ゴールデンウイーク明け。
連休の後は、登校したくなくなるよね。
でも、なんとか頑張って登校し、日中の授業をこなし放課後。
僕と毛利さんは歴史研の部室にやって来た。
話題は新入部員の勧誘について。
僕は毛利さんに話す。
「先日、生徒会室に行ったときに、新しい部活の立ち上げの申請書が1年生からいくつも来てたんだよ。でも、人数が足りないのと、活動理由が不明瞭だから全部却下になったんだ。だけど、その1年生たちは部活に入っていないってことだから、その人たちを勧誘しようと思いついてね」
「その1年生たちで、知ってる人はいるの?」
毛利さんは尋ねた。
「支倉君が、何人か知ってるって言ってたよ。だから、紹介してもらおうと思ってね」
「紹介してもらっても、歴史に興味なければ入部しないんじゃ?」
「そうかもしれないけど……。中には1人ぐらい歴史に興味ある人がいるかもしれないよ」
それに、僕なんかは歴史に興味なくても入部して、結局は部長までやっている。
部員の入部希望は、そもそも僕の入部のきっかけになった、“入部したら勉強を見てもらえる”というような理由でもいいだろう。
僕より、毛利さんに勉強を見てもらったほうが良いかもしれないけど。
そこへタイミング良く、支倉君が歴史研の部室にやってきた。
「こんにちはー!」
支倉君は今日もスカート姿で、元気よく挨拶してきた。
僕は早速、部員探しについて話す。
「やあ。この前の新しい部活の申請を却下された1年生のことなんだけど」
「ああ、生徒会室で見た申請書類の件ですね」
「そうそう。たしか、“古典部”、“隣人部”、“帰宅部”、“てさぐり部”…それと……」
僕が続きを思い出すために考えていると、支倉君が続けてくれた。
「“ふしぎ研究部”、“囲碁サッカー部”。それと武田先輩が忘れてはいけない、“あそび人研究会”」
「僕が忘れてはいけないって、どういうことだよ?」
「だって、武田先輩は遊び人じゃないですか?」
「僕は遊び人じゃないって。それに、仮にそうだとしても、遊び人本人が研究会に入るのはおかしいだろ?」
「そんなことないですよ! 研究対策が身近にいると何かと都合が良いのではないでしょうか?」
「もう、この話はどうでもいいよ」
僕は遊び人の話題を打ち切った。
「早速だけど、その中で支倉君の知っている人たちを紹介してくれないかな?」
「ええ、まあ、いいですけど……。そうそう、僕の直接知っている範囲では、“帰宅部”ですけど、彼女たちは、部にはせず勝手に帰宅して、みんなで遊ぶって言っていました」
「まあ、そうだろうな。“部”にしようとした理由が全くわからない」
「部費狙いだったんじゃ?」
「ああ、そうかもね……」
「あと、他の部員が誰だったか、よく覚えていないので、改めて確認したいです」
支倉君がそう言ったので、僕と支倉君、毛利さんは申請書を確認するために生徒会室に向かった。
生徒会室の扉の前に来た。
すると、何やら賑やかな声がする。
生徒会が議論中なのかな?
僕は扉をノックしたあと、扉を開けた。
すると中では、占い研の松前先輩、蠣崎先輩のほかに、1年の女子が3人、仲良く談笑している様子だった。
松前先輩が、生徒会室に入ってきた僕らに気が付いた。
「あら、武田君に、毛利さんに、支倉さん。なにか用かしら?」
「え、ええ……。ちょっと先日の部活の申請書類を見に来たんです」
「あら、そうなの?」
「松前先輩たちは、何やら楽しそうですね」
「ええ、1年の彼女たちが占い研に入りたいって言ってくれたのよ」
松前先輩は少し嬉しそうに、1年生の3人を指さした。
「へえー」
続いて1年生の1人が、嬉しそうに説明してくれる。
「私たち、“ふしぎ研究部”を申請してたんですけど、占い研究部があるなら、そっちに入部したほうがいいと思って、松前先輩に話をしていたところなんです」
松前先輩が続ける。
「そういうことよ。彼女たちも、占いや催眠術に興味があるっていうから、ちょうどいいと思って」
「そ、そうですか……」
そもそも占い研って、松前先輩と蠣崎先輩がいちゃつきたいだけの部活だったんじゃ……?
それに、2人だけだったから、学校に部として認可されていなくて、同好会だったのでは?
でも、1年生の3人が入ると5人だから、正式に部として格上げだな。
なんだよ……占い研、棚ぼた的に上手く行ってる。
歴史研もあやかりたいところだ。
占い研の5人が談笑しているのを横目に、僕と毛利さんと支倉君は、申請書類の棚からファイルを取り出して確認する。
支倉君が中心となって、1年生の名前を確認して勧誘作戦を考える。
まずは“古典部”を申請しようとしたメンバーから話をしてみよう、ということになった。
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