雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

妹と買い物

公開日時: 2023年3月18日(土) 20:13
文字数:1,988

 午後の授業が終わり、放課後、卓球の練習に顔を出す。

 今日も福島さんからマンツーマン指導を受ける。


 卓球の練習が無事終わり、その後は、サンシャインシティにクリスマスプレゼントを買い行くため、妹の美咲と合流する予定になっている。

 学校から徒歩でサンシャインシティへ向かう。15分もすれば到着できる。

 歩きながら、昼休みに伊達先輩、上杉先輩もクリスマスに雪乃の舞台を見に行くというので、あの2人にもプレゼントを買わなければいけないかどうかの件で引き続き悩んでいた。


 すると、スマホが鳴る。LINEでメッセージが。

 見ると伊達先輩から、歴史研のグループ宛に僕の心を見透かすような提案があった。

「折角、クリスマスに会うんだし、舞台を見た後、みんなでプレゼント交換しない?」


 歴史研でプレゼント交換か。

 そうなると、伊達先輩、上杉先輩の2人分が1人分に減る。


 それに対する、上杉先輩、毛利さんの賛成の表明がメッセージで来た。

 僕も賛成のメッセージを送る。

 というわけで、今日、買わなければいけないものは、

 1.雪乃の誕生日プレゼント

 2.雪乃のクリスマスプレゼント

 3.毛利さんのクリスマスプレゼント

 4.妹のクリスマスプレゼント

 5.歴史研の交換用クリスマスプレゼント

 の5点。


 5点か…。1点減ったとはいえ、当初予想からは増えたのには変わりない。

 僕の財布の中身が持つだろうか…。

 雪乃は、誕プレとクリスマスプレゼントを一緒にしてしまうか?

 毛利さんの分は歴史研のプレゼント交換の分で済ませればいいのでは?

 そして、妹は難癖つけて買わずに済ませようか?

 そうすれば、2つで良いな。

 などと、考えながら歩いているとサンシャインシティに到着した。


 先に来ているはずの妹にLINEを送って居場所を確認する。

 夢の国のショップでぬいぐるみを見ているというので、そこに向かう。


 無事に妹を見つけることができた。

 僕は声を掛ける。

「よう」


「あっ、お兄ちゃん!」

 妹は僕の姿を見つけると、手に持っている小さなぬいぐるみを一旦、棚に戻した。


 早速、妹にプレゼントの件で話をする。

「美咲。実はプレゼントを5つ買わなければいけなくなったのだが、少々手持ちが心もとないんだ」


「そうなの? なんで増えたの?」


「歴史研のメンバーでプレゼント交換をしようと言う話になって、その分が増えた。だから、なるべく安い物で済ませたいんだよ」


「まあ、安くても気持ちがこもっていたら良いんじゃない?」


「そうだよな…。じゃあ、美咲は“気持ち”だけでいいか?」


「はあ?! 誰のためにここに来てると思ってるの?!」

 妹は怒って文句を言い始めた。

「私の場合は、気持ちはいらないから、モノだけちょうだい!」


 やっぱり怒るよな。


「ああ…。なんで、こんなダメ男のことを毛利さんと織田さんは好きになったのか…」

 妹がブツブツ言いだした。そして、文句を一通り言い終えると、目の前に並んでいた、ぬいぐるみを指さした。

「お兄ちゃん! 私は、これでいいよ!」


 僕はそれを手に取って値札を見た。

 あ、思ったより安い。

「いいぞ」

 僕は承諾した。


 僕の答えを聞いて、妹は機嫌を少し治した様子。

「織田さんの誕プレもこのお店で買おうよ」

 そう言って、別のぬいぐるみを手にした。

「これが良いと思う」


「本当に、これで大丈夫か?」


「夢の国のキャラクターを嫌いな人は世界に居ないから」


 本当かよ。

 まあ、いいや。

 値段もそれほど高くないので、妹の言葉を信じることにする。

 というわけで、雪乃の誕プレを妹の分と合わせて購入した。

 店員に個々に袋詰めしてもらう。

 そして、早速、妹の分を妹に手渡す。


「ありがとう」

 妹は嬉しそうにぬいぐるみの入っている袋を大切そうに自分のカバンに入れた。


「じゃあ、次、行くよ!」

 妹の機嫌は完全に直ったようだ。


 確か、雪乃と毛利さんのクリスマスプレゼントには、髪留めを買うと言ってたな。

 と言うわけで、アクセサリーショップへ向かっているようだ。


 途中、女性下着専門店の前を通過する。

 妹が嬉しそうに店の方を指さして、僕に言う。

「ほら、パンツ、パンツ」


「パンツは買わない。そして、恥ずかしいからやめろ」


 などと兄妹でアホなことをしつつ移動。そして、ほどなくしてアクセサリーショップに到着した。


「じゃあ、髪留め選ぶね」

 妹は店内を物色し始める。

 しばらく経って、5、6個ピックアップして提示してきた。

「この中から選ぶと良いと思うよ」


 この際、デザインを選ぶセンスは妹を信じることにする。

 派手めな物は織田さん用に、地味めな物は毛利さん用に決めた。

 そして、購入。


「プレゼント交換用にはね、お菓子が良いよ。食べれば後に残らないから、後腐れなし」

 そう言って妹は洋菓子店に行こうとする。

 面倒なので、妹の言う通りに適当なお菓子を買ってプレゼント購入の任務が完了となった。


 妹に選んでもらって、だいぶ手間が省けた。そして、予想より安くついたので、ほっと一息つくことができた。

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