雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

お悩み相談~その2

公開日時: 2023年4月1日(土) 20:11
文字数:1,753

 僕は次の悩み事を松前先輩に話し始める。


「実は、以前、気になる人が居たんです。その人も、僕のことが好きだった様子で、ちょっと良い感じになったことがあったんですが、相手が、どうやら、ほかの人と付き合っているようで、僕はあきらめたんです。ところが、相手は以前のように度々、僕にアプローチをしてくるので、ちょっと困惑していて。相手が一体どういうつもりなのか知りたい、と言うか…」


「あら、それは織田さんのことじゃなくて?」


「織田さんとは違います」

 これは、毛利さんの話だ。


「そう。織田さんとはうまくいっているのと思っていたのに、別れたと聞いたので」


「ええ、彼女ともいろいろありまして…」

 期間限定の(仮)付の彼氏のだったとは言わなくてもいいだろう。

 話を戻す。

「それで、その相談の女子は、どうしたいと思っているのかと。二股をしたいと思っているのか、とか…。女子目線から松前先輩のご意見をいただければ」


「そうね。相手には付き合っている彼氏がいて…」


 まあ、彼氏じゃなくて伊達先輩なんだけど。ここは訂正しないでおく。

 松前先輩の話を続けて聞く。


「それなのに、武田君に接近してくる、と…」


「そうです」


「武田君は、その人のことが好きなのかしら?」


「いや…、今はそれほどでも」


「武田君が、相手のことが好きで、相手に彼氏がいるのを気にしないというのであれば、付き合ってしまうのも一考だと思ったのだけど」


「えっ?!」

 僕は驚いた。

「それって、浮気相手になれと…?」


「そう、武田君が浮気相手だということが気にならないのであれば」


「いや、さすがにそれは気になります」


「じゃあ、話し合って、その女子、その彼氏と武田君の3人で付き合うとか」


「ええっ?!」

 僕は再び驚いた。

「それは、どういう…?」


「言葉の通りよ、3人で付き合うのよ」


「いや、さすがにそれは…」


「まあ、そうなると相手の彼氏にも了承を得ないといけないけどね」


「そう言うことが可能とは思えないです」


「そうかしから? 配信サイトで海外のドラマを見ていると、良くあるみたいだけど」


「それはドラマだからでは?」


「現実でもあるみたいよ」


「いや…、でも、さすがにそれは…」

 そうなると、僕と毛利さんと伊達先輩と3人で付き合うということになる。

 話をしていて、松前先輩の恋愛観もなんか、少し違うような気がすると感じた。

 雪乃もちょっと違うと感じたが…、それとも、僕がずれているのだろうか?

 わからなくなってきた。


 とは言え、松前先輩の提案の実現は、流石に無理だろう。

 僕は答える。

「それに、僕はその相手の女子が、もう好きではないんですよ」


「じゃあ、はっきりと“好きじゃないからやめてくれ”っていえばいいんじゃないかしら?」


「まあ、そうなのですが…。そうですね、わかりました、今度、何かされたら言います」


 その答えを聞くと、松前先輩は微笑んで見せた。


 毛利さんの件は、解決できるかもしれない。

 上杉先輩の方の解決は、ちょっとわからない、ということになりそうだ。


 松前先輩は再び尋ねて来た。

「他にないかしら?」


「今日のところは、これで十分です」


 悩みの解決はともかく、話をしたことで少しすっきりしたような気がする。

 さっき、松前先輩は『悩みを人に話すだけでも、心の負担は減るっていう』って言ってたっけ。


 その後は、松前先輩と世間話をする。

 話の内容は、お悩み相談の内容の流れで恋愛の話に。

 松前先輩は同じ占い研の蠣崎先輩と付き合っているんだそうな。

 同性同士の付き合いも、今の時代、珍しくもなくなっているし、やはり、毛利さんと伊達先輩も付き合っているんだろうな、などと考えを巡らせた。


 そして、松前先輩はネット配信の海外ドラマを良く見ているそうで、その中では、同性同士で付き合うとか、3人で付き合うとか、そういうのは良く見ると言っていた。

 僕がSF好きだということを言うと、あるSF作品で3人で付き合うシチュエーションのあるドラマを教えてくれた。

“それを参考にしてみて”と松前先輩は笑って言う。

 参考になるんだろうか…? とりあえず、今度見てみよう。


 そんなこんなで、悩み相談は終了した。

 僕は、悩みを聞いてもらったのと、コーヒーをおごってもらった礼を言うと、カフェの前で別れた。

 松前先輩は都電荒川線に乗って大塚駅まで帰るらしい。

 僕は徒歩で自宅に帰った。

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