雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

女子校

公開日時: 2022年5月7日(土) 20:36
更新日時: 2022年5月7日(土) 20:37
文字数:1,524

 翌日の放課後。

 学園祭の出し物“占いメイドカフェ”の宣伝のため、フライヤー配りに近くの女子校に行くことになっている。

 その女子校は、雑司ヶ谷高校から徒歩15分程度のところにある。

 というわけで、松前先輩と僕の二人は連れ立って、そちらに向かう。


 約束の時間に到着すると、下校時間が始まっていて、下校する生徒もちらほら。

 その女子校の校門の前で、待ち合わせの約束をした生徒らしき人物が待っていた。


「こんにちは。東池女子高の生徒会長の宇喜多といいます」


 僕らを見つけて挨拶をしてきた宇喜多さんという人は、二つ結びの三つ編みを胸のあたりまで垂らし、丸い縁の眼鏡をかけている。小柄たが、生徒会長だけあって、真面目そうな雰囲気だ。

 ここの制服はセーラー服なんだな。

 再確認で言うと、雑司ヶ谷高校の制服はブレザーだ。


「初めまして。私が雑司ヶ谷高生徒会副会長の松前です。こちらは武田です。今日はありがとうございます」

 松前先輩は会釈をした。

 僕もそれに合わせて続けて会釈をする。


「伊達さんから、ご依頼は聞いておりました。では、まず生徒会室を案内しますので、そこで着替えてください」

 宇喜多会長はそう言って校内を先導する。

 僕らは連れ立って校舎の2階にある生徒会室に向かう。荷物を置くと、松前先輩はそこで着替え、僕は教員用の男子トイレの個室で着替える。

 晴れてメイド姿となった松前先輩と執事姿になった僕は、再び校門の方へ向かい宇喜多生徒会長の監視の下、フライヤー配りを始めた。


 フライヤーは意外にも、どんどんはけていく。

 そして、執事姿の男子がこんなところにいるのが物珍しいのか、結構、女子生徒に絡まれた。


「これなんですか~?」

 女子3人組がワイワイと声を掛けてきた。そして、フライヤーを見て尋ねる。


「ぞ、雑司ヶ谷高の学園祭の出し物です。“占いメイドカフェ”をやります」

 女子たちに圧倒されながらなんとか答える。


「なにそれ~?」


「メイドカフェに占いコーナーが併設されています」

 僕は、適当に言う。

「占い、結構当たるそうです」

 知らんけど。


「おにいさんが占いやるの?」


 おにいさん?


「占いは、別の人がやります。僕は執事でオムライス作りをしています」


「へー。執事なら、あれ、やってみてよ」


「“あれ” って?」


「お帰りなさいませ、ってやつ!」


「え? 今、ここで?」


「そうそう、やって! やって!」


 これは想定外だった。

 恥ずかしいけど、やるしかないか…?


「お、お帰りなさいませ、お嬢様」


「きゃはは、うける~!」


 なんか、バカ受けした。


 こんな感じで他の女子たちにも何度となく絡まれながらも、1時間半程度でフライヤー配りは終了となった。


 トイレで服を着替え、再び生徒会室に戻ると、宇喜多会長がお茶を入れてくれた。お茶をすすりながら、松前先輩と僕を交えて3人でしばし雑談をする。


「武田君も生徒会役員なんですか?」

 宇喜多会長が質問をしてきた。


「いえ、僕は生徒会ではありません」


「本当は、彼が副会長をやる予定だったのだけど」

 と、横から松前先輩が言う。

「彼は、IT担当です」


 いや、だから、僕は生徒会の役員ではないぞ。


「へー。SNSとかに詳しいんですか?」

 宇喜多会長は続けて質問をする。


「いえ、パソコンを少し触れる程度です」


「うちの生徒会も機械に詳しい者が居ないので、パソコンは結構、苦労してます」


「いつでも武田君を貸し出しますよ」

 何っ?

 松前先輩がとんでもないことを言いだした。僕自身の意志は?

「そう言うことがあれば、お願いするかもしれませんね」


 そして、最後に宇喜多会長は東池女子校の学園祭は10月にあるという話などをして、しばらく過ごした。

 20分ほど経ち、話題も尽きたところで、宇喜多会長に改めてお礼を言って、僕と松前先輩は帰路に着いた。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート