「とにかく、ここにいるのは危険だから」
「危険…?」
「キミは狙われてるの。世界がもう“感知”してる。データを改竄される前に動かないと」
世界が感知?
データを改竄される?
…一体何を言ってるんだろう。
呆然と立ち尽くしてると、彼女は手を引っ張ってきた。
「ついてきて」
そう言いながら。
ハアッハアッハアッ
通り過ぎる街の喧騒。
交差点に入り乱れるクラクション。
僕は混乱したままだった。
目の前で起こったこと、謎の女子高生。
街中のビル群を抜け、細い路地を走った。
物陰に隠れながら、できるだけ人目のつかない道を通っていく。
線路下のトンネル。
バスターミナル横の通路。
ビルの屋上。
「うわああああああッ」
悲鳴を上げたのは、僕が今までに通ったこともないような「道」を、彼女が“渡っていたからだ”。
彼女の走るスピードについていけなくなって、膝に手をついて息切れを起こしてた。
そしたら——
「翔ぶよ」
その「言葉」が、文字が、いったい何を意味しているのかがわからなかった。
翔ぶ
意識が追いつかなかった。
地面のコンクリートが凹むほどの衝撃で、空中に飛び上がったことに。
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