雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

春休みの予定

公開日時: 2024年7月28日(日) 21:44
文字数:1,570

 休みが明けて木曜日。

 昨日は、あの後、上杉先輩は夜まで僕の部屋でダラダラして、さらには僕の両親とも一緒に夕食を食べて帰宅していった。

 両親とも、仲良くなってしまっている。

 やれやれ。


 さて、今日は放課後に伊達先輩に呼び出されていたので、しぶしぶ部室に毛利さんと一緒に向かう。

 校舎4階の端の端、理科研究室でもある歴史研の部室の扉を開けた。


「「こんにちは」」

 僕と毛利さんは挨拶をした。


「いらっしゃい」

「来たね!」


 伊達先輩と上杉先輩はいつものようにポテチを肴に、ジュースを飲んでいた。


 僕と毛利さんは椅子に座る。

 早速、僕は質問をした。


「何か用があると聞きましたが」


「そうよ」

 伊達先輩はジュースの紙パックを机の上に置くと話始めた。

「春休みのお城巡りのことよ」


「やっぱり…」

 そうじゃあないかと思った。


「春休みは、岡山、香川、徳島のお城を巡るわ」


「岡山は中国地方、香川、徳島は四国だから簡単にはいけないのでは?」


「瀬戸大橋があるから、問題ないわね」


「そうなんですね」


「今回は、どのお城を廻るんですか?」

 毛利さんが尋ねた。


「岡山城、津山城、備中松山城、鬼ノ城、徳島城、高松城、丸亀城の7つよ」

 伊達先輩はスラスラと答える。


「多くないですか?」

 僕は少し驚いて言う。


「そんなことないわよ。7つ巡ってちょうど50巡ったことになるし」


「まえに関西に行ったときも7つ巡ったでしょ!」

 上杉先輩にツッコまれた。


「100のちょうど半分ですね」

 毛利さんが言う。


「予定どおりね」

 伊達先輩は冷静に答えて、ジュースを一口飲んだ。


「えーっと、何日ぐらいかけるんですか?」

 僕は尋ねる。


「4月1日から5日までの4泊5日よ」

 

 再来週か。


「それで、新幹線使いますよね?」


「この時期は青春18きっぷでしょ!?」

 上杉先輩に再びツッコまれる。


「えええーっ…」


 青春18きっぷは、JR在来線で乗り放題になるきっぷだ。

 新幹線や特急には使えない。


「東京~岡山間って、何時間かかるんでしょうか?」


 伊達先輩が説明する。

「池袋を8時16分に出発して、岡山に着くのは20時35分よ」


「12時間以上かかるってことですか?!」


「そうね。途中で食事で下車しようとも考えているから、実際はもっとかかる予定ね。1日目と5日目は移動のみ、2~4日目で7つのお城を巡るのよ」


「そうですか…」

 過酷すぎる。

 やっぱり参加しないことにしよう。


「今回はさすがにO.M.G.と一緒にはならないよね?」

 上杉先輩が尋ねた。


「ええ、確か遠征はないと聞いています」


「そっか、今回は久しぶりに4人で移動かなあ」

 上杉先輩は残念そうに、椅子の上で反り返った。


 まあ、僕は行かないから3人で行ってください。


「織田ちゃんとか、行かないかなあ?」

 上杉先輩は尋ねた。


「さあ、どうでしょうか。演劇部なんかもありますから、難しいのでは?」


「新聞部は、どうかなあ?」

 上杉先輩は畳み掛けるように尋ねた。


「さあ…」


「キミ、最近新聞部とも仲がいいみたいじゃない? 聞いといてよ」


「まあ、聞くぐらいなら…」


「将棋部の成田ちゃんとか、どうかなあ」


「上杉先輩が直接聞けばいいじゃないですか?」


「それもそうだけどさ」


 そうだ、忘れてた。

「そう言えば、成田さんとの将棋対決の撮影はどうだったんですか?」


「ああ! なかなか楽しかったよ! 色々教えてもらったら、かなり強くなったよ」


「本当ですか?」


「あーっ!? 疑ってるな?」


「疑ってます」


「昨日、キミんちで対決すればよかったね」


「そうですね。今度、対決しましょう」

 上杉先輩が強くなっているはずがない。


「また、来週に続きの撮影があるんだよ」

 上杉先輩は嬉しそうに言う。


「そうなんですね」


「前回のYouTubeの再生回数が、結構いってるからね」


「へー」

 そう言えば、まだ見てなかったな。

 家に帰ったら見てみるか。


 この後も、つまらない会話をしながら下校時間まで過ごした。

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