雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

あだ名

公開日時: 2024年2月24日(土) 22:59
更新日時: 2024年3月1日(金) 20:23
文字数:1,546

 3連休明け。

 お城巡り&ライブ遠征の旅のせいで、疲れが取れていない。

 それでも何とか、登校する。

 午前中の授業は少し寝た。

 昼休み、午後の授業もつつがなく終わった。

 そんなこんなで、放課後。

 

 歴史研は幽霊部員となっているから、放課後は部室には行かない。

 というわけで、家で寝ようと思い、隣の席の毛利さんに挨拶をして教室を出た。


 下駄箱の手前で、成田さんとばったり出会った。


「こんにちは」

 僕は、挨拶をする。


「あら、武田さん、こんにちは」

 成田さんは笑顔で挨拶を返した。

「あれから、怪文書の謎解きはどうですか?」


「え? あ、ああ…。あまり進展はないよ。連休中は歴史研の部活があったりして、名古屋に行っていたし」


「ああ、たしか、お城巡りをしてるんでしたっけ?」


「そうそう」


 ええと…。何か、成田さんに尋ねたいことがあったような…。

 思い出した。


「成田さんって、あだ名ある?」


「え? あだ名? 特にないですよ。友達は、みんな“愛夢ちゃん”って呼びますけど」


「そうか…」


「どうしてですか?」


「え?」

 これは、毛利さんが成田さんのことを、怪文書の犯人“P”ではないかと疑っているからだ。

 しかし、成田さん本人に、そんなこと言えない。

「い、いや…、なんとなく…、だけど」

 何とか誤魔化す。


「そうですか。武田さんも、私のことを“愛夢ちゃん”って呼んでいいですよ」


「え? う、うん」


「武田さんは、あだ名は無いんですか? あっ、“エロマンガ伯爵”でしたっけ?」

 成田さんは笑う。


「その呼び方は勘弁してよ…。僕には、特にあだ名は無いな…」


「じゃあ、“純也くん”ですね」


「えっ?! ま、まあ、いいけど…」


 成田さんはショーギカイカンに行くというので、会話はこの程度にして、早足で去って行った。

 何やら忙しそうだ。

 そう言えば、YouTubeに出てるとかいう話も聞いてみたかったな。

 そして、YouTubeに出てるということは、成田さんはすでに有名棋士なのだろうか?

 今度、サインもらおう。

 妹が確か、上杉先輩がそのことを教えてくれたと言ってたような。

 ということは、上杉先輩は将棋をまだやっているということなのだろうか?

 上杉先輩は成田さんと対戦してみたいとか言ってたっけ…?


 いろいろ考えながら、僕も校舎を出る。

 徒歩5分で自宅に到着。


 しばらくリビングのソファーでくつろいでいると、妹が中学から帰って来た。


「ただいま」

 妹は、僕の姿を見ると話しかけて来た。

「お兄ちゃん、昨日買って来てくれたお土産食べよう」


「え? いいけど」


 妹は、昨日、僕が名古屋港水族館で買って来たお土産のお菓子を台所の棚から出してきた。

「でもこれ、“わさんぼん”って何」


「日本の伝統的なお菓子だよ」


 多分。


「じゃあ、緑茶がいいね」


 と言いって、妹は急須にお茶の葉を入れだした。

 そんなこんなで、兄妹で和三盆を食べながらくつろぐ。


「お兄ちゃん。ちゃんとお土産買ってくるようになったね」


「お前が、いつも買って来いってうるさいからだろ」


「そういえば、ホワイトデーのお返し、どうするの?」


「するつもりだけど」


「でも、たくさんあるんだよね? 12個だっけ?」


「いや、15個。バレンタインデー前にO.M.G.と徳川さんにも、もらっていたのを数に入れるのを忘れていた。それにお前にもチョコもらったからな」


「なんか凄いね。本当に防災グッズ揃えなくて大丈夫かな?」


「それは要らないと思う」


 軍資金は、名古屋遠征で真帆にもらったバイト代があるから、まあ何とかなりそうだが…。

 ホワイトデーって、何を上げればいいのやら。

 去年までは、妹だけに義理チョコをもらっていたが、コンビニで売ってたクッキーをあげたりしてだけど。

 今年もそれでいいかな。

 まあ、まだ来月のことだからな、考えるのがめんどくさいし、なにかもっと安くていいものがあったらそれにしよう。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート