雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

やることゼロだから始める異世界生活

公開日時: 2025年5月7日(水) 20:29
文字数:1,458

 高遠城を訪れた翌日。

 ゴールデンウイークはまだ継続中である。

 というわけで、僕はお城巡りでかなり疲れていたので、昼ごろまで寝ていた。


 ようやく起き出して、リビングで昼食をとっていると、妹が絡んできた。

「お兄ちゃん、ゴールデンウイークだからって、寝すぎじゃない?」


「昨日、お城巡りしてきたから、疲れてるんだよ」


「高速バスで行ったんだよね?」


「ああ。バスの座席に長時間座ってたから、結構きつかったんだ」


「前に、もっと楽に回れる方法考えてよって言ったのに」


「そんな簡単に思いつくわけないだろ」


「私、来年雑司が谷高校に入学したら、歴史研に入部するって紗夜さんに約束したんだから」


「お前が入学する頃には、上杉先輩たちはもう卒業してるだろ」


「紗夜さん、卒業してからもたまに歴史研に遊びに来るって言ってたよ」


「はあ?!」


 上杉先輩、どれだけ歴史研が好きなんだよ。

 でも、来年には僕も3年で部活は引退だし、たとえ先輩がやって来たとしても、顔を合わせることは少ないだろう。


「あっ、そろそろ出かけなきゃ」

 妹は時計を見ながら言った。


「どこに行くんだ?」


「のぞみんと会うんだよ」


「前田さんか…。お前ら、仲いいよな」


「私は、お兄ちゃんみたいなボッチじゃないからね」


「僕はボッチじゃないぞ」


「そうか、女子を侍らせてるよね。最近は男子もいるし」


「男子って…支倉君のことか? 彼は取材したいだけで、侍らせてるわけじゃない」


 そんなこんなで、妹はひとしきり僕に絡んだあと、出かけていった。

 前田さんと会うらしいが、あの2人、本当に仲が良いよな。


 僕の方はというと、この後はやることがゼロなので部屋に戻って、いつものVRMMORPGでも始めようとゴーグルを装着。

 異世界へやって来た。


 ゴールデンウイークということもあって、いつもより参加者が多い気がする。

 街の中は、いろんなキャラで溢れかえっていた。


 街の近くの草原で、僕はしばらく1人で雑魚キャラを倒して経験値を稼いでいると、ユミコさんがログインしてきた。


『こんにちは』

 僕はチャットで挨拶する。


 早速、ユミコさんと合流して、一緒に雑魚キャラを倒して経験値を稼ぐ。

 いつもヒーラーであるユミコさんには、HPの回復や毒状態からの治療をしてもらっていた。

 ヒーラーがいなければ、回復ポーションを買わなきゃいけないし、本当に助かっている。


 それに、ユミコさんは人柄も良くて、僕でも話しやすいし、一緒にプレイしていて楽しい。

 ……オジサンなのかもしれないが。

 まあ、別に楽しくプレイできてるんだから、性別も年齢も関係ないよな。

 どうせ会うこともないだろうし。


 というわけで、ちょっと感謝を伝えてみた。

『ユミコさん、いつも回復ありがとう』


『こちらこそ、経験値稼ぎにつきあってくれてありがとう』


『いえいえ、これぐらいは。僕もここでの友達はジス(悠斗)とヘクサ(六角君)以外はいないので。しかも彼らも剣士だから回復できないし』


 僕は話題を変えてみた。

『ところで、ゴールデンウイークは、ゲーム以外では何かしてたんですか?』


『旅行とかかな』


『へー。僕も昨日、旅行というか、お城を見てきました』


『良いですね』


『いえ、部活で仕方なくですよ』


『楽しそうな部活ね』


『全然。部員集めとかしないといけないし、何かと大変です』


 この後も、ユミコさんとしばらく世間話をして、楽しい時間を過ごした。

 彼女との異世界生活は、いろんな意味で癒やされるし、気も楽になる。

 もし女子だったら、リアルでも会ってみたいよな。

 でも、きっとオジサンなんだろうなあ。

 オジサンだったら、絶対会いたくないな。

更新を再開します。

今後またお休みすることもあるかもしれませんが、よろしくお願いします

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