
「そうかな? クシナ皇帝の話だとクラスド・エドガーはトルメル城の祭壇に身を隠しているそうだが」
「うーん。クラスド・エドガーは祭壇にいる。か……」
グレート・シャインライン国の軍会議室で、俺とアリテア王の意見に対してのソーニャが異を唱えながら話していた。白い石碑が中央にある軍会議室だった。その周りに幾つかの大きな丸いテーブルがある。皆、それぞれのテーブルに行き来して話すようだ。
「鬼窪くん。ちゃんと勉強してる? クラスド・エドガーはあの戦場で倒したでしょ」
「あ、いや……そうだった。俺とハイルンゲルトが戦場で倒したぞ」
猪野間の言う通りだ。
だけど、もう、こちらの兵は西の国のアリテア王の兵とナイツオブラストブリッジしかいないんだ。
アリテア王は今は黄金の鎧は脱いでいた。
シルクの布を巻いた衣服を着ている。
サンポアスティ女王は焦げ茶色の露出の高い洋服を着ているので、俺は目のやり場に困っていると、隣のガーネットに脇腹を小突かれた。
「そこでだ、どちらにしてもトルメル城の国王が不在なら白と騎士の国へ攻め込むには、船を使おうと思うんだ」
ソーニャがみんなに発言した。
「おれは勝手にしてるぜ。黒の骸盗賊団はこちらの船を使って白と騎士の国へ行こうかと思うぜ」
オニクボはいつも通りだった。
「ソーニャ様。私は鬼窪くんといたい。だから、一緒に転移していきたい。あと、できる限りの人も一緒に連れていってみる」
「頼めるか?」
ソーニャは西田に言った。
うーん。
神聖剣とエクスカリバー。
どっちの国宝が強いのかな?
「あのなあ。本当に戦う相手が誰だかもわからないんだぞ」
通小町が腕組をしてため息をついた。
心地よい潮風の朝。
俺は目を覚ました。
ベッドからソーニャの寝息が聞こえる。
俺はベッドから降りると、窓際へと歩いた。
窓からは、グレート・シャインライン国の王城に面した。王都用の港には17隻の大船が見える。
西田は白と騎士の国は遥か北にあるので、船でかなり近づかないと、転移できないといった。
西田によって、転移できるには、人数的にナイツオブラストブリッジと俺と猪野間、通小町、ソーニャ、アリテア王が選ばれた。
元々、ソーニャも千騎士だ。
いよいよだなと思った。
これが最後の戦いだ。
相手は史上最悪の暴君クラスド・エドガー?
なのか??
本当に??
「まあ、気にするな。王はどんな時でも民の事をおもうものだぞ」
ベッドからいつの間にか起きたソーニャの横顔が囁いた。
「ああ……」
秋野……。
俺は……これまで……。
お前に何かしてやれたのだろうか……?
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