「あの…」
少女は笑うでもなく、そっと手を差し伸ばす。
その時サッと風が舞った。
——白
視界に映ったその「色」は、靡くスカートの向こうに映えていた。
瞬きもできなかった。
ほんの一瞬の出来事だったから。
「見たな?」
…え?
少女は眉間に皺を寄せながら、さっきまでの穏やかな表情が嘘のように崩れる。
殺される
不意にそう思ってしまった。
不可抗力とはいえ、見ちゃいけないものを見てしまったから。
「ちょっと待ってッ!!」
「さて、どうしようか?」
どうしようか…??
どうしようって何をどうするの!?
呂律が回らない。
弁明しようにも言葉が出てこない。
見たけど多分何も見てません!
一瞬だったし、本当にそれがパンツだったかどうかも怪しいっていうか…!
せめて急所だけは避けようと咄嗟に腕を上げた。
刀が動くのが見えたからだ。
短い人生だったな…
チャキッ
眼球の先に伸びる鋒。
刃こぼれ一つないその刀身が、まっすぐ伸びてくる。
刃文の下に反射する光が、銀色の艶を照らしていた。
なんでも斬れそうだった。
人間の首なんかは、いとも容易く…
「何か言い残すことは?」
「ヒッ…!」
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