雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

図書館

公開日時: 2022年12月21日(水) 20:06
文字数:1,644

 土曜日。

 図書館に行くことになっている。

 毛利さんに休んでいる間の勉強を教えてもらうためだ。


 僕は自宅から徒歩で東池袋駅近くの図書館へ向かう。

 複数の科目の教科書を持参したので、カバンがちょっと重い。

 それでも約束の時間より早く到着。

 図書館は少し混んでいたが、2人分の席を確保し、LINEで位置を毛利さんに教えて、彼女が来るのを待つ。


 しばらくして毛利さんがやって来た。

 今日の彼女のコーデは、茶色のセーターにカーキ色のロングスカート。やっぱり大人っぽい雰囲気でやって来た。


「おはよう」

 毛利さんは挨拶をした。


「やあ、おはよう」


 早速勉強を開始する。

 毛利さんはノートを持って来てくれていたので、それを写しながら彼女の説明を聞く。

 なんやかんやで、休憩を挟みつつ3時間ばかり複数の教科を教えてもらった。


 勉強が終わり、僕らは遅い昼食を取りにサンシャインシティに行く。

 今日のお礼に昼食は、僕が奢ってあげた。

 食事の後は、毛利さんの提案でカフェに移動して休憩する。

 そのカフェは通路に面しているので、多くの人々が行き交うのが見えた。


「織田さんって私服はどんな感じなの?」

 突然、毛利さんが質問する。


「え? そうだな……」

 僕は、カフェの前を行き交う人の中で、雪乃が着ていたような服の人を何人か指摘して教えてあげる。


「あの人の服装が、ちょっと似てる」


「スカート、短いね」


「そ、そうだね。丈が長めの時もあったよ…。でも、なんで、こんなこと聞くの?」


「え…? なんとなく気になって…」


 毛利さんも、女子だからファッションは気になる所なのかもしれんな…。でも、いつも地味な毛利さんだけど、雪乃みたいな格好をするのは想像出来ない。


「ねえ、先週、織田さんと付き合うかどうか今月末に決めるって言っていたけど、決めたの?」


「え? いや、まだ決めてないよ…。けど、来週には決断しないといけないんだよ」


 なんで、毛利さんは、この件も気にしているんだ?

 やっぱり僕を二股の相手にしようって企んでいるのかな?

 織田さんとどうするかは、僕は実は考えている。でも、毛利さんには言うこともないだろう。


 次に、やはり毛利さんの提案で、夏休みの最後に一緒に行ったサンシャイン広場へ。

 サンシャイン広場はサンシャインシティの建物の屋上、ベンチが幾つかあって、意外にもあまり人が来ないところ。

 時間は夕方4時。しかし、11月中旬ということもあって、だいぶ肌寒く感じた。

 陽の当たる場所は少々暖かいので、僕と毛利さんはそこを選んでベンチに並んで座った。


 この前、毛利さんとここに来たのは8月末。3か月前か。

 あっという間だな。

 あの時は、毛利さんに小指を絡められたんだった。

 そして、僕が毛利さんを意識し始めた頃。

 あの後、毛利さんと付き合ってたら、どうなっていたんだろうか?

 もし、付き合っていたら、今頃、キスしたかな? Hもしただろうか?

 最低、キスはしてただろうな。僕の部屋でキス寸前までいったから。


 などと物思いにふけっていたら、毛利さんが話しかけてきた。

「もう少しで、今年も終わるね」


「そうだね…。あと1か月と少しか…」


 思い返すと、雑司が谷高校に入学してから、いろいろ大変な事ばかりだったな。

 そして、現在進行形で北条先輩に脅されている。

 平和で何事もなかった中学の頃とは大違いだ。

 やれやれ。思わず苦笑してしまう。


 そんな、僕の様子を見て毛利さんが尋ねた。

「なんで笑ってるの?」


「いや、ロクなことのない大変な年だったなって」


「まだ1か月あるじゃない? きっと、いいことがあるよ」


「だといいけどね」

 あまり期待しない。

「毛利さんはどうだった?」


「うーん…。まあ、楽しかったかな」


「そいつは良かった」

 毛利さんは、伊達先輩とラブラブだから、さぞ楽しかろう。

 2人でデートしたりするんだろうか?


 しばらく話をしていたが、時間が経つにつれ、気温も下がって来たので帰ることにした。

「もう、帰ろうか。今日は勉強ありがとう」


「うん」

 毛利さんは静かに返事をする。


 僕らは立ち上がり、歩いて東池袋駅へ向かう。

 そして、そこで別れた。

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