雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

それでも紗夜は寄せてくる

公開日時: 2023年2月11日(土) 20:02
文字数:1,650

 期末試験2日目。

 何とか無事終了。

 英語は毛利さんに教えてもらったから、それなりに出来たような気がする。他の科目も無難に解けたように思う。

 さっさと帰宅して、明日の試験勉強でもしようと思って、席を立った。

 毛利さんに別れの挨拶をして下校する。

 今日は、織田さんに声を掛けられなかったな。明日の試験は捨てたんだろうか? まあ、いいや。


 自宅に帰って、1人でカップ麺を食べていたら、インターホンが鳴った。

 玄関を開けると、予想通り上杉先輩だった。

「やあ」


「また来たんですね」


「毎日来るよ。奴隷の躾をしないといけないからね」


 躾ってなんだよ…。

 上杉先輩は家に上がり込むと、カップ麵を要求してきたので作ってあげた。

 上杉先輩はカップ麵をすすりながら尋ねて来た。

「キミさあ、いつもお昼はカップ麺なの?」


「そうです」


「もうちょっと、良い物食べたら? 冷蔵庫に食材はないの?」


「まあ、あるみたいですけど」


「じゃあ、少しは自分で料理しなよ」


「僕は料理できないんですよ。作れるのはオムライスだけです」


「ああ、学園祭の時に特訓したからね」

 上杉先輩はカップ麵すすりながら、少し考え事をしているようだ。

 そして、再び話し出した。

「じゃあ、何か料理覚えて作ってよ」


「ええっ?! できませんよ。レシピも知らないし」


「今時、レシピなんてネットにいくらでもあるでしょ?!」


「それは、そうですが…」


「明日の昼は、私のために何か作ってよ! 決まりね!」


「えええー…」


「奴隷は命令を聞くの!」


 やれやれ、厄介事がまた増えた。

 何を作ればいいんだろうか…?


 カップ麵を食べ終わると、僕と上杉先輩は僕の部屋に行く。

 いつもの様に、上杉先輩はベッドに寝転がってマンガを読み始める。食べた後、すぐ寝ると牛になるよ。

 僕は試験勉強を始める。


 しばらくして、上杉先輩が話かけて来た。

「よく考えたら、今日はアタシら2人きりだね」


「そうですね…」

 意識してなかったけど、今日は家には僕と上杉先輩の2人きりだ。

 両親は共働きで夕方まで不在。

 妹も、もうしばらくは中学校から帰ってこないだろう。


「誰もいない家で、男女2人がやることって、何だと思う?」

 上杉先輩はニヤつきながら言う。

 そして、男女2人がやること…って、アレだよな…?

 しかし、僕はドギマギしながらも、すっとぼける。

「何でしょう?」


「フッフッフッ」

 上杉先輩はニヤつきながら起き上がった。


 上杉先輩、まさか、僕が言いなりになることを良いことに、エロいことをやろうって言って来るんじゃあないだろうな…。


「じゃあ、しよう」

 上杉先輩はジリジリを身体を寄せてくる。


「えっ? えっ? するって…。ダメですよ」

 僕はちょっと身体を後ろに引いた。


「えっ?! いいじゃん!」

 上杉先輩はそれでも身体を寄せて来た。


「良くないですよ…、僕らは付き合っているというわけじゃあないんですから」


「はあ?! 何、言ってるのよ」


「えっ? 何って…」


「しようってのは、あれのことだよ」

 上杉先輩は机の上にあるマグネット将棋盤を指さした。


「なんだ…、将棋のことですか…」

 僕は残念だと…、いやいや、安堵した。

 そして、わざわざ、『男女2人でやること』、みたいな言い方しなくてもいいだろうに。


「ひょっとして、何かエロいこと想像したんでしょ?」


「想像してません」

 僕はごまかした。


「最近、将棋やってなかったじゃん?」


 最近、将棋してなかったのは、上杉先輩が僕を散歩させていたからでしょうが。

 将棋じゃなくて試験勉強したいんだけどなあ。

 それでも上杉先輩は納得しないだろうから、

「じゃあ、少しだけなら」

 と答えた。


 1時間ほど将棋をしたら、上杉先輩は満足したようで、再びベッドに寝転がってマンガを読み始めた。

 それにしても上杉先輩、将棋、着実に強くなっているような気がするんだが、影で研究しているのではないだろうか?


 まあ、上杉先輩が将棋が強くなろうが僕は興味ないので、試験勉強を始める。

 そして、妹が帰宅、今日も上杉先輩は妹の部屋に遊びに行ってしまった。

 その後は、1人で試験勉強を進められ、何事もなく平和に時間が過ぎて行った。

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