雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

SPICE×FAMILY

公開日時: 2023年6月24日(土) 20:37
文字数:2,655

 僕らは西早稲田駅で地下鉄を降りた。

 雪乃と毛利さん、妹は、織田邸がある駅近くのマンションへ。

 僕は晩ごはんにカレーを作らなければいけないということで、材料を買いに1人で近くのスーパーマーケットへ向かう。


 今日は前回のように牛肉ではなく、豚肉にした。ちょっと安上がり。

 その他の材料も購入して。織田邸に向かう。


 織田邸に着くと、雪乃に案内されて奥へ。女子3人はリビングルームでソファに座ってテレビを見ながらくつろいでいた。

 前回来た時は、雪乃の部屋だけしか入らなかったので、他の部屋は始めてだ。どこも綺麗に掃除されているようだった。

 僕は、さらに奥へ導かれて台所へ。


 そんなわけで、料理開始。

 ご飯を炊くところから開始しなければならなかった。無洗米があったので、それと水を炊飯器に入れる。

  料理の途中、毛利さんが「手伝う?」と尋ねて来たが、1人で問題なさそうなので、「TVでも見てて」と言って、追い返した。


 なんやかんやで、大体完成、しばらくカレーをとろ火で15分ばかり煮込むので、僕は台所を離れてリビングルームに行った。

 妹が、雪乃や毛利さんと仲良くやっているか不安だった。

 理由はわからないが、妹は雪乃と毛利さんを敵視しているみたいだからな。

 とりあえず、仲良く(?)TVで流行のドラマを見ているようで、ちょっと安心した。

 僕も彼女たちに混ざってソファに座って15分間TVを見る。そろそろ、カレーも出来たようだ。

 ご飯も焚けているので、雪乃に皿を出してもらい、ご飯とカレーを盛って完成。


 みんなダイニングテーブルを囲んで座って、カレーを食べ始める。

 1口食べた雪乃が感想を言う。

「美味しいね」


「それは、良かった」


「前と、ちょっと味が違くない? ルーが違うの?」

 妹が言う。


「ルーは同じだよ。違う点と言えば、前回は牛肉だったけど、今日は豚肉。あとは、風味づけに香辛料を入れた」


「へー。そうなんだ」

 妹は感心したように言うと、もう一口食べる。


「香辛料って何?」

 毛利さんが尋ねる。


「ガラムマサラだよ」

 僕はさっきスーパーマーケットで、たまたま見かけて買って来た香辛料の入った小瓶を手にして、みんなに見せた。

「130円。前と同じだと、ダメ出しが来そうだったから」

 毛利さんと妹は以前、僕のカレーを食べている。全く同じだと、特に妹がなんか言って来そうだしな。


「ふーん。私も今度やってみよう」

 毛利さんは感心したようだ。


「お兄ちゃんのくせに、やるじゃん」

 珍しく妹に褒められた。


「『お兄ちゃんくせに』は、余計だ」

 この点は言い返しておかないと。

 僕は続ける。

「カレーは中辛なんだけど、もっと辛くしたかったらこのスパイス使って」

 取り出したのは、レッドペパーの小瓶。


「ちょうだい」

 そう言って、妹は僕の腕から取り上げた、レッドペパーを自分のカレーに掛ける。

 僕は注意する。

「あんまり入れすぎるなよ」


「辛い!」

 入れすぎたらしい。

 慌てて水を飲む妹。


 そうこうしてカレーを食べ終え、しばらくその場で会話をする。

「こうやっていると、家族みたいだね」

 雪乃が唐突に言う。


「私と、お兄ちゃんは本物の家族ですけど?」

 妹が少々不満気味に言った。


「わからないわよ、将来、私も本物の家族になるかもしれないじゃん?」

 雪乃は不敵に笑いながら言い放った。


「そうですか?」

 妹はやはり不満そうだ。


 何これ? 妹vs雪乃のバトルが始まってる?

 そして、雪乃は遠回しにプロポーズみたいになっているけど…?


「後片付けするよ」

 何か面倒なことに巻き込まれそうなので、僕はそう言ってみんなの皿を集めて台所に向かった。


 後片付けが終わり、リビングルームへ行くと、雪乃が尋ねた。

「お風呂入るでしょ? 順番どうする?」


 それに妹が、すぐに反応する。

「お兄ちゃん、一番最初に入りなよ」


「え? 皆がそれでよければ、最初でいいけど?」


「お兄ちゃん、みんなの後だと、みんなが入ったお湯飲むでしょ?」


「はあ?! そんなことするわけないだろ!」


 まったく、妹はどういう目で僕を見ているんだ。

 ともかく一番湯を頂くことになった。

 風呂に入って、上がった後は、雪乃に借りた、雪乃のお父さんのトレーナーに着替える。

 女子たちも次々に風呂に入る。


 風呂上りは一同は、雪乃の部屋に行って、くつろいでいる。

 女子たちは、全員パジャマ姿なのでちょっと気になるな。

 女子だけのお泊り会であれば、恋バナをするのだろうが、今日は僕が居るし、このメンツだと修羅場っぽくなりそうなのだが…。

 雪乃と毛利さんは、それぞれ僕のことが好きなようだが、なぜか2人の間で対立はなさそうで、逆に仲は良いみたいだ。

 一方、妹は、なぜだか雪乃にも毛利さんにも敵対心を持っている様子。

 雪乃はそのことは全然気にしていないようだが。


 その事を証明するように雪乃は妹に普通に話しかけている。

「美咲ちゃんって、彼氏いないの?」


 やっぱり、恋バナするんだ。


 妹は不満げに答える。

「いないです」


「同級生とかに、気になる男子とかは?」


「同年代の男子って、ガキっぽくて」


「じゃあ、年上が好みなんだ?」


 僕も話に加わる。

「じゃあ、悠斗とかいいんじゃないか?」


「悠斗って、足利君の事?」

 雪乃は尋ねる。


「そう。あいつは幼馴染だから、小学校の頃は、美咲も一緒に遊んでたんだよ」


「そっか。彼は、イケメンでサッカーも上手いし、良いんじゃない?」


「えー」

 妹はやはり不満そうだ。

「イケメンって、ライバルが多そうだから、めんどくさい」


『めんどくさい』とか、僕みたいなこと言ってるな。


「じゃあ、年上で、それ程イケメンじゃあない男って言ったら、お兄さん?」

 雪乃は、いたずらっぽく笑いながら言った。


「えっ? お兄ちゃんは嫌いです」


 そもそも、実の兄妹だぞ。論外だ。

 そして、妹よ、僕のことを嫌いとか言うな。

 さらに言えば、雪乃、“それ程イケメンでない男”で僕のことを言うなよ。まあ、その通りなのだが。


「優しいお兄さんじゃん?」

 雪乃は言う。


「全然。意地悪だし」


「意地悪してないだろ」

 僕は反論した。


 しばらく、僕と妹を肴に話が盛り上がる。

 その後は、雪乃を中心とした陽キャグループ内での学校の話とか、僕の知らないことを聞かされた。

 いろいろあるんだなあ。面倒だから関わらないようにする。


 後、生徒会長選挙の話題が出て、雪乃は立候補するつもりなのだが、当選の暁には僕だけでなく、毛利さんにも役員に入ってほしいとのことで依頼していた。

 毛利さんは、OKのようだ。


 そんなこんなで、夜も更けて来たので、もう寝ようということになる。

 女子たちは雪乃の部屋で、僕はリビングルームのソファで寝ることになった。

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