雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

大晦日の予定

公開日時: 2023年5月24日(水) 21:23
文字数:1,568

「起きろー!」

 呼びかける声に、僕は目を開けた。

 目の前に、妹の美咲が覗き込むようにして僕を見下ろしていた。

 僕は驚いて起き上がる。

「おおっ?! なんだよ?! ノックしてから入って来いよ!」


「ノックしたけど返事ないから、死んでるのかと思って入ったよ」


「生きてるぞ」


「もうお昼だよ。いつまで寝てんの? お母さんが、お昼ご飯出来たって」


「そうか」


 妹は、僕をジロジロ見て言った。

「服のまま寝てたの?」


「え?」

 そうか、昨日の夜帰宅して、かなり疲れていたからそのまま寝てしまったのか。

「あ、ああ、疲れが酷くてな」


「ともかく、もう起きなよ。冬休みだからと言って、あんまりダラダラしないでよ」

 そう言って部屋を出て行こうとした妹の背中に、僕は声を掛けた。


「あ、そうだ。お土産買って来たぞ」


「ええっ!?」


 赤穂城前のお饅頭屋さんで買って来た 鹽味饅頭しおみまんじゅうを手渡した。


「これはお饅頭?」


「そうだよ」


「ありがとう。ちゃんとお土産買ってくるようになったね」


「まあな」

 妹のクリスマスプレゼントのポーチは、“お土産買って来い”って意味でくれたくせに。

 妹が部屋を出て行ったあと、僕は一応、服を着替えてから昼食を食べに1階のリビングに降りた。そして、昼食をたいらげると、自分の部屋に戻って再びベッドに転がった。


 しばらくスマホをイジっていると、LINEでメッセージが来た。

 アイドルユニット“O.M.G.”の細川さんだ。


『純ちゃん、今、東京?』


『うん。昨日の夜、戻ってきたよ』


『じゃあ、明日の大晦日のカウントダウンイベント来ない?」


 ああ、そういえば、以前、そんなイベントに出るとか言ってたな。

 カウントダウンということは大晦日の夜から、日付が変わるまでだよな。

 夜は、年越しそばでも食べた後は、寝たい。

 という訳でお断りする。

『ゴメン、大みそかは家族の予定があって、やっぱり行けない』


『残念(´;ω;`)ウゥゥ また声かけるねー♡』


 すんなり引き下がってくれた。


 そしてしばらくマンガを読んでいると、またメッセージが来た。

 上杉先輩だ。

『昨日はお疲れ様。ところで、歴史研のメンバーで大晦日に初詣に行くから集合ね』


 大晦日に初詣? なんじゃそりゃ?

 大晦日にお参りして、神様にお願いしたら、そのお願いの有効期限は0時までの数時間なのでは?

 上杉先輩のメッセージに困惑して、返事をどうしたものかと考えていたら、続きのメッセージが来た。


『既読スルーするんじゃないよ!』

 それと、怒り顔のスタンプが。

 しょうがないので、すぐに返事を送る。


『いや、大晦日に初詣の意味が分からなくて…』


『大晦日の夜の集合して、0時になったらお参りするんだよ』


 そういう事かよ…。

 大晦日の夜は、年越しそばでも食べた後は、寝たいので行きません、と返事を書こうとしたが、奴隷生活はまだ続いているんだった。上杉先輩の命令には、拒否権は無いのだ。

 奴隷状態は1月5日までのなので、もう少しの辛抱だ。


 とりあえず返事を書く。

『どこにお参りに行くんですか?』


『雑司ヶ谷鬼子母神』


 それにしても、雑司ヶ谷鬼子母神を選ぶとは、明治神宮とかそういう有名なところじゃなくて、マニアックだよな。

 まあ、あそこなら、地元で家から数分で近いし、人が多くなさそうだから良いか。


『わかりました』


『じゃあ、夜の11時45分に地下鉄雑司ヶ谷駅の地上出口に集合ね』


『了解です』


 そしてしばらくマンガを読んでいると、またメッセージが来た。

 今度は、雪乃だ。


『明日、何してる?』


『日中は寝て、夜は歴史研のメンバーと初詣に行く予定』


『私も行く!』


 雪乃が同行することは歴史研のメンバーに、いちいち確認しなくても良いか。

 ダメとは言わないだろうし。

 という訳で、

『いいよ。じゃあ、夜の11時45分に地下鉄雑司ヶ谷駅の地上出口で』

 と返事を送った。


 歴史研のメンバー+雪乃か…。

 なんか、大晦日も波乱の予感がするな…。

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