雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

笑顔

公開日時: 2024年7月3日(水) 23:53
文字数:1,456

 金曜日。

 昨日のホワイトデーは、なんとか無事終了した。

 今日は放課後に徳川さんにクッキーを渡すのが残っている。

 あとは、一条さんだが、結局、彼女が誰かわからずじまいだったな。

 こちらは諦めることにする。


 金曜日の昼休み、恒例の“お弁当交換会”だ。

 僕と雪乃と毛利さんがいつものように体育館の観客席で横並びになって弁当を食べている。

 その途中、雪乃がホワイトデーの話題を切り出した。

「昨日の放課後、歩美は足利君と話してたじゃん? 珍しいね」


「そうかな」

 毛利さんは答えた。


「なんで?」

 雪乃は突っ込む。


「バレンタインデーの時に、足利君にチョコをあげたから、お返しをもらったの」


 僕は、毛利さんが悠斗にチョコをあげる現場を見た。

 教室だったから誰からも見れたんだけど。

 でも、この件は毛利さんが悠斗に本命チョコをあげたのではないかの疑惑が僕の中にある。


 雪乃は話を続ける。

「そうなんだ? なんか、良い感じだったじゃない?」


「そう?」


「そうだよ、あんな笑顔の歩美を見るの久しぶりのような気がしたよ」


「えー。いつも通りだよ」


「そんなことないよ。純也は最近、歩美の笑い顔を見た?」


「え?」

 急に話を振られたので驚いた。

「うーん。見てないかも…」


 毛利さんの誕生日のサプライズ以来、ずっと不機嫌そうだったよな。

 あれは、やりすぎだったかもしれない。

 でも、毛利さんって普段から不機嫌なこと多いような気がするが。


 そして、毛利さんと悠斗、良い感じなのか…。

 クリスマスでの告白で振ったのは僕の方だから、それについて何か言える立場にない。

 でも、今度、悠斗に探りを入れてみようかな。


 放課後。

 僕は、徳川さんと待ち合わせのためサンシャインシティ近くのカフェにやって来た。カフェに到着すると、徳川さんはすでに座ってカフェラテを飲んで待っていた。

 僕もカウンターでコーヒーを注文してから席に着いた。


「お久しぶりです」

 僕は挨拶をした。


「こんにちは。元気そうね」

 徳川さんは笑顔で挨拶を返した。

「名古屋遠征以来かしら?」


 2月末に、歴史研のお城巡りと、徳川さん、O.M.G.の遠征を合同でやったんだっけ。

「そうですね」

 早速、今日の要件を済ませてしまおう。

「これ…。バレンタインデーのお返しです」

 僕はクッキーの入った袋を徳川さんに手渡した。


「ありがとう。私のチョコはファンにあげるものの残り物だったのに、なんか悪いわ」


「まあ、お気になさらず」


「ところで、最近ライブに来てないのは、撮影があるって聞いたけど、何の撮影?」


「演劇部と映画研究部が共同で作っているショートムービーに、なぜか主役で出ることになって」


「へー。すごいわね。でも何で?」


「僕は、学校でちょっと有名人なので。みんな面白がっているんだと思います。」


「なにで有名なの?」


「それは、秘密ということで」

 事の発端は、“エロマンガ伯爵”と言われるようになってからだ。

 あれも、上杉先輩と伊達先輩の陰謀だったんだけどな。

 それ以降、何かとネタにされている。


「教えてくれないの? まあ、他の誰かに聞くわ」

 徳川さんはそう言ってカフェラテを1口飲んだ。

 そして、話題を変えた。

「ところで春休みも、お城巡りなんでしょ?」


「部としては、そうですね」

 僕は行くかどうかはわからないが。

「また、遠征とかぶったりしないですかね?」


「春休みは私は遠征に行かないわ。東京でライブ何本か入れているけど」


 O.M.G.も春休みは、宇喜多さんの家に行く話はしたが、遠征の話題が出なかったから、遠征は無いのかもしれないな。


 僕と徳川さんは、その後も1時間程世間話をしてから解散した。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート