雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

占いメイドカフェ2日目~その3

公開日時: 2022年7月3日(日) 09:30
文字数:1,257

 さあ、あと2時間、オムライス作りをやれば、もう終わり。もうひと頑張りだ。

 占いメイドカフェは、まだまだ混んでいた。


「武田君」


 今度、声を掛けて来たのは、卓球部兼歴史研顧問の島津先生だ。


「お、お帰りなさいませ、お嬢様。先生、卓球部の方は良いんですか?」


「ええ。それに、こちらの方も見ておかないとね。一応顧問だから」

 島津先生は教室内を見回してから続ける。

「とても繁盛しているみたいね」


「はい。忙しくて倒れそうです」


「さすがは伊達さんプロデュースね」


 確かに伊達先輩でなければここまで繁盛しなかったかもしれない。僕をダシに使っているというのは、少々不満だが。


「肝心の伊達さんは?」


「今日は生徒会室に籠っているようですよ」


「そうなの? 後で、様子を見に行ってみるわ。じゃあ、オムライスも食べていくわね」

 そう言うと、島津先生は席についた。


 さらに、忙しくオムライスを作り続けていると、僕の名前を呼ぶ聞きなれた声がした。


「お兄ちゃん」


 顔を上げて見ると、そこには妹の美咲とその友達らしき3人の女子がいた。


「お、お帰りなさいませ、お嬢様。ていうか、また来たのか?」


「えー、ひどいなー。折角友達も連れてきたのに」


「それは、どうも」


 その友達女子3人が僕を見て何か言っている。

「これが美咲のお兄さん? きゃはは」

「はー、……」

「お兄さんに似なくてよかったね」


 なんだぁ? 笑われて、落胆されて、ディスられたぞ。


「じゃあ、頑張ってね」

 そう言うと、美咲たちはメイドに誘導されて席についた。


 さて、そんなこんなで、そろそろ閉店時間の5時に近づいた。4時半をラストオーダーにしたので、お客さんもぼつぼつ減り、オムライスの注文も最後の1つとなっている。


 そして、ついに最後のオムライス作り終えて、ホッとため息をついて椅子に座った。

 お客さんも大分減った。メイドたちも少々、手が空き始めたようだ。


 座って休んでいると、ギャルメイドの上杉先輩が絡んできた。

「ねえねえ! 折角だから、ご奉仕してあげるよ」

 

「え? いいですよ、別に」


「遠慮しないで、ご主人様ぁ」


 上杉先輩が、可愛い子ぶってるのは、気持ち悪い。


「こっち座って! ご主人様ぁ」


 しょうがないな…。客席の方へ引っ張って行かれた。


「ご注文は? ご主人様ぁ」


 ウザい…。


「ええと…、オレンジジュースを」


「かしこまりました。ご主人様ぁ」

 そう言うと、オレンジジュースをコップに注いで運ん来て机の上に置いた。


「じゃあ、一緒にご唱和ください! 美味しくなあれ、萌え萌えキュン!」


 僕は指でハートマークを作る上杉先輩を見つめていた。


「は? キミも一緒にやるんだよ!」


 メイドに脅された。


「僕もやるんですか?」


「折角、メイドカフェに来ているのに、これをやらないなんて、何しに来たの?」


 僕は自分の意思でここにいるのではないぞ。

 でもやらないと、もっと面倒なことになりそうだ。恥ずかしいけど、一緒にやる。


「「美味しくなあれ、萌え萌えキュン!」」


 上杉先輩は満足そうにしている。


 僕はオレンジジュースをストローですすりながら思った。

 今後、メイドカフェには絶対行かない。

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