雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

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谷島修一
谷島修一

クリスマスプレゼント検討会議

公開日時: 2023年3月11日(土) 23:32
更新日時: 2023年5月19日(金) 01:07
文字数:2,176

 火曜日。

 この日も放課後、卓球部に参加してきた。

 最初に校庭1周ランニングをし、その後、福島さんのマンツーマン指導。

 指導のおかげか、だいぶ卓球に慣れてきたような気がする。

 そして、福島さんはあたりも柔らかいので、安心して指導を受けていられる。

 今日は、歴史研の女子3人は部室の掃除をしてるらしいので、体育館には顔を出すことが無かった。

 そんなこんなで、平穏に卓球の練習が終わり、さっさと帰宅する。


 自室で部屋着に着替えるとベッドに横になる。

 ところで、ちょっと悩みがある。

 週末はクリスマスだ。

 その日に雪乃の出演する舞台を毛利さんと一緒に見に行くのだが、クリスマスプレゼントを2人にあげたが方がいいのだろうか?

 たまたま舞台を見に行く日がクリスマスだというだけで、クリスマスプレゼントを渡すのか?

 とは言え、僕が手ぶらで行って、2人ともプレゼントを用意していたら、ばつが悪いし。

 逆に僕だけプレゼントを持って行って、2人が何も準備してなかったら2人にばつが悪い気分にさせてしまうかもしれない。


 さらに雪乃は誕生日が12月28日なのだ。

 11月の僕の誕生日の時にプレゼントでネクタイピンをもらったので、お返しの意味も含めて、こちらも何か検討しなければならない。

 しかし、僕がプレゼントをもらったのは(仮)とはいえ付き合っている時。別れてしまった後に、元カノにプレゼントを贈っていいのだろうか?

 そして、誕プレを渡したら、よりを戻すことに変に期待を持たせてしまうみたいで、その点どうなのかと考えている。


 そして、そもそも女子にプレゼントって何がいいのか見当がつかないな。

 しばらくベッドで横になったまま考えて、ふと思い立った。

 そうだ! 妹に聞いてみよう。

 僕は起き上がって、階段を降り1階に行く。

 妹は、台所で冷蔵庫を開けて紙パックのジュースを飲もうと、それを手にしていた。

 僕は声を掛ける。


「なあ、美咲」


「何?」


「クリスマスプレゼントなんだけど…」


「えっ?!」

 妹は目を見開いて驚いた様子で尋ねて来た。

「お兄ちゃん、私にクリスマスプレゼントくれるの?!」


「いや、違う」


「なーんだ。ドケチのお兄ちゃんがプレゼントくれるなんて、あるわけないと思った」

 妹は落胆して、ダイニングの椅子に座り、コップにジュースを注ぎ始める。


 僕は構わず尋ねた。

「一般的に、女子が喜ぶクリスマスプレゼントって何だろう?」


「私にも、くれるんだったら教えてあげる」


 しまった、妹に聞いたのは間違いだったか…。

 仕方ない。

「安い物だったら、いいぞ」


「それで、誰にあげるの?」


「雪乃…、織田さんと毛利さんだよ」


「2人!? お兄ちゃん、二股なの?」


「いや、違う。たまたま、2人とクリスマスに会うことになってだな、それで、プレゼントを用意した方が良いのではないかと考えているのだ。それに、織田さんは誕生日も近いのでそれも併せて」


「あー、そういうこと。いいかもね」


「で、何がいいと思う?」


「うーん」

 妹はしばらく考え込んでから答えた。

「パンツとかいいんじゃない?」


「パンツ?!」


「そう」


「パンツって、下着のことか」


「そうそう」


「いやいやいやいや、付き合っている相手ならまだしも、2人はただのクラスメイトだぞ、下着なんかあげたらドン引きだろ」


「そんなこと無いよ。今の流行りは男子が女子にパンツをあげるんだよ」


「お前、絶対嘘だろ」


「チッ、引っ掛からなかったか」

 妹は悔しそうにする。


「なぜ、だまそうとする?! 僕が2人にドン引きされてもいいのかよ?」


「あの2人は、お兄ちゃんに変に良いイメージが付いているみたいだから、正さないといけないと思って」


「それに、今の話の流れだと、お前にもパンツをあげることになるけど」


「お兄ちゃん、変態」


「なんでやねん」

 僕はため息をついてから再び尋ねた。

「真面目に答えてくれよ。お前にもプレゼント買ってやってもいいって言ってるだろ」


「そっか…。マフラーとか手袋は定番すぎて面白くないよね…」

 妹はコップのジュースを一口飲んでコップをドンと置き、決断したように言う。

「じゃあ、髪留めとかどう? そんなに高くないものもあるし、お兄ちゃんでも買えるでしょ?」


「髪留めって、高くないのか?」


「1000円ぐらいであるよ」


「1000円か…」

 雪乃、毛利さん、妹で掛ける3で3000円か。

 今月は合コン行ったりしたので、少々財布の中身が厳しいのではあるが、致し方ない。

「わかった。髪留めにするよ。ありがとう」


「あとは、織田さんに誕プレって、もう付き合ってないんだから、もうあげなくてもいいんじゃない?」


「いや、僕の誕生日の時に誕プレをもらったからな、スルーも良くないと思うんだ」


 妹は再び少し考えてから尋ねて来た。

「なるほどねえ…。お兄ちゃん、織田さんには何もらったの?」


「タイピン」


「そっか…」

 妹はちょっと長いこと考えている。

「思いつかないや」


「困ったな…」


「で、クリスマスプレゼントのほうは、いつ買いに行くの?」


「明日にでも行って来るよ」


「私もついて行く! お兄ちゃん、センスないから、変なデザインのを買わないように。それに、お店で見たら、織田さんの誕プレも良いのが思いつくかもしれないし!」


「わかったよ。じゃあ、明日、学校終わったらサンシャインシティで合流な」


「了解~」


 僕はクリスマスプレゼント問題が解決したので、再び自室に戻ってベッドに横になった。

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