雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

日本100名城をすべて巡る!
谷島修一
谷島修一

二刀流

公開日時: 2025年3月22日(土) 20:40
文字数:1,644

 今日は昭和の日なので学校は休み。

 しかし、宿題はしっかりと出されているので、午前中はそれを片付ける。

 中間試験が5月中旬にあるのだが、最近はあまり勉強していないので、少々不安である。

 また、伊達先輩にでも教えてもらおうかな…?


 昼食を終えて、もうしばらく勉強をする。

 そして、そのあとはいつものVRMMORPGでもやることにした。

 スマホのアプリを立ち上げ、VRゴーグルにセット。

 それをかぶって、リモコンを持って異世界の中へ。


 早速、フレンドの状況を見る。

 珍しくユミコさんがログインしているようだ。

 僕は早速、プライベートチャットで声を掛ける。

『ユミコさん、こんにちは』


『こんにちは』


『お久しぶりです』


『ええ、お久しぶり』


『今、どの辺ですか』


『最初の街の近くの草原にいます』


『じゃあ、向かいます』


 僕は移動して草原へ。

 ヒーラー姿のダークエルフのユミコさんの姿が見えた。

 雑魚の敵キャラをメイスで殴っている。

 ヒーラーが殴っているというのは、なんか変な光景だ。

 ヒーラーが1人で経験値を稼ぐのは、これぐらいしか方法がないから、仕方ないけど。


『来ました』

 僕は声を掛ける。

『経験値を一緒に稼ぎましょう』


 僕らは、しばらく雑魚キャラを倒して経験値を稼いでいる。

 そう言えば、街の旧貴族の屋敷でゴーストやゾンビ退治のクエストがあったのを思い出した。

 ヒーラーだと、そういう敵を倒しやすいんじゃあないかな?

 というわけで、僕はそのクエストを提案する。


 すると、ユミコさんは、

『楽しそう』

 と言った。


『お化け屋敷みたいになってるんだけど、大丈夫かな?』

 僕は念のため確認する。


『お化け屋敷、好きだから大丈夫』


 お化け屋敷が好きとは、物好きだな。

 僕は、あまり好きではない。むしろ、嫌いである。

 以前、雑司ヶ谷高校の学園祭と、東池女子校の学園祭と、よこはまコスモワールドのお化け屋敷に行ったけど、僕は全然楽しくなかったな。

 あの時は、毛利さんと雪乃も楽しそうにしていた。

 女子って、お化け屋敷好きなんだろうか?

 いや、ユミコさんが女子かどうかは、まだ保留だ。

 悠斗は違うというが、中の人はオジサンかもしれないからな。


 そんなこんなで、街の中の屋敷へやってきた。

 クエストを進める。

 予想通り、ヒーラーの使う魔術はゴーストやゾンビを容易く退治していく。

 リビングアーマーは僕が物理攻撃で倒していく。

 なかなか順調。


 結構時間が経って、屋敷のだいぶ奥の方まで行ったが、そろそろ僕らのレベルでは倒しにくい敵だらけになってきていた。

 ユミコさんと相談して、いったん屋敷の外に出ることにした。


 そこで、肩をたたかれた。

 VRゴーグルを外すと妹が立っていた。

「お兄ちゃん、晩ご飯だよ」


「そうか、ありがとう」

 時計を見ると。

 もう夕方6時過ぎだった。


「お兄ちゃん、ゲームばかりしてる」

 妹が怪訝そうに言う。


「ばかりじゃない。昼過ぎまで勉強してたぞ」

 僕は反論した。


「それより、恵梨香さんの誕生会の時、新しい女連れ込んでたでしょ?」


「新しい女? 誰のことだ?」


「しらじらしいなー。小柄でショートボブの女子だよ」


「ああ、支倉君のことか。彼は男だぞ」


「ええっ!」

 妹はとても驚いたようだ。

「マジ!?」


「マジだよ」


「うまいこと言って、誤魔化そうとしてるんじゃない?」


「マジに男だって」


「ほえー。女の子かと思った」


「僕も最初は女子かと思ったんだよ」


 妹は少し考えこんでから言う。

「お兄ちゃん、ひょっとして…、男も大丈夫だとか? 二刀流?」


「なんだよそれ」


「だって、あの人とお兄ちゃん、よく話してたよね? 好き合っている同士みたいだったよ?」


「見当違いもいいとこだ。彼は新聞部員で、僕のことを密着取材しているんだよ。それで彼が話しかけて来るから、答えてるんだ」


「へー。お兄ちゃんを密着取材って、物好きだね」

 妹はそういうとクルリと向きを変えて部屋を出て行こうとする。

 そして、一言。

「早く晩ご飯食べないと冷めちゃうよ」


「わかった」

 僕はVRゴーグルをかぶって、ユミコさんに事情を話し、今日のところはゲーム終了することにした。

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