リビングルームのソファで睡眠中。
「「「「起きろー!」」」」
大声、しかも複数の声で目が覚めた。
「うわっ!」
僕が目を開けると、妹の美咲、前田、丹羽、溝口が僕を取り囲んで覗き込むように見下ろしていた。
「な、な、なんだよ! サラウンドで起こすんじゃない!」
「朝は、お兄さんを起こすのが妹の仕事って、美咲ちんに聞きましたー」
前田さんは、僕の驚いた姿が面白かったのか、笑いがながら言った。
「妹の仕事?」
そうか、昨夜、前田さんに今日から一週間、妹をやってくれってお願いしたんだっけ。
「そんな仕事はない」
僕は、そう言いつつ身を起こした。
「お兄ちゃんは、いつも私に起こされてるじゃん?」
妹が不満そうに言う。
「何言ってるんだ、目覚ましが鳴る前に、お前が勝手に部屋に入って来てるんだろ。勝手に入ってくるなよ」
「目覚ましが鳴っても起きないじゃん?」
「そんなことはない」
「それより、お兄さん、今日は学校に行くんでしょー?」
前田さんが僕を立たせようと腕を引っ張る。
「お、おう、そうだな」
「撮影があるんでしたっけ?」
丹羽さんが尋ねた。
「うん」
「AVでしたっけ?」
溝口さんが尋ねた。
「高校生がAVに出れるわけないでしょ?」
僕はあきれて答えた。
「お兄ちゃん! 高校卒業したらAVに出るつもりなの?!」
妹が大声を上げた。
「今の会話、どう聞いたらそうなるんだよ?」
「お兄ちゃんなら、やりかねないから」
「お前は、どういう風に僕を見てるんだ」
「そういう風だよ」
「お兄さん」
前田さんが割って入った。
「早く朝ごはん食べないと、撮影に間に合いませんよー」
「お、おう、そうだな」
僕は時計を見る。
まだ、だいぶ時間が早いじゃあないか…。
しかし、目が覚めてしまったし。
朝から女子4人との絡みは疲れるし、さっさと学校に行くとするか。
僕は起き上がって、ダイニングテーブルまでやってきた。
テーブルの上にはトースト2枚とマグカップにコーヒーが。
「私が準備しましたー、妹の役目ですからー」
前田さんが嬉しそうに言う。
美咲は朝食を作らないぞ。
前田さんは妹というより、母親みたいになっている。
しかし、好きにさせてあげよう。
「お、おう。ありがとう。お前らの分は?」
「私たちはもう食べましたー」
「あ、そう」
「後で私たちも、撮影、見に行くよ」
妹が言う。
「昨夜もそんなこと言ってたな。でも、何しに来るんだよ?」
「エロい撮影じゃないか、確認するためだよ」
「そんな撮影じゃないって言ってるだろ」
「私、卓球部の見学もしたいですー」
前田さんが言う。
「島津さんもいるかもしれないしー」
前田さんは、卓球部兼歴史研の顧問である島津先生を尊敬してるんだっけ。
「まあ、見学ぐらいならいいんじゃない? 島津先生もいるかもしれないし」
「私も柔道部を見学したいです!」
丹羽さんが言う。
「私は美術部を」
溝口さんが言う。
なるほど、溝口さんは美術に興味があるんだな。
「まあ、いいんじゃない?」
勝手に行ってもいいかは、よく知らないが、まあ大丈夫だろう。
「お前ら、雑司ヶ谷高校に入学したいの?」
「はい! 私は島津さんがいるから、入学しますー!」
前田さんは元気よく答えた。
「私も興味あります!」
丹羽さんが答えた。
「私は、家から近いから」
妹は、僕みたいなことを言う。
「美咲ちんと、のぞみんと、はるるんがいるなら私も行きたいです」
溝口さんは答えた。
「あ、そう」
彼女らが入学するとしても、まだ1年先の話だからな。
質問しておきながら、あまり僕の興味をひかなかった。
「私たちは、後から行くから」
妹がそう宣言すると、女子4人は一旦、妹の部屋に戻っていった。
僕は席について、トーストを食べる。
朝食を食べ終えると、自室に向かう。
昨夜、女子たちに貸していた自室は綺麗に片づけたようで、女子たちのものは何も残っていなかった。
前田さんが寝ていたであろうベッドも綺麗に整えられていた。
僕は自室で制服に着替えて、まだ少し時間は早いが学校に向かう。
学校に到着すると、今日の最初の撮影場所である、下駄箱付近までやってきた。
時間が早かったので、撮影班の映画研究部のみが機材の準備などしていた。
しばらく待っていると、雪乃はじめ演劇部のメンツも集まってきた。
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