都市伝説体験日記

杜都醍醐
杜都醍醐

生き血を吸って走る電車

公開日時: 2020年9月1日(火) 07:00
文字数:669

 俺がビッチことホムラと、首都圏に行った時の話だ。勘違いしないで欲しいのは、カップルの観光旅行ではなく、同志による都市伝説調査が目的だ。


「次の電車は何時?」


 俺たちは千葉県にある某夢の国を目指していた。


「すぐ来るよ。でも間に合う」


 俺たちがやっとホーム階についた。大量サラリーマンやOL、児童生徒学生が列を作っていた。


「来ないぞ?」

「おかしいわね。時刻表によると、もう来てもおかしくないのに」


 そこでアナウンス。


「…人身事故のために電車が遅れています…」


 俺とホムラは驚いた。だが、周りの人は顔色一つ変えない。それにも驚いたぜ。


「何でみんな、平気なんだ?」

「知らないわよ!」


 結局この日は目的地にたどり着けず、安いホテルに一泊した。そこで俺とホムラが考えついたのだ。



 電車の人身事故って、多いよな。しかも首都圏は頻発してるイメージだ。俺とホムラが、首都圏の電車は人の生き血を吸って走ってるって考えても不思議じゃない。

 こんなバカバカしい話は語り継がれなくてもいい気がするが…そう判断したら発案者のホムラに失礼か。


 ちょっと考えてみよう。東京都の人口は一千万。大して山形県は、百十万ぐらい。この年の自殺率は十万人に二十人なので、〇.〇二パーセント。東京都と山形県にこれをそのまま適用させた場合、山形では年間二万二千人自殺してしまう。だが東京の場合…二十万人だ。東京都は山形県よりも電車の数も多いから、自殺の手段に選んでしまう人が多いのだろう…。

 やめるか。やっぱり吸血電車なんてバカバカしい。


 まあ嫌なことを考えている時は、電車に近づかないに越したことはないな。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート