さらに翌日。
今日も学校を休んだ。
呼吸も問題なくできているし、体調はとっくに通常に戻っているが、やはり精神的に回復していない。
面倒なトラブルに関与したくないので、昨日も考えたが、このまま学校通うのやめようかな。
そんなことを考えつつ、1日を過ごす。
放課後の時間になって、妹が帰ってきたようだ。
ドタドタと階段を登ってくる音。
ノックがあって扉が開かれると、そこには妹だけでなく、悠斗がいた。
「調子どうだい?」
悠斗は開口一番で尋ねて来た。
「大分、いいよ」
僕は横になったまま答える。
「じゃあ、私はこれで」
妹はニヤつきながら言い放った。
「あとは、お小姓におまかせします」
妹は言い放つと、さっさと部屋を出て行った。
もう、いいって。
「え? コショウ?」
悠斗は尋ねる。
「妹の言うことは聞き流してくれ」
悠斗はベッドの脇に座った。
「そう言えば、過呼吸はストレスとかが原因だって保健室の先生が言ってたけど、生徒会のことと関係あるのかい?」
悠斗、鋭いな。
しかし、本当のことを言えない。
「いや、関係ないよ」
「そうか。体調がさほど悪くないのなら、明日は球技大会だけで授業が無いし、気晴らしになるから来たらどうだい?」
「球技大会か…、そうだったな…」
「まあ、無理にとは言わないけどね…。純也は卓球を選んだんだっけ?」
「ああ、そうだよ。悠斗はサッカーか」
「当然」
「そう言えば、サッカー部のほうは、調子どうなの?」
「先週、東京大会の準決勝で負けたよ」
「そうか、惜しかったな」
「雑司が谷高校としては、準決勝進出は初めての快挙だったんだよ」
「来年は優勝出来るんじゃない?」
「そうなるように頑張るよ」
悠斗は頑張れるものがあっていいな。
そう言えば、他のみんなも目標があって…、
雪乃は、女優。
毛利さんは、図書館司書。
伊達先輩は、政治家。
松前先輩は、心理カウンセラー。
小梁川さんは、科学ジャーナリスト。
羽柴先輩は、卓球でドイツ留学。
上杉先輩は何も無さそうだな。
こういう人がいると、ちょっと安心する。
いや…、上杉先輩、何も考えてない風で、じつは何か考えているのかもしれない。
何に対しても情熱が湧かず、そして、何も考えていない自分は果たしてこれで良いんだろうか…?
うーん…。
自室に籠っていると、ネガティブな思考に陥るから、明日は気晴らしに学校に行くか。
「織田さんも寂しがってるようだから、来れたら来なよ。じゃあな」
悠斗は部屋を出て行った。
雪乃か…。
そうなのだ、雪乃の方も来週には決着を付けないといけないのだ。
お試しで付き合って、2週間と少し、このまま付き合い続けるのか、別れるのか。
決断の日は近い。
悩みは尽きないな。
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