翌日の放課後。
僕は、歴史研究部の部室に向かう。
毛利さんは図書委員で図書室に行ってしまった。
気が進まないが、O.M.G.のメンバーがお城巡りに行くということを伝えようと思ったからだ。
僕は部室の扉を開け、挨拶をする。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「来たね!」
伊達先輩と上杉先輩は、椅子に座ってポテチを食べながら、スマホをいじったりしてくつろいでいる。
僕は椅子に座り、早速、話を始めた。
「お城巡りの件ですが。僕と一緒に旅行に行く友達も、お城巡りをしたいと言っています」
それを聞いて、伊達先輩は微笑んだ。
「良かったわ。大勢だと、きっと楽しいわ」
「それで、キミの友達って誰よ?」
上杉先輩が尋ねて来た。
どうせもうバレるし、ここは、本当のことを言う。
「アイドル活動をやっている3人なんですが…」
「それって、女子だよね?」
「はい」
「昨日、女子じゃないって言ったよね?」
「え、ええ、まあ…」
「何で嘘つくのよ! しかも3人って。ハーレムじゃん!?」
「ちょっと待ってください。じゃあ、僕らのいつものお城巡りもハーレムじゃあないですか?」
「アタシたちは違うのよ!」
「何でですか?」
「それより、なんで、女子の友達じゃないって言ったのよ?」
上杉先輩は、前のめりになって尋ねる。
「女子と一緒に行くと言ったら、こうやって文句言われると思ったからです」
「それで、その3人って、雑司が谷高校の女子なの?」
「違います。東池の人です」
「女子校じゃん?! いつ知り合ったのよ?」
「だいぶ前ですよ。去年、合コンやった人たちです」
「ああ、キミが1人お持ち帰りしてて、サンシャインシティで会ったよね?」
「いや、あれは、お持ち帰りではありませんよ」
「なんで、一緒に旅行に行くことになったの?」
「彼女たちは郡山でライブがあるというので、ついて行くことになっていたんです」
「なんで、キミがライブについて行くのよ? 追っかけ? ファンなの?」
「いえ、彼女たちの活動を手伝うことになって…」
「なんで?」
「まあ…、いろいろあって…」
宇喜多姉の連絡先を紹介してもらいたくて、手伝いをやることになったとは言えないな。
「それで」
伊達先輩が尋ねる。
「その子たちは、ライブのスケジュールと、お城巡りのスケジュールの調整はつくのかしら?」
「ライブは夜なので、昼間にお城を回るのであれば、一緒に行けると言っています」
「あとは、泊まる場所とか、まだ決まってなければ、私たちと一緒に旅館に泊まらないかしら?」
「聞いてみます」
と、いう訳で、伊達先輩から、お城巡りのスケジュールを教えてもらい、真帆たちに伝えることになった。
それで調整の上、一緒にお城巡りをしようということになった。
上杉先輩がしかめっ面で質問してきた。
「ねえ。LINE、治らないの?」
「ええ、僕ではどうにもできないような壊れ方しているみたいで」
再び嘘をつく。
「スマホ見せてよ」
「嫌ですよ。スマホはプライバシーの塊なんですから」
「まあ、エロ動画とか見られたら嫌だもんね。じゃあ、今後はSMSで連絡するよ」
そうか、SMSという手があったな。
今後は、アイドル活動の手伝いをしているとばれてしまったので、逆手に取って、それを理由に普段は部室には来ないようにしよう。
そんなこんなで、その後は世間話をして、下校時間になったら帰宅した。
そして、夜。自室で、今日の歴史研の部室で決まったことを真帆にLINEで伝える。
『土曜日の午前中、白河小峰城。午後、二本松城。日曜日の午前に鶴ヶ城に行くことになった』
『それで、大丈夫だよ。歴史研の人たちに会うのも楽しみ』
それは良かったね。
真帆はコミュ力高そうだし、歴史研のメンツとは、すぐに仲良くなりそうだな。
『宿泊場所も一緒でどうか? と部長が言ってるけど、どう?』
『いいよー♡』
真帆から続けてメッセージが来た。
『じゃあ、明日、マックでね』
そうか、明日の打ち合わせ忘れるところだった。
『OK』
僕と真帆はメッセージのやり取りを終える。
そして、僕は伊達先輩に、真帆がスケジュールと宿泊いっしょでOKということをSMSで伝えた。
その後、僕は少しだけVRゲームをやってから、就寝した。
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