雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

電話相談

公開日時: 2022年5月21日(土) 19:49
文字数:1,153

 図書室での作業が終わり、急いで自宅に帰宅した。

 制服を抜いで、部屋着に着替えるとベッドに横になった。

 そして、考える。


 さっきの書庫のあれは一体何だったのか?

 間違いなく、伊達先輩と毛利さんはキスをしていたのだが…。

 自分の目が信じられなかった。


 再びグルグルと頭の中を色んな考えを巡らせて、一体どういうことでああいう事に至ったのか予想をしてみるも、答えは出ない。

 やはり、伊達先輩と毛利さんは好き同士で、それでキスをしていた。というのが、そのものずばりの正解なのか…?


 僕は、突然思い立った。

 そうだ、悠斗に意見を聞いてみよう。

 ヤツならこういう事には詳しいかもしれない。多分。


 スマホを手にして悠斗に電話を掛けた。


「もしもし、悠斗? 今、いいかな?」


『いいよ。捻挫のせいで、自宅で暇してるから。でも、純也が電話してくるなんて、珍しいね。いつもはLINEなのに』


「ちょっと聞きたいことがあってね」


『何だい? 改まって』


「いや、今日、学校で書庫に行ったんだけど」


『ああ、図書室で作業するとか言ってたね』


「それで、キスシーンを見てしまったんだよね」


『へー、覗きかい?』


「違うよ、偶然目撃してしまったんだよ。それで、キスしていたのが、毛利さんと伊達先輩だった」


『え…? そうなんだ?』


「いろいろ、ショックで」


『そうか、毛利さんは純也の事が好きだと思っていたけどね』


「僕もそう思っていたんだけど…」


『さっさと付き合わないから、取られちゃったんだね。しかも女子の先輩に』


「やっぱり、そういう事なのかな…?」


『でも、女子同士って仲が良いと、じゃれ合って軽くチュッってしたりするじゃん? そう言うのじゃないの?』


「いや、そんな感じは全くなくて、なんか深刻な感じだったんだよね」


『深刻な感じのキスって、何だよ』


「実際、じゃれ合った感じじゃないし、そもそも、あの二人はじゃれ合うとか、そういう事をしなさそうだし」


『じゃあ、本人たちに直接聞いてみたら?』


「いや、聞けんだろ。僕が覗いていたことがばれる」


『偶然見たんだろ? そういって聞けばいいじゃん? 毛利さんのことを諦めるのは、それからでもいいんじゃない?』


「うーん…。ちょっと考えてみる」


 もし、2人が2人の関係を秘密にしたいと思っているなら、僕は見ていないことにした方がいいのではと思った。

 実際、こんなに悩むのであれば、見ない方が良かったと思っている。


「ありがとう、話を聞いてもらって、ちょっとスッキリしたよ」


『まあ、あまり思い悩むなよ』


「まあ…、そうだな」


『じゃあ、明日。舞台頑張ってな。俺は客席から応援するから』


「頑張るよ。じゃあ、明日」


 そういって、僕らは会話を終了した。


 とりあえず、毛利さんと伊達先輩の事は忘れようと思い、何とか頭の中を明日の舞台に切り替えるため、台本を再び最初から読むことにした。

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