雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

占いメイドカフェ2日目~その1

公開日時: 2022年6月18日(土) 19:58
文字数:1,517

 学園祭2日目。

 今日は占いメイドカフェで1日オムライスを作り続けることになるだろう。

 仕込みがあるので、早めに学校に向かう。


 他の部活も事前準備やらで早めに学校へ着ているところが結構あるようだ。

 校門から校舎に続く屋台の列も、朝早くから準備に取り掛かっていた。


 男子トイレで執事に着替え、占いメイドカフェの教室へ向かう。

 事前にLINEで女子が着替え中でないことを確認して、扉を開ける。


「おはようございます」


「「「おはよー」」」


 仕込み担当で、既にメイド姿となった女子たち数名が挨拶を返してきた。


「ねえねえねえ!」

 朝からテンション高く声を掛けて来たのは、ギャルメイド上杉先輩だった。


「はい。なんでしょう?」

 一方の僕はテンション低く返事する。


「昨日、ステージ上で白雪姫を凌辱したんだって?!」


「はあ?! いや、何言ってるんですか?」


「だって、ステージ上で本当に押し倒してキスしたと聞いたから」


「いや、あれは白雪姫が無理やりキスしてきたんですよ! 凌辱とか言いがかりも良いところです」


「なんで、白雪姫の方からキスするのよ」


「なんでも、急遽演出を変えたとか、なんとか」


「それはラッキースケベだったね」


 全然、ラッキースケベじゃない。


「これはDVDが楽しみだなあー。待ってるよ」


 白雪姫の舞台のDVDが出来たらあげると言ったような気がする。忘れた振りしようかな。


「じゃあ、準備始めるよ」

 と、上杉先輩の号令で、仕込みが始まった。


 みんなで、持ち込んだまな板で鶏肉と玉ねぎを切り、1食分の重さを測ってビニール袋に入れて、携帯用冷蔵庫へ入れる。

 準備する量は昨日よりかなり多めにするという。

 なんでも、昨日の白雪姫の舞台で僕が織田さんとキスしたことが学校中で話題になっているらしく、面白半分で僕を見にやってくる生徒が大量に居るのだろうということだ。本当かいな?


 多めの作業とは言え何人かでやったので、30分と少しの作業で予定の分は完了した。


 それにしても、上杉先輩が包丁を使えるとは意外だ。彼女は、料理とかしなさそうだが、先日のオムライス作りの特訓の時も結構ツッコミを入れてきたから、それなりに出来るのだろう。


 点呼の時間になったので、皆で体育館に向かう

 所定の位置に整列し、クラスの担任が確認して出欠を取る。

 それが終わると再び“占いメイドカフェ”の教室に戻った。


 カフェに戻ると、開店前なのに既に何人か待っている状態だった。

 今日は忙しくなりそうだ。


 僕とメイドたちが準備を進めていると、伊達先輩がやって来た。

「みんな、おはよう。私と松前さん、津軽さんは生徒会の方があるから午後から参加するけど、後はよろしくね」


「「「はーい」」」

 メイドたちは元気よく返事をする。


 そして、開店。

 お客さんがぞろぞろと入ってくる。

 早速、僕に声を掛けてきた人物が居た。

 オムライスを作りを始めようとしていたが、手を止めて顔を上げると、小太りで良く日焼けしている男子生徒が立っていた。

 新聞部部長の片倉先輩だ。


 彼とは、夏休み中、歴史研が合宿した伊東の旅館で偶然会った関係。話をするのは、それ以来だ。

 それにしても、なぜ、彼は日焼けしているのだろうか? 新聞部は文科系の部活のはずだが?


「やあ、おひさしぶり」


「どうも…、じゃなかった。お帰りなさいませ、ご主人様」


「いやー、今回もやってくれたねー」

 なんか嬉しそうに片倉先輩は言う。


「何がですか?」


「昨日の白雪姫の舞台のことだよ、満員の観客の前でキスするとはね。本当に君は話題に事欠かない」


「あれは、不意打ちでされたんですよ」


「そこらへん、詳しく取材させてよ。あの織田さんと一緒に」


「まあ、いいですけど」


「じゃあ、今度改めて声を掛けるよ」

 片倉先輩はそう言うと、席に戻って行った。

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