雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

上杉先輩のバイト先

公開日時: 2025年1月29日(水) 20:37
文字数:1,692

 土曜日。

 今日はアイドルユニットO.M.G.のライブの手伝いに行く。

 本日の出演は午後。夕方までには終了するイベント。


 僕は、地下鉄、JRを乗り継いで、秋葉原の馴染みのライブハウスに到着。

 そして、なぜか妹と前田さんも付いて来ている。

 真帆が、妹と前田さんとLINEのID交換をいつの間にかしており、今日も物販の手伝いを依頼してきたという。

 そんなわけで一緒にいる。

 前回のような新曲CDのリリースイベントではないから、そこまでファンが詰めかけるとは思えないが。

 まあいいや、僕の仕事量が減るから。

 

 物販までは、ライブを見学。

 次々とアイドルが登場してパフォーマンスする。

 妹と前田さんは、観客のオジサンたちと混ざって、オタ芸やってる…。

 “春日局” こと、徳川さんも出演していた。

 いつも彼女の衣装は和風の凝った造りだが、特注物なんだろうか?

 O.M.G.も和風の衣装にしては、どうだろうか? などと思いついた。


 つつがなく、ライブは終了し物販タイム。

 今日はリリイベの時ほどの行列はできていないので、ファン捌きは楽勝かと思ったが…。

 妹と前田さんは、最初、手伝いをしていたが、今回もまたファンと一緒にチェキを撮り始めた。

 その撮影は僕がやらされるので、結局、仕事が増えてしまった。


 今日も物販は、まあまあ売り上って、ホクホクでライブ会場を後にする。

 O.M.G.と一緒に僕と妹と前田さんは近くの喫茶店で打ち合わせ。

 最初に僕の『和風衣装もいいのでは?』と提案し、それが受け入れられて、作ってみようと言うことになった。

 O.M.G.のこれまでの衣装は既製品ばかりだそうだが、これまでの物販売り上げの内部留保もあるし、それを元手に特注で作ってみようということになった。

 それにしても、初めて提案したな。

 最初、僕がプロデューサーになったとき、O.M.G.に何か提案を出すという話もあったな、そう言えば。全然してなかったけど。

 今回は、プロデューサーっぽいこと出来たかな?


 そして、僕は妹と前田さんに文句を言う。

「お前たち、出演者でもないのに、お客さんとチェキ撮るんじゃないよ」


「だって、みんな、私たちが『可愛いから』といって、撮りたがるんだもん!」

 妹は反論してきた。


「僕の仕事が逆に増えてるんだが?」


「良いじゃんそれぐらい。私たち、売り上げに貢献してるんだよ!」


 僕と妹の口論の仲裁に、真帆が入って来た。

「真帆ちゃんと希ちゃんがチェキ撮っても別にいいよ。純也にも売り上げが増えた分は、分け前あげるから」


「ま、まあ、そういうことなら…」


「それより」

 龍造寺さんが割って入った。

「私たちの解散ライブについて打ち合わせしましょう」


「えー。解散しちゃうんですかー?」

 前田さんが尋ねた。


「ええ。元々、今年の夏までって決めてたから」

 龍造寺さんが答える。


「解散ライブは、派手に行きたいよね」

 宇喜多さんが手を挙げて発言する。

「500人規模のライブハウスでやりたい!」


 僕はびっくりした。

 大きく出たなあ。

 リリイベでは150人ぐらいは来てたのかなあ。

 それに350人を追加とはかなり難しいのでは。とは、言わずに話を聞いている。


「ライブ会場を探して押さえないとね」

 真帆が言った。


 その後も、ワイワイいいながら作戦会議を続け2時間ばかりして打ち合わせは終了した。

 最後に物販手伝いのバイト代を真帆にもらって秋葉原駅で解散した。


 帰りの電車のなかで、妹と前田さんが会話している。

「バイト代で、紗夜さんのお店で何か買おうよ」

 と妹。


「あっ、いいねー」

 前田さんは同意する。


 僕は尋ねた。

「上杉先輩のお店って何?」


「紗夜さんがバイトしてるアパレルのお店だよ」


「アパレル?」


「そう。ギャルの服とかアクセとか売ってるお店で店員やってるって。場所はサンシャインシティだよ」


「上杉先輩、そんなところで働いてるの?」


「お兄ちゃん、知らなかったの?」


 まあ、上杉先輩に興味ないからな。

「以前、『バイトの面接に行く』とだけは聞いたことがあったけど、何のバイトをしてるかまでは聞いてない」


「まあ、そういうことだから」


 そして、妹たちがどこに買い物に行こうが、興味ないけどな。

 そんなこんなで、僕らは家路を急いだ。

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