雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

風呂椅子

公開日時: 2023年10月28日(土) 20:26
更新日時: 2023年10月28日(土) 20:53
文字数:1,447

 火曜日の放課後。

 また、真帆に呼び出されてサンシャインシティのマックに来ている。

 最近は、毎週、真帆に呼び出されているような気がする。

 O.M.G.の件の打ち合わせと思ったら、その話題は少なめで、先週はプリクラ、先々週はサンシャイン水族館、先々々週はてんぼうパークに行ったよな。

 これって毎週、真帆とデートしてるみたいだ。

 まあ、いいけど。


 サンシャインシティまでやって来た。

 2月なので最近は派手にバレンタインデーの飾り付けがなされている。

 噴水広場は臨時のチョコ売り場となっていて、にぎわっていた。


 マックに到着して、いつものように120円ドリンクを買って待っている。

 しばらくすると真帆がやって来て、ドリンクを持って席についた。

「おまたせ」


「やあ、今日は何?」


「先週、話した名古屋遠征、決まったよ」


「そうか。月末?」


「うん、2月の最終週、天皇誕生日と合わせて3連休になってるから。2泊3日で3公演」


「え、天皇誕生日? そうだっけ?」


「そうなの。それで、歴史研の人たちは、やっぱり無理そうかな?」


「えっ…、そうだなぁ…、名古屋城は行ったからね。あと、愛知県だと犬山城や岡崎城なんかも行ったから…。今回は一緒に行くのは無いんじゃない?」


「そっか、残念だなぁ。一応、念のために聞いておいてよ」


「まあ、聞くのはいいんだけど…」


「あとね」

 真帆は話を続ける。

「春日局さんから紹介された作曲家、フロイスさんって言うんだけど、彼にお願いした楽曲制作が進んでいて、その歌入れが2月中にありそうなの」


「風呂椅子…?さん、変な名前だね」


「フロイスって、当然、芸名だよ」


「芸名でも変でしょ? 風呂椅子って」


「そう…かな…?」


「まあいいや。それで、CD販売は今月中?」


「ううん、ライブで発表するには振り付け考えたりするのがあるし、今月は学校の試験もあるから、いろいろ忙しくて3月になりそうなのよ」


 振り付け…、そうだよな。

 楽曲制作は思ったよりやることが多くて大変そうだな。

 僕は何もしてないけど。


 そして、試験か。

 雑司が谷高校も当然試験がある。

 最近はちょっと、勉強がおろそかになっているので、真面目に勉強しなければ…。

 明日から本気出す。


 真帆が話題を変える。

「もうすぐバレンタインだね」


「そうだね」


「純ちゃん、チョコもらえそう?」


「チョコ?」


 妹は毎年、義理チョコくれてるな。

 あとは…、

 毛利さん。

 雪乃。

 以上の3人は、くれそうだな…、多分。


「ええと…、多分、もらえると思う」


「だよねー。純ちゃん、モテるもんね」


「モテてないよ」


「モテてるよ。謙遜も時として嫌味だよ」


「そんなつもりじゃあ…」


「ふふふ…。私もあげるね」


「え…、うん、ありがとう」

 じゃあ4つか。

 そう言えば、ファンに配るために手作りチョコを作るとか言ってたよな。


 去年までは、妹がお情けでくれる1個だけだったのに、そう思うとスゴイ進歩だな。

 その後、しばらく世間話をしてから、今日はどこにも行かずに真帆と別れて帰宅した。


 夜、家の用事をすべて終わらせて、自室ベッドに転んでくつろいでいる。

 少し悩んだが、今日の真帆からの名古屋遠征について伊達先輩に報告しておくか。真帆も念のため聞いておいてくれと言っていたし。


 SMSで、伊達先輩にメッセージを送る。

『2月のO.M.G.のライブ遠征は、月末の三連休に名古屋だそうです』


 少したって返事が来た。

『わかったわ』

 

 それ以上については、返事がなかった。

 今後こそ、お城巡りは無しになればいいのにな。


 ちょっと早いけど、今日は眠ることにした。

 試験勉強、明日から本気出す。

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