都市伝説体験日記

杜都醍醐
杜都醍醐

お札に描かれる人

公開日時: 2020年9月1日(火) 07:00
文字数:1,060

 ども。綿部わたぶ蘭洞らんどうだ。今日は俺がお金に関する都市伝説を、ロールスロイスの中でしてやろう。

 今、日本で使われているお札に描かれている人はわかるよな? 一万円札が福沢諭吉、五千円札が樋口一葉、千円札が野口英世、だ。二〇〇四年に、彼らになった。

 福沢諭吉は学問のすゝめ、樋口一葉は近代史における最初の女流作家、野口英世は細菌の研究で有名だ。

 彼らのように自分の道を究めれば、いつかお札に顔が描かれるかもだな!



 だが果たして、彼らは本当にお札になる器なのか?


 例えば福沢諭吉。昔は一万円札と言えば、聖徳太子だったらしい。あの太子を差し置いて採用されたということ。確かに学問のすゝめと脱亜論は立派だけれど…。幸いにも福沢諭吉については、俺としてはこれといった批判点は見つからない。まあ、文化の推移に日本銀行が合わせたってところか。


 樋口一葉は文化人なので、採用されたのだろう…と納得するのは待とう。女性として初めてお札に描かれるにあたって、もっと相応しい人はいなかったのか? 

 例を挙げるなら、卑弥呼。恐らく日本史上最古の歴史人物で、歴史の教科書でも最初に登場する。卑弥呼は女性だし、最初ってことなら二重の意味で丁度良くないか? まあ、あの壁画がお札に描かれるのは違和感あるけど。他には、平塚らいてうってどうだろう? 女性解放運動家で、女性の人権のために活動した偉人。男女平等を目指す今の日本にピッタリ! 戦争に批判的な立場なら、与謝野晶子だって適任だ。


 野口英世については、語るに及ばず。尊敬しているヒトには悪いのだけど、彼はお札に描かれるべき人じゃない。

 理由はちゃんとある。野口英世と言えば黄熱病の研究で有名だな。でも彼が生きていた時代には、ウィルスを見ることの出来る顕微鏡はなかった。野口英世は細菌学者だが、黄熱病の病原体はウィルス。どう頑張っても病原体の特定なんて、できない。他の病気について例えば狂犬病も、病原体はウィルス。故にこの分野において、彼の功績は今、全否定されている。科学者としての功績は、彼にはほとんどない。

 他にもヘビードリンカーや借金王やら女たらし等…。人としても褒められたものじゃないな。

 勉学の道の偉人をお札に描くのなら、俺は湯川秀樹を推奨しよう。日本人として初めてのノーベル賞受賞者にして、日本に科学ブームをもたらした科学者だ。他には平賀源内や吉田松陰。もっともこの二人は罰せられてはいるが…。正直なところ、夏目漱石が続投で十分良い。


 みんなが使うお金だからこそ、ちゃんと考えてもらいたいものだ。そうでなければ偉人にもお金にも失礼だ。

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