雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

決断

公開日時: 2022年12月30日(金) 20:09
文字数:1,300

 日曜日の夕方。

 これから雪乃と学校の教室で待ち合わせをしている。

 学校に行くので日曜日というのに制服に着替える。

 めんどくさいな。学校で待ち合せにしたのは間違いだったか。

 いや、外に出るんなら、何か着替えないといけないから一緒か。


 そんなわけで、家から徒歩5分で学校に到着。

 校庭ではサッカー部が練習をしているのが見えた。幼馴染の悠斗の姿も見える。

 寒いのにご苦労なことだ。


 僕は校舎に入り、上履きに履き替えて教室へ。

 約束の時間より少し早く来たので、自分の席に座って待つ。

 これから話す内容のせいで、かなり緊張している。心臓もつかな。


 しばらくして、雪乃がやって来た。

「待った?」

 走って来たのか、すこし息が乱れている。


「い、いや、さっき来たばっかり。演劇部はどう?」


「順調だよ」


「そう…、それは良かった」


 雪乃は僕の前に席に座って尋ねた。

「で、日曜日に教室なんかで、何か用なの?」


「あ、えーと…。先月のお台場に行った時の話なんだけど…」


「お台場の話? なんだっけ?」


「い、いや、その…、(仮)で付き合ってる件、なんだけど…」


「え…? ああ、そっか。そんな話もあったね」


 え? 雪乃、覚えてないの?


「いや…、それで…なんだけど…。言いにくいんだけど…、結局、僕に恋愛感情が生まれなかった…、ということで…」

 僕は何とか言葉を絞り出した。


「え? ということは…」

 雪乃は少し考えて、お台場デートの時のことを思い起こしているようだ。

「別れるって事?」


「そ、そうなるね…」

 僕は目線をそらした。


「ええー、なんで?」

 雪乃は顔を近づけて来た。


「なんでと言われても…」


「今月は私が忙しくてデートをほとんどしなったから?」


「いや、そいう理由ではなくて…」


「じゃあ、なんで?」


 詰められても、理由なんか無いよな。

「わからないけど…、雪乃のことを好きになれなかったんだよ…」


 雪乃は諦めたように話し始めた。

「そっか…。私は(仮)とかじゃなくて、もう本当に付き合ってるつもりだったんだけど……。今まで忘れてたけど、あの時、『純也が私のこと好きにならなかったら諦める』って約束したからね」


 しばらく沈黙。

 その時間は数秒だったが、体感は数分だ。


 雪乃は諦めたように明るく話し出した。

「じゃあ、わかったよ。これからは友達だね…。勉強は教えてよ」

 雪乃は再び、顔を近づけた。


「勉強…? ああ、いいよ…」

 

 雪乃は、その答えを聞いて安心したように微笑んだ。

「じゃあ、またね」

 そう言って雪乃は立ち上がって、教室を去って行った。


 それを見送ったあと、深いため息をついた。

 すごく緊張した…。

 少し思いを巡らせる。

 もう、1か月ぐらい付き合ったら、雪乃のこと好きになったのだろうか?

 うーん…?

 もう別れるって言ったから、もう検証のしようもないけど。

 これでよかったのだ。と、自分に言い聞かせた。


 それにしても、別れ話をするのがこんなにキツイとは思わなかった。

 今後は(仮)とか、軽々しく付き合うなんてことはしないでおこう。まあ、こんなケースは、二度と無いと思うけど。


 いずれせよ懸案事項が1つ無くなって、肩の荷が下りたな。

 悩みは、他に色々あるけど。

 10分ほどその場で、さらに考えを巡らせたあと、教室を後にした。

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