雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

大奥〜その3

公開日時: 2022年12月13日(火) 17:40
文字数:1,080

 さらに翌日。

 今日も学校を休んだ。

 呼吸も問題なくできているし、体調はとっくに通常に戻っているが、やはり精神的に回復していない。

 面倒なトラブルに関与したくないので、昨日も考えたが、このまま学校通うのやめようかな。


 そんなことを考えつつ、1日を過ごす。

 放課後の時間になって、妹が帰ってきたようだ。

 ドタドタと階段を登ってくる音。

 ノックがあって扉が開かれると、そこには妹だけでなく、悠斗がいた。


「調子どうだい?」

 悠斗は開口一番で尋ねて来た。


「大分、いいよ」

 僕は横になったまま答える。


「じゃあ、私はこれで」

 妹はニヤつきながら言い放った。

「あとは、お小姓におまかせします」

 妹は言い放つと、さっさと部屋を出て行った。

 もう、いいって。


「え? コショウ?」

 悠斗は尋ねる。


「妹の言うことは聞き流してくれ」


 悠斗はベッドの脇に座った。

「そう言えば、過呼吸はストレスとかが原因だって保健室の先生が言ってたけど、生徒会のことと関係あるのかい?」


 悠斗、鋭いな。

 しかし、本当のことを言えない。


「いや、関係ないよ」


「そうか。体調がさほど悪くないのなら、明日は球技大会だけで授業が無いし、気晴らしになるから来たらどうだい?」


「球技大会か…、そうだったな…」


「まあ、無理にとは言わないけどね…。純也は卓球を選んだんだっけ?」


「ああ、そうだよ。悠斗はサッカーか」


「当然」


「そう言えば、サッカー部のほうは、調子どうなの?」


「先週、東京大会の準決勝で負けたよ」


「そうか、惜しかったな」


「雑司が谷高校としては、準決勝進出は初めての快挙だったんだよ」


「来年は優勝出来るんじゃない?」


「そうなるように頑張るよ」


 悠斗は頑張れるものがあっていいな。

 そう言えば、他のみんなも目標があって…、

 雪乃は、女優。

 毛利さんは、図書館司書。

 伊達先輩は、政治家。

 松前先輩は、心理カウンセラー。

 小梁川さんは、科学ジャーナリスト。

 羽柴先輩は、卓球でドイツ留学。


 上杉先輩は何も無さそうだな。

 こういう人がいると、ちょっと安心する。

 いや…、上杉先輩、何も考えてない風で、じつは何か考えているのかもしれない。


 何に対しても情熱が湧かず、そして、何も考えていない自分は果たしてこれで良いんだろうか…?

 うーん…。

 自室に籠っていると、ネガティブな思考に陥るから、明日は気晴らしに学校に行くか。


「織田さんも寂しがってるようだから、来れたら来なよ。じゃあな」

 悠斗は部屋を出て行った。


 雪乃か…。

 そうなのだ、雪乃の方も来週には決着を付けないといけないのだ。

 お試しで付き合って、2週間と少し、このまま付き合い続けるのか、別れるのか。

 決断の日は近い。

 悩みは尽きないな。

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