雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

偽妹生活~その5

公開日時: 2024年9月18日(水) 20:06
文字数:1,558

 例によって、妹の美咲と偽妹の前田さんに叩き起こされて、朝からジョギングをする。

 ジョギングは疲れるが、幸いになことに朝6時半に起こされたのは、初日だけで、それ以降は朝9時頃からジョギングをしている。

 飽きないように毎回コースを適当に変えて、雑司ヶ谷町内をウロウロしている。

 雑司ヶ谷は路地が複雑に入り組んでいて迷宮のようになっており、知らない人が入り込むと生きて抜け出ることは難しいのだ。

 僕は生まれてから雑司ヶ谷に住んでいて、よく知っているので脱出可能。


 途中、雑司ヶ谷高校の前を通過。

 校庭でどこかの部活が練習をしているのが見えた。

 ラグビー部、陸上部、それにサッカー部もいた。


「美咲。悠斗がいるぞ」


「え? どこどこ」


「ほら、あそこ」

 僕は指さした。


「本当だ」


 幼なじみの悠斗は、無論、美咲とも顔見知りで、小学校の頃は僕と妹と悠斗の3人でよく遊んだものだ。


「誰ですかー?」

 偽妹が割り込んできた。


「幼なじみで、サッカー部の悠斗だよ」


「おー! イケメンですねー」


「だろ?」


「なんで、お兄ちゃんがドヤ顔になるのよ?」

 妹に突っ込まれた。


「あっちはー?」

 偽妹を指した方を見ると女子が10人ほど走り込みをしていた。


 陸上部?…、いや、

「あれは女子水泳部だ」

 以前、彼女らは夏以外は基礎錬ばかりしていると聞いた。


「あの人、可愛いですねー」

 この内の1人を指さした。


「ああ、赤松さんだな」


「お兄ちゃん、知り合いなの?!」

 妹がちょっと怒り気味に訪ねてきた。


「い、いや」

 バレンタインチョコをもらったとかいうと、面倒なのでごまかすか。

「彼女は美人で校内でも有名なんだよ」


 校庭覗きをし終えると、再びジョギング。

 自宅に戻る。

 シャワーを浴びて、朝食をとる。

 今日も偽妹が和風朝食を作ってくれた。

 食べながら、妹と偽妹にO.M.G.のライブの件を話す。


「そうだ。土曜日のO.M.G.のライブでに物販で人出が必要だから、お前ら手伝いに来る? スタッフ扱いで入場できるぞ」


「タダ?!」

 妹が前のめりで訪ねてきた。


「タダ」


「行く!」

「行きますー!」

 妹も偽妹も乗り気になってよかった。

 物販の接客ぐらいできるだろう、たぶん。

 僕でもできてるからな。


「楽しみだなー」

 偽妹は嬉しそう。


「物販の手伝いで、仕事だからな」

 一応、釘をさしておく。


 妹が話題を変える。

「それより、今日の午後からみんなで勉強会するんだけど?」


「勉強会? 聞いてないんだけど?」


「そりゃ、言ってないからね」


「でも、春休みは宿題ないだろ?」


「私たち、もう3年で高校受験だから、のんびりしてられないのよ」


「あ、そう…。ん? “みんな”って、お前らだけじゃないってこと?」


「そうだよ。私、のぞみん、はるるん、りょうちんの4人」


「それって、パジャマパーティーの時の4人?」


「そうそう。あと、恵梨香さんが先生で来るよ」


「えっ?! 伊達先輩まで?」


「なんで、いやそうな顔するのよ」

 妹が睨みつけてきた。


「別に嫌じゃあない」

 僕はごまかす。

 まあ、いいか。

 伊達先輩は、僕には用はないだろうし、午後は自室で静かに過ごせそうだ。


 そんなこんなで午後になり、丹羽、溝口もやってきた。

 そして、伊達先輩も到着。


 僕は家に伊達先輩を招き入れると尋ねた。

「妹の家庭教師、いつもは週末じゃあなかったでしたっけ?」


「ええ。でも、春休みだし特別に勉強を教えてほしいって言われたから」


「それに、妹の友達も3人いますけど?」


「それも、わかってるわ。ほかの人たちも特別に教えてあげようと思って。ひょっとしたらその3人のうち、今後、私を家庭教師として雇ってくれる家庭もあるかもしれないし」


 なるほど。営業も兼ねているということか。

 ちゃっかりしている。


 僕と話し終えると伊達先輩は、4人が待ち構える妹の部屋に入っていった。

 みんな真面目に勉強をしているようで、午後以降は平和な時間を過ごせた。

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