雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

小梁川さんと図書室で…~その2

公開日時: 2022年10月15日(土) 20:04
文字数:1,815

 水曜日。

 僕と織田さんの噂は絶賛流行中。

 それ以外は、何事もなく1日が過ぎ、放課後となる。


 僕は昨日、小梁川さんと約束をして、有効的なツイッターの運用方法について教えてもらうことになっている。

 東池女子校の宇喜多さんが“SNSの運用方法を知りたい”との言っていたので、それをネタにお近づきになりたいからだ。


 そんなわけで、僕は約束の場所の図書室で座って待っていた。

 少し遅れて小梁川さんがやってきた。

「遅れてごめんなさい」

 小梁川さんは、僕の隣に座る。


「全然大丈夫」


「じゃあ、早速、ツイッターについて教えるわね」


 ということで、新聞部のアカウント――実質は片倉部長のものだが――を中心に解説してもらう。

 まあ、以前、ざっと僕も見たことはあるんだけど、ムカついて途中で見るのをやめたからな。


 小梁川さんはスマホでツイッターを開く。

 僕は横から覗き込む。


「まあ、みんなが読みそうなネタをツイートするんだけど、見ての通り、恋愛ネタが多いわね。誰と誰が付き合ってる、とか」


 確かにそうだ。

 僕と織田さんが付き合っているとか、他の生徒についても同様なネタについて書いてある。


 実名は上げておらず、写真は後姿で本人かどうかはわからないが、ツイートはわかる人にはわかる、というような内容になっている。

 なので、自分と関係しない生徒の話は、正直よくわからないという状態。

 それでも、学校の生徒は結構見てるらしい。


 後は、片倉部長が何を食べたとか、食べ物の写真がアップされているだけのツイートもある。


「学校行事とかについては、つぶやかないの?」

 僕は質問する。


「最近だと学園祭については、結構つぶやいてたね」


 ツイートを少し遡る。

 学園祭の出し物などの写真が色々とアップされていた。

 占いメイドカフェのメイドの写真とか、体育館のステージの出し物など。僕が出演した白雪姫の舞台の写真、キスしているところもしっかりアップされていた。


 キスの写真はリツイートも、いいねも結構ついていた。


「やっぱり、こういう写真は、反応が多いわね」

 小梁川さんは言う。

 僕は思わず苦笑する。


「ゴシップ以外に反応のいいツイートはないの?」

 僕は尋ねた。


 学園祭の時のものでは、

 将棋部にプロ棋士が来ていた時の写真。

 科学部の科学実験の動画。

 写真部のコスプレ撮影大会の写真。

 ミスコンとイケメンコンテストの写真。

 外部から呼んだ漫才師のステージ写真。

 などが反応が良かった。


 なるほど。

 学園祭は東池女子校も終わっているからな。 

 それに、ゴシップネタ中心となると……。

 宇喜多さんのやりたいSNS運用とは違うような気がするなあ。

 一応、提案してみるか? どうしよう?


「他には?」

 僕はさらに尋ねる。


「これ以上は、あまりないなあ」


「そうか…。生徒会長選挙の頃は?」

 そう言えば、生徒会長選挙の時、それとなく伊達先輩の良いところをアピールするようなツイートがあったとかなんとか。


「遡ってみるね」

 小梁川さんは、どんどんスライドさせて、古いツイートをさかのぼる。

 

 そして、5~6月の頃のツイートが表示される。

 伊達先輩の写真と公約についてのツイートが結構アップされていた。


「これって、公平性に欠かない? 対立候補の北条先輩については全然ツイートが無いようだけど?」


「だって、これ、片倉部長の個人アカウントっていう体だから、大丈夫なのよ。新聞部公式だとダメだと思うけど。まあ、北条先輩から文句を言われたことは、あるみたいだけど、個人アカウントだからって突っぱねたみたい」


「新聞部のやっているアカウントはないの?」


「ないよ。でも、来年は私がこのアカウントを引き継ぐ予定。だから本当は新聞部のものみたいなものなんだけどね」


 そうなのか。


「ところで、なんで、こんなこと調べてるの?」


 東池女子校の生徒会長とお近づきになりたいから、とは言えず…。

「えーと…、部活の宣伝とかに使えないかなと思って」

 適当に嘘をつく。


「歴史研なら、お城巡りの時の写真とかいいんじゃない? お城の写真とか、良さそうじゃん?」


「まあ、そうだね……。考えてみるよ」


「じゃあ、もういいかな? そろそろ、部室に行かないと」

 小梁川さんはそう言って立ち上がった。


「うん。ありがとう」


 小梁川さんは図書室から去って行った。


 SNSについて、宇喜多さんに提案するには、もっとネタを集めた方が良いかもしれない。

 しばらくの間、その場で考えるもいい案は思いつかなかった。


 この後は、歴史研の部室に行くのも面倒なので、自宅に帰ることにした。

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