雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

4人で仲よく

公開日時: 2025年2月15日(土) 20:03
文字数:1,700

 金曜日。

 お昼休みは恒例のお弁当交換会で、僕、毛利さん、雪乃が揃って中庭のベンチに座っている。

 そして、今日は新聞部1年の支倉君も僕の密着取材のために弁当を持ってやって来て、ベンチに座っている。

 毛利さん、僕、雪乃、支倉君という並びになって4人で仲よく(?)弁当を食べている。


 雪乃と支倉君は初対面なので、2人は自己紹介をする。

「私は織田雪乃、演劇部に所属しているわ」


「こんにちは! ワタシは支倉です! 1年、新聞部です! 織田先輩は生徒会長選挙で、スカート着用を男子にも可能にしてくれるというので、応援しています!」


「ありがとう。選挙の時はよろしくね」


「はい!」


「それで、純也の密着取材をしているんでしょ?」


「はい! そうです!」


「どう? 良い記事が書けそう?」


「まだですが、炎上…、バズりそうな記事を頑張って書きます!」


「がんばってね」

 雪乃は微笑んだ。


 僕はあんまり頑張ってほしくないんだけどな。


「選挙の方はどうなんですか?」

 支倉君が雪乃に尋ねた。


「週1回に対策会議をやっているわ。選挙自体は6月末だから、まだ先だけど」


「織田さんは有名だから、大丈夫じゃあないですか?」


「そうね。でも、伊達さんは油断するなっていつも言ってるけど」


「伊達会長、慎重ですね」


「そうね…。私もいろいろ考えがあるから」


「そうなんですね。それは具体的にはどういう?」


「これからちょっとずつ公表していくわ」


「期待しています!」


 雪乃、なにか企んでいるのか…。


 僕は尋ねる。

「雪乃って、1年生でも有名なの?」


「はい! 食堂で人の目も気にしないでキスしてたって、クラスでも話題です」

 支倉君は元気よく答えた。


 食堂…。ああ、あの演劇部の宣伝のことね。

 僕は、巻き込まれたけど。

 あれは、やりすぎだよなあ。


「あれぐらい、いつもしてるけどね」

 雪乃は弁当を食べながら言う。


「いつも?!」

 支倉君は驚いて目を見開いた。


「私と純也は、キスフレなのよ」


「ええっ! それはすごい!」


「そんなに、いつもしてるかな?」

 僕は疑問を呈した。


「春休みもずっとしてたじゃん?」

 雪乃が言った。


「あれは、ショートムービーの撮影のためで演技でしょ?」


「そっか…。確かに、春休みの前はあまりキスしなかったよね?」


「え? ど、どうかな?」


「私のことより、純也と歩美のほうよ。やはくキスしなよ」


「えっ!? 武田先輩と毛利先輩もキスフレなんですか?」

 支倉君は再び驚いて尋ねた。


「違う! 違う!」

 僕は慌てて否定する。


「純也と歩美が早く関係を進めてくれないと、私に順番が回ってこないのよ」

 雪乃が余計なことを解説する。


「どういうことですか?!」

 支倉君は尋ねる。


 当然、疑問に思うよな。


「純也のドーテーは歩美に譲るって約束したから、私はそれを待たないと純也とエッチできないのよ」


「おおーっ!」

 支倉君は興奮した様子で、メモを取り始めた。

「これは、大事件です!」


「待って! 待って! こんなのXで投稿しないでよ!」


「ええっ!? こんな話、炎上待ったなしですよ!」


「ダメだ。もし投稿したら、今後、密着取材は拒否する」


「そんなあ…」

 支倉君は肩を落とした。

「でも、今日のお弁当交換会のことは投稿します!」


「まあ、それぐらいなら…」

 毎週やっているお弁当交換会はみんな知っているからな。

 島津先生まで知ってたし。今更な話題だろう。


 雪乃は話を再び始める。

「前にさあ、純也がキスする場所がないって言ってたじゃん」


「う、うん…」


「それで、私の部屋でキスしたらって提案したじゃん? 今日の放課後、うちに来たら?」


「ええっ!」

 僕は驚いた。

 毛利さんも驚いている様子。


「それはいいですね!」

 支倉君は無責任に雪乃に同意する。


「いやいやいやいや…。さすがにそれは…」


「まあ、ともかく、今日はうちに遊びきなよ」


「ワタシも行っていいですか?」


「ダメだ」

 僕は否定する。


「いいじゃん。どうせ純也と歩美がキスするときは、私たちは席を外すんだから」


「そうなの?」


「ちゃんと2人っきりにしてあげるから」

 雪乃は微笑みながら言った。


「じゃあ、行ってもいいですね!」

 支倉君は嬉しそうに言った。


 もう、好きにしてくれ。

 というわけで僕らは、放課後、やや強引に雪乃の家に訪問することになった。

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