雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

人探し

公開日時: 2024年5月29日(水) 20:58
文字数:1,420

 水曜日。ホワイトデーは明日。

 今日は、3月だというのにかなり寒い日だ。

 こういう日は布団に潜っていたいのだが、仕方ないので登校した。


 昨日、買ったホワイトデーのクッキーを紙袋に入れて学校まで持ってきた。

 今日のうちにクッキーを渡せそうであれば、赤松さん、小梁川さん、福島さんには渡そうと思っている。

 あわよくば、判明した蜂須賀さんと鍋島さんにも渡したい。

 そして、顔を知らない2人、一条さん、山名さんの人探しは続行中である。

 

 さて、どうやって探そうか?

 そうだ! 悠斗なら知ってるかもしれない。

 ダメもとで、ちょっと聞いてみるか。

 という訳で、朝、登校してきた悠斗に教室で話しかけた。


「悠斗、おはよう」


「純也、おはよう。教室で話しかけてくるの、珍しいね」

 悠斗はちょっと驚いた様子。


「最近は、VRのチャットばかりだったからな」


「だな…。それで、なにか用かい?」


「実は、人を探していて」


「人探し?」


「そう。バレンタインデーにチョコをくれた相手なんだけど、名前しかわからなくて」


「それは誰だい? でも、俺も知らないかもしれないぜ」


「一条さん、山名さんと言うんだが…」


「ああ! 山名さんは知ってるよ。確か一雄と同じクラスだったはず。E組だな」


 六角一雄君とはかろうじて知り合いだから、後でE組を尋ねてみよう。

 僕は礼を言う。

「助かるよ。後は一条さんか…」


「一条さんは知らないなあ。全校のクラスを回って大声で呼べばいいんじゃないか?」

 悠斗は笑いながら言った。


「さすがに、そういう目立つ行為はしたくない。ともかく、ありがとう」

 僕は話題を変えた。

「そう言えば、悠斗はホワイトデーのお返しはするんだろ?」


「もちろん」


「チョコを結構、沢山もらっていたけど、全員に返すのかい?」


「全員は無理かな。俺は出来る範囲で返すつもりだけど。純也もたくさんもらったんだろ? どうするんだい?」


「できれば全員に返そうと思って」


「義理難いなあ」


「そうかな? ともかく助かったよ」


 ここで、予鈴が鳴ったので、僕と悠斗は自分の席に着いた。


 そして、午前中の授業が終わり、昼休み。

 教室で、毛利さんと一緒に弁当を食べ終えると六角君を尋ねるためにE組に向かう。

 もし、山名さんに会えたら、クッキーを渡してしまおうと思って、クッキーの入った紙袋を手にしている。


 幸運なことに六角君はE組を出た廊下のところで、友達と談笑していた。

 ちょっと緊張しつつも、僕は声を掛ける。


「六角君」


 六角君は僕を見て驚いて目を見開いた。

「やあ! 武田君じゃないか! 学校で話しかけてくるなんて、珍しいね」


 六角君と直接話をするのは、合コンぶり。

 VRゲームでチャットをたまにしている程度の関係性だ。

 僕は答える。

「実質、初めてじゃない?」


「だよねぇ。それで、なにか?」


「実は、山名さんを捜しているんだよ」


「ああ、あいつね。呼んでこようか?」


「お願いするよ」


「わかった、ちょっと待って」

 六角君はそう言うと、E組の教室に入って行ったが、すぐに教室から出て来た。


「今、いないなあ。多分、食堂じゃあないかな」


「そうか…。残念」


「食堂に行ってみる? それとも休み時間に来るか、放課後に部室に行ってみたら?」


「部室? 山名さんって、何部なの?」


「水泳部だよ」


「そうなの?!」

 なんと! 赤松さんも水泳部のはず。これは手間が省けそうだ。

「じゃあ、放課後、部室に行ってみるよ。ありがとう」


 僕は六角君に礼を言うと、自分のクラスのA組に戻ってきた。

 後は、一条さんだけか。

 どうやって探そうかな?

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