都市伝説体験日記

杜都醍醐
杜都醍醐

事故物件に住む

公開日時: 2020年9月1日(火) 07:00
文字数:506

 先輩が教えてくれた、一番効率の良いバイトがコレだ。


「…ですから小路様には、二〇一号室で一か月間住んでいただいて…」


 不動産会社は事情を話してくれなかった。だが俺も、来月発売されるアイドルのライブのために金が要る。職種を選んでいる暇がない。

 俺は鍵をもらうと、すぐにそのアパートの一室に入った。不動産会社が布団とちゃぶ台だけ用意してはくれた。でもここで、暮らせったって…。


「一か月間、そこに住んでいることにしてもらえば良いので、実際にはホテル等での外泊をしても構いません」


 そう言ってたから俺は龍堵の下宿先に泊まって、結局そのアパートでは一回も泊まらなかった。



 事故物件に住み込むバイトは、やはり募集してないな。これは「お金がもらえて且つ住む場所も確保できる」から募集かけるまでもなく人が集まるって言われてる。

 不動産会社は部屋を借りる人に、事故物件かどうか教える義務がある。

 だけどその義務、事故後の一回目だけでいいんだとさ。だから適当な人に短期間部屋を借りてもらって、その一回を消費。二回目以降は教えなくていいから、何も知らない人に貸す。随分と汚ねえ方法だ。


 そんな悪どい商売するから事故が絶えねえんだ、何でわからねんだか。

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