自室で睡眠中。
僕は体に重さを感じたので目を開けた。
すると目の前に、宇喜多さんが居たので、驚いて目を見開いた。
宇喜多さんは横になっている僕の上に覆いかぶさるようにして僕を見つめていた。
彼女の三つ編みの髪が僕の顔に掛かっている。そして、いい匂い。
さらに驚いたことに彼女は下着のみの姿なのだ。
ちなみに、下着の色は白だ。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと! 宇喜多さん!」
僕は驚きのあまり、彼女をよける様に体を横にずらした。
ドサッ!
僕はベッドから転落して目が覚めた。
「夢か…」
それにしても、なんてリアルな夢だ。
正直、僕は宇喜多さんとお近づきになりたいという下心はある。
しかし、まさか夢にまで出てくるとは。
でも、前の土曜日に織田さんが(仮)といえども彼女になったばかりじゃないか。
いや、(仮)だから浮気にならないよな?
とは言え、こんな夢を見てしまって、ちょっと罪悪感を抱いた。
夢に出てきたのが織田さんなら、罪悪感もなかっただろうに。
僕は、ため息をついた。
僕は立ち上がって、時計を見た。
少し早いが、学校に行く準備をしよう。
僕は制服に着替えて部屋を出た。
ダイニングでは妹の美咲が朝食を食べていた。美咲は中学の制服であるセーラー服を着ている。
美咲は僕の姿を見ると話しかけて来た。
「さっき、すごい音がしたけど?」
「ああ、ベッドから落ちたんだよ」
「またエッチな夢、見てたんでしょう?」
美咲は呆れる様に言う。
「見てないよ」
僕は呆れている妹をよそに、ダイニングの椅子に座り、母親が準備していた朝食のパンを頬張る。
妹はさらに畳みかけてくる。
「どうせ夢に出たのは、織田さんでしょ?」
フフッ。
はずれ。ざまーみろ。
「織田さんじゃあないよ」
これまでは、夢に出て来た女子を大体当てられていたが、そもそも、妹は宇喜多さんを知らない。
「お兄ちゃん、なにニヤついてるの? キモい」
妹は眉間にしわを寄せて言い放った。
「お兄ちゃん、Hな夢を見るのもいいけど、ちゃんと女子の気持ちを勉強しなよ。そんなんじゃあ、いつまでたっても彼女できないよ!」
フフッ。
妹よ。女子の気持ちをそれほどわかってなくても、僕には、もう彼女が居るんだよ、(仮)だけど。
妹は僕のニヤつく顔を見てもう一度、言い放つ。
「なんでニヤついてるの? キモッ!」
妹にキモがられた…。
「そろそろ学校行かなきゃ」
そう言うと、妹は立ち上がって、家を出て行った。
僕も朝食を平らげて、ちょっと早いけど学校に行くことにした。
もう11月。
11月はどうなるんだろう。
夢のリア充生活ということでいいのか?
1か月は仮の彼氏だ。月末までに織田さんのことを好きになったら、正式に付き合おうという事だが、果たして僕は彼女のことを好きになるのだろうか?
自宅から徒歩5分で学校に到着。
校舎に入り、げた箱で上履きに履き替えていると、元気よく挨拶してくる声。
「おお! 武田君! おはよう!」
織田さんだ。
「おはよう」
早速、織田さんは腕を組んできた。
「土曜日はありがとう」
彼女は笑顔で言う。
「こちらこそ」
やっぱり、彼女(仮)が居るのは、ちょっと嬉しいかな…。
続いて背後から挨拶してくる聞きなれた声。
「おはよう」
毛利さんだ。
「「おはよう」」
僕と織田さんは返事を返した。
毛利さんは、僕と織田さんが腕を組んでいるのをチラッとみてから、一人で教室に向かって行った。
僕らも続いて教室に向かう。
そして、それぞれの席に着く。
席に座っていると、イケメン幼馴染の悠斗も登校してきた。
「おはよう、純也。なんか機嫌よさそうだね」
「そう?」
「なんかいいことあったのかい?」
「え、別に」
「ニヤついて、キモイよ」
悠斗にもキモがられた。
「実は織田さんと付き合うことにした」
公然と腕組んだりしてるし、隠すことは無いだろう。
「えっ!!」
悠斗はすごく驚いた様子。
無理もない。
「どういうことだい?!」
「どうも、こうも…。文字通り、付き合い始めたんだよ。仮だけど」
「仮?」
「まあ、お試し期間ってとこかな」
「なんだよそれ」
「僕にまだ織田さんに対して恋愛感情がないから、1か月間、仮で付き合ってみようってことになってる」
「純也、恋愛感情の無いの? それで、付き合う? その、仮って、織田さんが言ってきたのかい?」
「そうだよ」
「それってさあ…」
悠斗がニヤつきながら言う。
「仮っていうと、恋愛感情が無い純也に、付き合うのをOKさせるための策略なんじゃない? OKする心理的ハードルが下がるだろ?」
「えっ? まあ…、確かに下がったかな…」
「それを狙ったんだよ? 織田さんは、ただ純也とヤリたいだけなんじゃない? 彼女に犯されないように気を付けなよ」
「織田さんは、そんなことしないよ!」
ちょっと声が大きくなった。
「おいおい、どうしたんだよ…」
僕は滅多に大声を出さないので、悠斗は困惑している。
「ゴメン」
僕は咄嗟に謝った。
予鈴が鳴ったので、僕らは席についた。
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