翌日の朝7時。
「起きろー!」
呼びかける声に、僕は目を開けた。
目の前に、上杉先輩が覗き込むようにして僕を見下ろしていた。
「あ…、おはようございます…」
僕は眠気を堪えなかがら、身を起こした。
「おはようございます、じゃなあいよ」
上杉先輩は呆れる様に言う。
「キミたち、一緒に寝てたの?」
「ええっ!?」
僕は、上杉先輩の発言に驚いて、横を見た。なんと徳川さんが僕のベッドの中で寝ているではないか!
徳川さんは僕のほうを見て笑っている。
僕は驚いて尋ねた。
「な、な、何でここで寝てるんですか?!」
「ひどーい。昨晩のこと忘れたの?」
「はあっ?! なにも覚えてないですけど?!」
「武田君、昨晩はあんなに激しかったのにー」
「いやいやいやいや、まったく身に覚えがないんですが?!」
僕と徳川さんのやり取りを見て、上杉先輩は腹を抱えて笑っている。
そうか。また、くだらないいたずらを仕掛けて来たんだな。
「まったく、こういう冗談はやめてください! 心臓に悪いです」
徳川さんは身を起こしながら言う。
「いや、なんか、武田君がいつも女の子と寝てるから、これぐらいじゃあ驚かないんじゃないって聞いたので」
「誰にですか!?」
「上杉さんよ」
「まったくのデマです」
上杉先輩は、まだ笑っている。
「あー、おかしい。涙出て来たよ。でも、この前、細川ちゃんと寝てたよね?」
「いや、それも上杉先輩が仕組んだ事じゃあないですか?」
「そうだっけ?」
「そうですよ…。本当にいい加減にしてください」
まったく、こういういたずらは辞めてほしい。
アホなことは、これぐらいにして、僕は女子たちを部屋から追い出して出発の準備を始める。
そして、1時間後の朝8時にロビーへ。
女子たちも集まってきている。
真帆が話しかけて来た。
「昨日、山登りした後、ライブで踊ったから足が筋肉痛だよー。純ちゃんは大丈夫?」
「うん。山城に行くのは慣れてるし、僕はライブに出てないからね」
「そっかー」
O.M.G.の他のメンバーも足が痛いとか言っている。
一方、徳川さんは、平気そう。
さて、一行は栄から地下鉄で名古屋へ。そこからJRで松阪まで移動する。
今日は、“青空フリーパス”というきっぷを使う。
土曜・休日及び年末年始に2620円で、名古屋に中心としたJR東海の路線が多くが乗り放題となるきっぷ。
今日は、松阪の松坂城、岐阜の岐阜城をみるのだが、“青空フリーパス”ですべて賄える。
8時37分発の“快速みえ”に乗る。
10時前には松阪駅に到着した。
さらに、駅からは徒歩15分程度で松阪城に到着できる。
今日のお城は駅チカなので、助かる。
松坂城。
蒲生氏郷によって1584年に築城された。
氏郷は小田原合戦の戦功により会津若松城に封ぜられ、松坂城を後にする。
その後は、服部一忠、古田兵部少輔重勝、大膳亮重治が在城。
1619年に和歌山入りした徳川頼宣の紀州藩領となった。
天守は1644年の台風によって倒壊したと伝えられる。
現在でも立派な石垣が残っており、城跡公園として近隣住民に親しまれている。
天守台に登れるのだが石垣には柵がなく、うっかりすると転落しそうになるので、気を付けよう。
お城を堪能した後は、一行は駅まで戻って来る。
そして、駅の近くで昼食を食べる。
松坂牛を食べたいところだが、高いので却下。
普通に定食屋さんでご飯を食べた。
昼食の後は、次の目的地の岐阜城へ向かう。
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松坂城の情報
https://www.matsusaka-kanko.com/information/information/matsusakajyousek/
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