雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

大洲城でおやすみ

公開日時: 2021年9月22日(水) 22:34
文字数:1,457

 水曜日。


 今日は生徒会長選挙の投票日だ。

 午後の授業が終わった後、各クラスで投票のための時間が10分ほど取られた。

 僕はもちろん「伊達恵梨香」と名前を書いて投票した。

 エロマンガの件が気になっているが、伊達先輩には当選してほしい。


 文学少女の毛利歩美も、イケメン同級生の足利悠斗も、帰り際に誰に投票したか聞くと、僕がお願いしていたこともあって、伊達先輩に入れてくれたらしい。

 ありがたや。


 僕と毛利さんは、一緒に歴史研究部の部室に向かう。

 校舎の4階、奥の奥、理科準備室。


 僕は部室の扉を勢い良く開け、伊達先輩と上杉先輩に挨拶をした。


「投票しましたよ!」


「ありがとう」


 伊達先輩は微笑んで礼を言ってくれた。


「私も入れました」


 毛利さんもアピールする。


「ありがとう」


「これで、当確だね!」


 上杉先輩が声を上げた。


「まだ、箱が開くまでわからないわ。でも、もうできることは無いわね。やれることはやったと思うし、武田君の応援演説でいい方向に行ったと思うわ」


「そうですかー?」


 僕は伊達先輩のその言葉に納得できず、怪訝な声で言った。


「逆効果ではなかったでしょうか?」


「そんなことないと思うわ。まあ、結果を見ればわかるわね」


 伊達先輩、ちょっと余裕そうだが、自信があるのだろうか?

 いずれにしても、票は選挙管理委員会によって集計され、明後日の金曜の朝には結果が掲示板に張り出される予定だ。


 僕と毛利さんは椅子に座ると、昨日、毛利さんは居なかったから、伊達先輩が改めて夏休みの城めぐりと合宿について説明をする。僕も、もう一度聞く。

 毛利さんは、なぜかノリノリで行きたがっている。


「ところで、合宿の場所だけど、どこかリクエストはないかしら。ただし関東近県の温泉地で」


「うーん」


 温泉地で有名なところと言えば…。


「熱海とか箱根ですかね?」


「草津とか鬼怒川もいいかも」


 毛利さんが提案する。


「伊東なんかも良いかな」


 上杉先輩も提案してきた。

 まあ、僕はどこでも良かったが。


「じゃあ、あみだくじにしましょう」


 そう言うと、伊達先輩はノートを取り出し、1ページを切り取ってあみだくじを作り出した。


 5本の縦線の先には、熱海、箱根、草津、鬼怒川、伊東と書かれている。

 しすて、僕らがそれぞれ、横線を適当に加えていく。


「じゃあ、やるわね」


 伊達先輩が適当に1つスタートを決めると、指をなぞって進めていく。

 すると…。


 伊東に決定した。


「やった!」


 上杉先輩がガッツポーズをする。


「あー」


 毛利さんが天を仰いだ。

 僕はどこでもよかったので、結果を静かに受け入れる。


「じゃあ、決まりね」


「ところで、合宿とお城めぐりの日程はどうなるんですか?」


 毛利さんが尋ねた。


「7月の内に、中部~関西の城めぐり、8月上旬に合宿、8月下旬に関東

 の城めぐりでどうかしら?」


 僕はどうせ暇なので、いつでも良かった。

 上杉先輩も毛利さんも異議は無いらしい。決まりだ。


「話は変わるけど、泊まれるお城があるのを知っているかしら?」


 伊達先輩が話題を変えた。


「いえ。そんなお城があるんですか?」


「愛媛県の大洲城、1人55万するけど」


「「「ひえー」」」


 僕らはその金額に驚いた。

 伊達先輩は僕らの反応が面白かったのか少し笑いながら言う。


「さすがにそこまで出せる部費は無いわね」


「宝くじでも当たらないとねー」


 上杉先輩が諦めたように天井を見つめた。


 僕らは、その後、小一時間ほど雑談をして、部室を後にした。


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大洲城キャッスルステイの情報

https://castlestay.ozucastle.com/

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