「ひえっ!」
それを見て、大女が大剣を構えこちらに駆けて来きた。
「加勢に来てやったよ!」
助かった!
大女の大剣が青い鎧の胴をなんなく斬り裂いた。青い鎧の人が倒れた。
「ヒッ! し、死んでる!」
初めて死んだ人を見て、逃げ出したくなった。
当然だが俺は逃げの態勢から、怖くて足が震えていた。正門まで後ずさりしていると、数本の矢が前方から飛んできた。矢は俺の脇を通り過ぎ、地面に次々と突き刺さっていく。
なんとかなったが、もう後がなかった。
う……。
いつの間にか、戦いの間が城の正門まで近づいてきてしまっていた。白い鎧の少女が同じ白い鎧の男と戦っている。
「王族の名にかけて! 負けられない!!」
「なんの!! 王女よ!! その命貰ったぞーー!! ぐわっ!!」
白い鎧の少女の首元に白い鎧の男の一閃が繰りだされた。
だが、近くにいた俺は、なんとなくほっとけなかった。とっさにずっしりとした白い鎧の男の身体に体当たりをしていた。
あれ?? 体が自然と動いたんだ。
白い鎧の華奢な少女は態勢を整えて俺の脇まで来ると。
「助かったよ! 君! 君は、なんて名前? どこから来たの?」
白い鎧の大男の方が脇腹を抑えながら剣を構え直すと、俺を睨んだ。
俺はさすがに震えだしてしまった。
もう、体が動かないと思った。
誰だ??
こいつ??
俺はさすがに震えだした。
もう、ほんとに怖く手足が動かないんだ。
「……お、鬼窪……功一……」
「……変わった名前ねえ。鬼窪?! え? !確か聞いたことあるわ!! その名前!! あ、私はソーニャよ」
「へ??」
俺たちの話を聞いていたのか、白い鎧の男は急に真っ青な顔になった。
「ま、まさか! その名前!! お前! 黒の骸盗賊団の頭領の息子か!!」
「はあっ??」
「そういえば数年前に行方不明になったと聞いたぞ! よりにもよってラピス城にいたのか?! 成敗して名を上げてやるぞー!」
「わっ!! ひっ!!」
な、何! なんだ?!
俺の名前に何が?!
白い鎧の男が俺に突進してきた。
俺は恐怖した。
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