雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

10月も多忙な予感

公開日時: 2022年7月16日(土) 21:26
文字数:2,068

 お城巡りの翌日。

 幸いな事に旅の疲れも残っておらず、元気に登校できた。

 授業中、ちょっと寝たけど。

 何事もなく1日をすごし、あっと言う間に放課後。

 僕と毛利さんは連れ立って、いつもの校舎の4階の端の端、歴史研の部室として利用している理科準備室にやって来た。

 今後の予定の確認などをするからということで、事前に伊達先輩からLINEで呼び出されていたのだ。


 僕が勢いよく理科準備室の扉を開けると、いつもの様に伊達先輩と上杉先輩が白いくて丸いお菓子? を肴に紙パックのジュースをすすりながら、スマホをいじっていた。


「「お疲れ様です」」

 僕と毛利さんは挨拶をする。


「いらっしゃい」

「来たね!」

 伊達先輩と上杉先輩のお約束の挨拶が帰ってきた。


 僕と毛利さんも椅子に座る。


「これなんですか?」

 僕は白くて丸いお菓子?を指さして尋ねた。


「これは、ラムネよ。科学研究部が学園祭で作った残りを分けてくれたの」


「へー。ラムネって自作できるんですね」


 僕と毛利さんは、1つずつラムネをつまんで食べる。

 あ、美味しい。


 伊達先輩は、僕らがラムネを頬張るのを見てから話を始めた。

「じゃあ、10月の予定の確認をするわね。歴史研としては、以前言った通り3連休にお城巡りをするわ」


「3連休というと、土日と体育の日ですね」


「そうよ。水戸城、青葉城、多賀城、山形城、新発田城を回るわね」


 以前も聞いたが、確か、かなり過酷なルートだ。

 疲れるから、参加するか、しないか、どうしようかな?


「あと、その時に新聞部の片倉君が取材で付いてきたいって」


「取材?」


「そうよ。新聞部では毎号、部活を幾つか紹介しているのよ。次の号で、歴史研を記事にしたいって。武田君がいるから、面白い記事になりそうだって言ってるわ」


「はあ、そうですか…」


「学校新聞、読んだことないんでしょ?」

 上杉先輩があきれたように言う。


「ないですよ。どこで読めるんですか?」


 この質問には、伊達先輩が説明してくれる。

「毎月初めに、校内の各掲示板に貼られているんだけど、今も張られているから読んでみて」


 しかし、掲示板なんて見る気も起らないが、今度ちょっと見ておくか。


「えーと、ということは、お城巡りに片倉先輩も付いて来るってことですね」


「ええ、片倉君と、もう1人部員と2人で来るそうよ」


「そうですか」

“武田君がいるから、面白い記事になりそう”って、僕はお城巡りに行くとは、まだ言ってないが。しかし、これは行かないといけない流れなんだろうな。


 伊達先輩は話題を変えて話を続ける。

「あと、東池女子校の学園祭が、その次の週の週末にあるんだけど、占いメイドカフェのメンバーでいける人は、土曜日に行くことになったわ。フライヤーを配らせてもらったし、私は宇喜多会長にも挨拶をしたいから」


 それは、いいな。

 宇喜多会長に会えるなら、行ってみたい。

 あの雑司ヶ谷高校の女子には無い上品な感じが、上手く表現できないが良い。


「あ、それ、行きます」

 僕は手を上げて言った。


「おっ、女子校に行けるとなったら、決断が早いねぇ」

 上杉先輩がからかうように言う。


「上杉先輩だって、男子校にフライヤー配りしに行くとき嬉しそうでしたよ」

 とりあえず、言い返しておいた。


 伊達先輩がまた話題を変えてきた。

「それと、中旬に中間試験があるけど、勉強は大丈夫?」


 そうか、すっかり忘れていた。

 最近は学園祭の準備などで、忙しくて勉強は疎かになっているな。

 折角だから、久しぶりに伊達先輩に見てもらうかな。


「最近はあまりできてなくて、よかったら見てもらえますか?」


「じゃあ、また、勉強会で第2部室に集合だね!」

 上杉先輩が嬉しそうに言う。


「え? 第2部室ってどこですか?」


「キミんちの部屋だよ」


「いつの間に部室になっているんですか?」


「まあ、良いじゃん」


 良くない。

 しかし、僕の部屋で勉強会が開催されるのは、いつものことだし、抵抗しても決まってしまうだろうから、反対しなかった。


「じゃあ、東池の学園祭を見に行く、翌日の日曜日にしましょう」


 なんか、休みがないなぁ。

 でも仕方ない、勉強はやっとかないと成績が落ちると困る。


「私も、東池の学園祭と勉強会に参加しても良いですか?」

 毛利さんが静かに尋ねた。


「もちろん、良いわよ」

 伊達先輩が答える。


「よかったら、もっと食べてね」

 伊達先輩は、ラムネを指さした。


「「ありがとうございます」」

 僕と毛利さんは、さらにラムネをつまむ。


 その後、僕らは他愛のない世間話をして時間を過ごした。


 僕は、今月の出来事を頭の中で振り返る。

 毛利さんと伊達先輩の関係が気になる。しかし、この件は、やはり、そっとしておいた方が良いのだろうか…?

 それが原因で、僕の毛利さんに対する気持も大分冷めたのだが。


 そして、歴史研とは距離を置きたいと思っているのだが、どうやら、来月もそうはいかないらしい。

 いろんなことが待ち構えているような気がするが、来月は来月の自分に何とかしてもらおう。


 その後も部室で駄弁ったり、ラムネを食べたりしていると、あっという間に下校時間になり、僕らは解散した。


≪雑司ヶ谷高校 歴史研究部!! 混沌の学園祭編 完≫

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