雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

伊達先輩ははかれない

公開日時: 2022年10月27日(木) 19:58
文字数:1,287

 木曜日。

 明日までに生徒会に対して提出する要望リストを充実させないと。


 多少無理な要望があってもいいと思い始めていた。

 もし、要望が通らない場合は、そもそも僕は副会長にならなくてもいいし。

 良く考えたら、生徒会のいざこざは僕にはどうでもいいことだった。


 今、リストにあるのは以下の通り。


【Hなことさせろ】

【僕と、宇喜多さんがLINE交換できるように計らってくれ】

【織田さんの昔の悪い噂を撤回させるよう尽力しろ】


 3つだけだと少なすぎる。せめて10個はほしい

 授業中も、1限目から勉強そっちのけで色々考えていた。

 そこで、思いついたのが、【僕の悪い噂を撤回させるよう尽力しろ】。

 生徒会役員選挙の時に、ひどい目にあったエロマンガ伯爵のことを、帳消しにさせる。

 まあ、いまさら、どうにもならないだろうけどなあ。

 一応、リストに入れた。


 放課後も部室で、家から持って来た将棋セットで、上杉先輩と対局しながら、さらに要望リストについて考える。

 

 やっぱり、伊達先輩に一矢報いたいな。

 近くで座ってスマホを見ている伊達先輩をチラチラ見ながら、伊達先輩にこれまでされたことを思い起こす。


 壁ドンされて脅された、エロマンガを盗まれて風紀委員に通報され怒られた、噂を流されてエロマンガ伯爵にされた、頬にキスされた、卓球部の合宿に行く羽目になった(これは伊達先輩が元凶かは不明)、生徒会の手伝いをやらされた。


 こんなところか。

 しかし、改めて思い起こすと、本当にひでえな。


 されたことを同じように、やり返すと考えると、こうなる。

【壁ドンし返す】

【エロマンガを伊達先輩のカバンに忍ばせた上、風紀委員に通報】

【悪い噂を流す】

【キスし返す】

【卓球部に送り込む】

【僕の手伝いを何かやらせる】

 微妙だなあ、あまり面白みを感じない。

 そして、リストに入れても、全部却下されそうだ。


 考え事をして、将棋の盤からしばらく目を離していたら、うっかり飛車を取られた。

 ド素人の上杉先輩に負けてしまいそうだったが、なんとか挽回した。


 そんなこんなで、下校時間となり、皆は歴史研の部室を後にした。

 帰宅後、さらに考える。

 もっと幅広く考えよう。


 今後もことも考えて、

【僕を謀略の対象にしない】

 これがあれば伊達先輩も僕に対してあくどいを策略を謀《はか》れまい。


 他に全然思い浮かばないので、

【妹の勉強を毎週見る】

 を追加。

 妹は喜びそうだ。


 夕食を取った後も考え続けるが、良いことが何も思い浮かばない。


 気分を変えて、LINEで雪乃へメッセージを送る。


『今、何してる?』


 大分経ってから返事が来た。


『ごめん。お風呂入ってた』

 メッセージの後、すぐに自撮り写真が送られてきた。まさかのバスローブ姿。


 僕は、ドギマギしながらメッセージを打つ。

『明日は、生徒会に行く?』


『演劇部だよ。なんで?』


『明日、僕が副会長になるかどうかの話し合いをするから』


『一緒の時間が増えるから、副会長になってね』


『それは交渉次第』

 とはいっても副会長にあまりなりたくない。

 どうしようか悩んでいるのが本音だ。


『上手くいきますように』


『ありがとう。今日はこの辺で。おやすみ』


『おやすみ』


 僕は再び、要望リスト作りに戻った。

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