雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

モデル

公開日時: 2025年1月1日(水) 00:40
文字数:1,875

 土日は、何事もなく平穏な日々だった。

 昼夜通して、VROMMPRG“色彩の大陸”をやって過ごした。

 短時間ではあるが、悠斗や六角君、それにユミコさんもログインしてきたので、一緒にプレイした。


 それとは別に、真帆からはLINEで連絡があって、今週末はO.M.G.も、新学期で何かと忙しくなりそうだということで、ライブのスケジュールを入れてなかったそうだ。

 来週末からは出演があるというので、僕も手伝いで駆り出されることになった。


 明けて月曜日。

 日中は平穏に授業を終えて放課後となった。

 先週、美術部の蜂須賀さんにモデルをやってほしいと言われて承諾してしまったので美術教室に向かう。

 今日は、毛利さんも今日から図書委員の仕事で図書室に駆り出されるので、歴史研の活動は無しとなっている。

 もともと、歴史研は平日は活動してないけどな。


 美術教室の扉を開けると、半分金髪、半分ピンク髪の蜂須賀さんがイーゼルにキャンバスを置いて、待ち構えていた。

 そして机の上には絵具、筆、パレット、筆洗いなどが置かれていて、準備万端の様子。


「やあ、来たよ」

 僕は挨拶をした。


「うん。ありがとう」

 蜂須賀さんは表情を変えず挨拶を返してきた。


 僕は美術教室の中を見回すが、僕と蜂須賀さん以外に誰もいない。

「ほかの部員は?」


「今日は、他のみんなは休みにしてもらったのよ」


「あ。そう」


「2人きりの方が、武田君が緊張しなくていいと思ってね」


「まあ…、そうだね」


 蜂須賀さんはイーゼルの前のおいてある椅子に座って言う。

「じゃあ、モデルよろしく」

 蜂須賀さんは、指で“そこに立って”と合図した。


「う、うん」

 僕は蜂須賀さんの前に立つ。


「じゃあ、脱いで」


「え?」


「脱いで」


「はあ?! なんで脱ぐんだよ?!」

 僕は驚いた。


「モデルやってくれるって言ったじゃん」

 蜂須賀さんはため息混じりにいう。


「そうだけど…。モデルって、ヌードモデル?!」


「そうだよ。なんだと思ったの?」


「いやいやいやいや。普通に服を着たモデルと思っていたよ」


「私は、普通の絵なんか描かないわよ」


「この前は、普通にリンゴとかの絵を描いていたじゃん?」


「あれは、コンクールに出すためのものよ。コンクールは無難な作品を出さないといけないから」


「えええー…」


「だから、さっさと脱いで」


「断る」


「困るなあ…。せっかく色々と参考にしようと思ったのに」


「参考って、何の?」


「私、同人マンガでBLとか、エロを描いてるじゃん? リアルなのを見たことがないので、その参考」


「あのねえ…」


「リアルで知っていると、知ってないとでは全然違うと思うんだよ」


「だったら、僕以外の男にお願いすれば?」


「武田君以外にこんなのお願いできないよ。それに、武田君なら裸になるの抵抗ないと思ってたんだけど」


「抵抗あるよ! 僕は露出狂じゃあない」


「よく女の前で裸になってるんじゃないの?」


「はあ?」


「だって、織田さんと付き合っているんでしょ? 彼女の前で裸になってないの?」


「彼女とは付き合ってないし、彼女の前で裸になったりしない」


「そうなの?」


「一時期付き合ってたけど、もう去年の秋ごろの話だよ」


あの織田さんと付き合ってて、Hもしてないとか信じられないんだけど」


「本当にしてないよ。蜂須賀さんは織田さんのことを誤解している」


「そっかぁ…」

 蜂須賀さんは残念そうにうつむいて、話を続ける。

「織田さんにもモデルをお願いしたかったんだけどなあ」


「それは、本人に直接頼んでみたら?」

 雪乃なら、ヌードモデルぐらいやりそうだよな。


「でも、武田君と一緒じゃあないと意味がないんだよ」


「え? どういうこと」


「2人がヤってるところを絵のモデルにしたかったんだけど」


「はあ?! 何、言ってんの?!」


「言ったままだよ」


「断固拒否する」


「別にいいじゃん。これは芸術なんだから」


「いやいや。わいせつでしょ?」


「芸術だって。古今東西、ヌードの絵なんてごまんとあるじゃない?」


「ヤ、ヤ…、ヤってるところは、普通のヌードと違うでしょ?」


「私が新しいジャンルを開拓しようと思ってるの」


「ともかく、僕はヌードモデルも…、ヤ、ヤってるところのモデルはやらない」


「しょうがない…。諦めるか…」

 蜂須賀さんは残念そうに言う。

「じゃあ、服を着たままでいいからモデルをやってよ」


「ま、まあ…、それなら…」

 僕は安どのため息をつく。


 先日、蜂須賀さんのことは少々ぶっきらぼうな所はあるが、別に変わり者じゃないと思ったが撤回する。

 片倉先輩が言っていた通り、蜂須賀さんはかなりの“変わり者”だな。


 落ち着いたところで、蜂須賀さんは僕に妙なポーズを指定して、それを描き始めた。

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