雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

ヌードモデルの件

公開日時: 2025年3月26日(水) 20:07
文字数:1,723

 翌日の放課後。

 僕は今日も生徒会室で資料の電子化作業をしている。

 毛利さんは帰ってしまった。

 しばらくしてから、支倉君が新聞部の打ち合わせが終わったと言って、手伝いに参加してくれた。


 生徒会のパソコンは以前から動きが鈍く、そろそろ新しいものが欲しいところだが、生徒会の予算では新しいパソコンを買うことができないと以前、伊達先輩が言っていたな。

 でも、いつかは買い換えないといけないんだけどなあ。


 途中、支倉君が話しかけてきた。

「そういえば、織田先輩、ヌードモデルをやるって話なんですが…」


「そんなこと言ってたね」


「ヌードモデルの件を風紀委員が、どこかから嗅ぎつけて、先生たちに報告したそうなんです」


「ふーん」

 まあ、風紀委員は頭が硬そうだからな。特に今川さんは。


 支倉君が話を続ける。

「それで、美術部と交渉して、結局、織田先輩はヌードだけどシーツを纏って全身を見えないようにする。さらに後ろ姿で、女子の美術部員のみ参加であれば、という条件でOKが出たそうです」


「あ、そう」

 それって、ヌードって言うのか?

 まあ、学校の部活でオールヌードは無理だろうな…。


「それで、今日から3日間ほど放課後は、織田先輩はモデルをやるので美術室にいるそうです」


「ふーん。でも見学できないよね?」


「はい。見学できないです。今週、美術室は男子禁制なので」


「なるほどね…」

 でも、雪乃に言えば裸を見せてくれそうだよな。

 先日、下着専門店で雪乃の上半身なら見えたけど。

「完成した絵は、見せてもらえるのかな?」


「それは、たぶん大丈夫だと思います」

 支倉君は続ける。

「それにしても、生徒会選挙での票の取りまとめをお願いするためにヌードになるとか、織田先輩もやりますね」


「どうしても生徒会長をやりたいんでしょ?」

 僕には理解できないが。

 選挙は、たしか5月末締め切りで6月上旬に候補の討論会と、応援演説があるんだっけ?


「武田先輩もヌードモデルの話があったんですよね?」


「うん。断ったけど」


「どうしてですか?」


「人前で裸になるのが嫌だから」


「ですよね。わかります」


「結局、服を着たまま、変なポーズをやらされて、それでモデルをやったよ」


「変なポーズって、どういうのですか?」


「うーん…」

 口では説明できないので、僕は立ち上がって、モデルの時にやらされたポーズをしてみた。

「こういうの」


「それって…、“夜叉の構え”では?」


「そうなの?」

 なんか聞いたことがあるな。いつ聞いたんだっけ?

「このポーズを長時間やらされたおかげで、翌日はちょっと体が痛くなったよ」


「モデルって大変ですね」


「そういえば、雪乃が何か2つ発表するって言ってなかったけ? 1つはヌードモデルの件でしょ? もう1つは何か聞いてる?」


「いえ。聞いてません」


「そうか…」

 雪乃のことだから、もう1つもヌードとかエロいことなのかもしれん。


 会話を適当に終え、その後も資料のデータ化作業を進めている。

 そろそろ下校時間に差し掛かった頃、意外な人物が生徒会室に現れた。


「あ。いたいた」

 そう言って入ってきたのは上杉先輩。


「あ…、ど、どうも」

 僕は軽く挨拶をした。


「歴史研の新部員は集まったの?」

 上杉先輩は僕にずいっと近づいて尋ねてきた。


「ま、まだです」


「ちょっと焦った方がいいんじゃないの?」


「え、ええ。まあ、焦ってますよ…」


「5月いっぱいまでに何とかしなよ」


「そ、そうですね」

 僕が上杉先輩に歴史研に勧誘されたのも昨年の5月下旬ごろだった。

 まだ、猶予は2か月ある。何とかなるといいのだが。


 これ以上、ツッコまれるのはいやなので、僕は話を逸らす。

「上杉先輩は今日はバイトじゃないんですね」


「うん、今日は行かない。その代わり将棋部でYouTube用の動画の収録をしていたよ」


「それ、まだやってるんですね」


「うん。月1回ぐらいで2、3個分まとめて撮っているよ」


「なるほど」


「成田さんに教えてもらっているから、だいぶ強くなったよ。もう君より強いよ」


「そうなんですか?」

 僕も大して強くはないが、さすがに抜かされてはいないと思うが。


「今度、対局してみようよ」

 上杉先輩はニヤリと笑って言った。


「ま、まあ、いいですよ」

 僕は答えた。


 などと話をしていると下校時間となったので、今日のところは下校する。

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