雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

混乱の修学旅行編

部員探し~その1

公開日時: 2025年5月10日(土) 23:27
文字数:1,898

 ゴールデンウイーク明け。

 連休の後は、登校したくなくなるよね。

 でも、なんとか頑張って登校し、日中の授業をこなし放課後。

 僕と毛利さんは歴史研の部室にやって来た。


 話題は新入部員の勧誘について。

 僕は毛利さんに話す。

「先日、生徒会室に行ったときに、新しい部活の立ち上げの申請書が1年生からいくつも来てたんだよ。でも、人数が足りないのと、活動理由が不明瞭だから全部却下になったんだ。だけど、その1年生たちは部活に入っていないってことだから、その人たちを勧誘しようと思いついてね」


「その1年生たちで、知ってる人はいるの?」

 毛利さんは尋ねた。


「支倉君が、何人か知ってるって言ってたよ。だから、紹介してもらおうと思ってね」


「紹介してもらっても、歴史に興味なければ入部しないんじゃ?」


「そうかもしれないけど……。中には1人ぐらい歴史に興味ある人がいるかもしれないよ」

 それに、僕なんかは歴史に興味なくても入部して、結局は部長までやっている。

 部員の入部希望は、そもそも僕の入部のきっかけになった、“入部したら勉強を見てもらえる”というような理由でもいいだろう。

 僕より、毛利さんに勉強を見てもらったほうが良いかもしれないけど。


 そこへタイミング良く、支倉君が歴史研の部室にやってきた。


「こんにちはー!」

 支倉君は今日もスカート姿で、元気よく挨拶してきた。


 僕は早速、部員探しについて話す。


「やあ。この前の新しい部活の申請を却下された1年生のことなんだけど」


「ああ、生徒会室で見た申請書類の件ですね」


「そうそう。たしか、“古典部”、“隣人部”、“帰宅部”、“てさぐり部”…それと……」


 僕が続きを思い出すために考えていると、支倉君が続けてくれた。


「“ふしぎ研究部”、“囲碁サッカー部”。それと武田先輩が忘れてはいけない、“あそび人研究会”」


「僕が忘れてはいけないって、どういうことだよ?」


「だって、武田先輩は遊び人じゃないですか?」


「僕は遊び人じゃないって。それに、仮にそうだとしても、遊び人本人が研究会に入るのはおかしいだろ?」


「そんなことないですよ! 研究対策が身近にいると何かと都合が良いのではないでしょうか?」


「もう、この話はどうでもいいよ」

 僕は遊び人の話題を打ち切った。


「早速だけど、その中で支倉君の知っている人たちを紹介してくれないかな?」


「ええ、まあ、いいですけど……。そうそう、僕の直接知っている範囲では、“帰宅部”ですけど、彼女たちは、部にはせず勝手に帰宅して、みんなで遊ぶって言っていました」


「まあ、そうだろうな。“部”にしようとした理由が全くわからない」


「部費狙いだったんじゃ?」


「ああ、そうかもね……」


「あと、他の部員が誰だったか、よく覚えていないので、改めて確認したいです」

 支倉君がそう言ったので、僕と支倉君、毛利さんは申請書を確認するために生徒会室に向かった。


 生徒会室の扉の前に来た。

 すると、何やら賑やかな声がする。

 生徒会が議論中なのかな?

 僕は扉をノックしたあと、扉を開けた。


 すると中では、占い研の松前先輩、蠣崎先輩のほかに、1年の女子が3人、仲良く談笑している様子だった。


 松前先輩が、生徒会室に入ってきた僕らに気が付いた。


「あら、武田君に、毛利さんに、支倉さん。なにか用かしら?」


「え、ええ……。ちょっと先日の部活の申請書類を見に来たんです」


「あら、そうなの?」


「松前先輩たちは、何やら楽しそうですね」


「ええ、1年の彼女たちが占い研に入りたいって言ってくれたのよ」

 松前先輩は少し嬉しそうに、1年生の3人を指さした。


「へえー」


 続いて1年生の1人が、嬉しそうに説明してくれる。

「私たち、“ふしぎ研究部”を申請してたんですけど、占い研究部があるなら、そっちに入部したほうがいいと思って、松前先輩に話をしていたところなんです」


 松前先輩が続ける。

「そういうことよ。彼女たちも、占いや催眠術に興味があるっていうから、ちょうどいいと思って」


「そ、そうですか……」

 そもそも占い研って、松前先輩と蠣崎先輩がいちゃつきたいだけの部活だったんじゃ……?

 それに、2人だけだったから、学校に部として認可されていなくて、同好会だったのでは?

 でも、1年生の3人が入ると5人だから、正式に部として格上げだな。

 なんだよ……占い研、棚ぼた的に上手く行ってる。

 歴史研もあやかりたいところだ。


 占い研の5人が談笑しているのを横目に、僕と毛利さんと支倉君は、申請書類の棚からファイルを取り出して確認する。


 支倉君が中心となって、1年生の名前を確認して勧誘作戦を考える。

 まずは“古典部”を申請しようとしたメンバーから話をしてみよう、ということになった。

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