雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

快楽を追求する

公開日時: 2024年4月13日(土) 20:48
文字数:2,655

 毛利さんと僕は学校を後にして、徒歩5分の距離の自宅へとやって来た。

 早速、僕は毛利さんを自室へと案内すると、台所に行ってインスタントのコーヒーをマグカップ2つに淹れ、トレイにのせると再び自室へと戻った。

 毛利さんはローテーブルの傍に座っているので、僕もローテーブルの反対側に座る。そして、コーヒーの入ったマグカップをローテーブルの上に置く。


 僕らはコーヒーを飲みつつ話を少しする。

 話題は、まず怪文書の犯人の件。


「新聞部が下駄箱で犯人を捕まえられると思う?」

 毛利さんが疑問を呈する。


「どうだろう、わからないよ」


「成田さんが犯人だとしたら、今日、新聞部の手の内を見せてしまっていることになるから、ホワイトデーに下駄箱に手紙を置くというのは、ないと思う」


「まあ、そうだよね…。成田さん以外が犯人でも、下駄箱に手紙を置くというのは、無いかもしれない。あれは、片倉部長の予想だからね」


「そうね」


「もし、犯人が学校内で何かをやるにしても、手がかりがほとんどない状況じゃあ、僕らとしては何もできないよ」


「私もそう思う」


「まあ、犯人が何か動いたら、それに対応すると言うことしかできないと思う」


「あとは、部活の名前というのがヒントなのかも」


「そうだなあ…」

 僕は考えを巡らせる。

「そういえば、去年の学園祭のミスコンとイケコンの優勝賞品の王冠は、伊達先輩が服飾部が作ったって言ってたな」


「服飾部から盗むとか…?」


「うーん、どうだろう? 毛利さん、服飾部の知り合いは居る?」


「クラスの服部さんって服飾部だったはず」


「そうだっけ? じゃあ、服部さんにホワイトデーに何か盗まれないか気をつけて、って言えば良いのかな…?」


 僕は服部さんとは口を聞いたことがない。

 聞くと、毛利さんもほとんど話をしたことが無いと言う。


「じゃあ、明日にでもちょっと話をしてみるよ」

 陰キャの僕には、口を聞いたことがない女子に話しかけるのはハードルがかなり高いが、頑張るしかないな。


「ところで」

 毛利さんが話題を変える。

「成田さんが、武田くんを下の名前で呼んでたね」


 その話題かよ。

「そうだね。さっきも言ったけど、毛利さんが怪文書の差出人Pが成田さんだって言うから、この前、成田さんのあだ名は何かって聞いたんだよ。その話をしてたら、なぜか僕の下の名前を呼ぶってことになって…」


「ふーん」

 毛利さんはちょっと不満そうに答えた。


「じゃあ、毛利さんも僕のことを下の名前で呼べば良いじゃん?」


「え…? うん、じゃあ、そうする」


 やれやれ、お好きにどうぞ。


「じゅ…、純也くん」

 毛利さんは、照れ臭そうに僕の名前を呼んだ。


「お、おう…。じゃあ、僕も毛利さんの下の名前で呼ぶけど?」


「うん。いいよ」


 そうは言ったもものの、女子の下の名前を呼ぶのは、なぜか緊張する。

 雪乃は、かなり慣れて抵抗はない。

 真帆は、まだ少し照れくさいが、なんとかクリアしている。


「えーと…。あ、あ、あゆ、歩美」

 僕は、照れ臭いのをなんとか我慢して名前を読んだ。


 名前を呼ばれて毛利さんはちょっと赤くなって照れている。

「なんだか、付き合いたての恋人同士みたいだね」

 毛利さんは、そう言った。


「え? あ、ああ、そうだね…」


 でも、まあ、恋人同士でなくても、クラスの陽キャ男女たちは結構、名前で呼び合ってるけどな。

 でも、これって、ちょっと『いい感じ』ってやつだよな。

 僕と毛利さんは付き合ってないのに。

 雪乃とも付き合ってないけどキスしてて、キス友ってやつになってしまっているし。

 これでいいのだろうか…?


 いや、待て。

 今年のはじめに『快楽を追求する』って決めたじゃあないか。

 これでいいのだ。

 よし、今日も快楽を追求することにする。


「あのさ」

 僕は毛利さんに声をかける。


「なに?」


「この前の続きをしない?」


「この前って?」


「ほら、僕が毛利さんの家に行った時の続きだよ」


「えっ? それって…」


「胸を触りたい」


「えっ…? うん…、いいよ」


 よし!

 僕は心の中でガッツポーズをした。


 しかし、毛利さんの胸を触る前にやることがある。

 僕は立ち上がって、扉を開けた。

 廊下に妹はいない。

 念の為、僕の部屋の隣にある妹の部屋を確認した。そこにも妹はいない。

 今日、妹は中学からの帰り、どこか寄り道をしているのだろう。


 よし。妹に邪魔されずに、いちゃつけるぞ。

 千載一遇のチャンスなのでは?


 僕は部屋に戻った。


「どうしたの?」

 毛利さんは、突然部屋を出て行った僕の行動に疑問を持ったようだ。


「いや。妹が居ないか確認してきた。いつも良いところで邪魔されるからね」


 そういうと、僕は毛利さんの右隣に座った。

 そして、左手を毛利さんの胸に向ける。

「じ、じゃあ、触るよ」


「うん」

 毛利さんは恥ずかしそうに。うなずいた。


 僕は、彼女の胸を服の上から、ゆっくりと揉んでみる。


「あっ…」


 毛利さんが声を上げたので、僕は驚いて手を胸から離した。


「ご、ごめん…。痛かった?」


「ううん…。大丈夫」


 本当に大丈夫なの?

 本人が、大丈夫と言うので信じることにする。

 再び手を伸ばして、毛利さんの胸を揉み始めた。

 なんか…、僕は興奮してきた。


 毛利さんも、時折、声が漏れる。

「あっ…、んっ…」


 そんな声をだされたら…。

 僕は、さらに興奮してきた。

 やばい…、理性が。


 僕の理性が限界を超える寸前、家の扉が開かれて、ドタドタと階段を登ってくる音がした!

 僕は慌てて、毛利さんから離れた。

 次の瞬間、勢いよく僕の部屋の扉が開けられた。


「お兄ちゃん、ただいまー!」

 中学校帰りで、制服であるセーラー服姿の妹が部屋に入ってきた。


「こんにちはー!」

 妹に続いて前田さんが部屋に入ってきた。


 僕は2人に抗議をする。

「お、お、おまえら、なんの用だ?! なんで、直接僕の部屋に来た?!」


「だって、お客さんが来てたみたいだから、挨拶しなきゃと思って…。あっ、毛利さんだ! こんにちは!」


「こ、こんにちは」

 毛利さんは、何もなかったふうに妹に挨拶を返した。


「こんにちはー。初めてですよねー?」

 次は、前田さんが毛利さんに挨拶をする。

「私は、前田と言いますー。私もお兄さんと同じで、卓球をやってます。よろしくお願いします」


「僕は卓球をやってないぞ」

 僕は前田さんの発言を直ちに訂正をした。


 妹と前田さんは、ローテーブルの横に座った。

 僕は2人の行動に驚いて尋ねた。

「えっ?! なんで居座るの?」


「だって、たまには毛利さんとゆっくり話をしてみたいじゃん?」

 妹は不満そうに言う。

 やれやれ、勝手にしてくれ。

 妹と前田さんは、毛利さんにいろいろと質問をしたりして世間話を開始した。


 妹め、今日も邪魔しやがって...。

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