さて、まぁ、俺が西園寺先輩に会いに来たというのは過ち間違えではない。
だから、向こうが変な風に捉えているだけであり、俺は堂々しよう。
『どうしよ〜。後輩くんに好きって!! でででで、でも、私は恋愛経験ゼロなんだよ!! ゼロってバレたら恥ずかしいからごめんね!!』
へぇ、少し意外だな。
西園寺先輩は完璧な人間だ。
だから、勝手に恋愛経験も豊富な人だと思っていた。
しかし、そうではないらしい。
ほんとに【テレパシー】は怖い。
今だって、秘密にしておいていることを知れてしまうのだ。
こんな能力があれば絶対にいつか、俺のことだ。
誰かを不幸にしそうだ。
だかは、そのためにも早くこの能力の規則性を知って制御、もしくわ消す方法を考えなければ。
「それでですが、俺は一つ西園寺先輩に聞きたいことがありまして……」
「なんだい? それは?」
『??? あれ? 私に会いに来たんじゃないの?』
何でそうなったのかの理由があるんだよ。
さて、どうする?
ここは何て言うのがいいんだろうか?
堂々と言うのは間違いだろう。
いや、これが正解だったら、ややこしいことになる。
俺はなるべく【テレパシー】のことは周りに伝えないでおきたい。
伝えてしまったら普通が終わるからだ。
もう終わってるかもしれない、それでも、これ以上にはなりたくない。
きっと、周りは俺から離れるだろう。
なんせ、自分の裏の顔を知っているみたいなもんだぜ?
なんとかして、LINEを交換する方法を……。
「学校の用事……」
『あ、目が動いた』
「嘘だね」
「え……」
なっ──、この人今、『目が動いた』って……。
いやいや、驚くことはない。
西園寺先輩のことだ。
そのくらいできるだろう。
しかし、そうなってくると嘘はつかないのか?
試しにもう一度──。
「クラスの用事……」
今度は目を動かさないでただ無心に西園寺先輩を見つめた。
『後輩くんのクラスがここに来る理由はないよ? 嘘だね……』
「嘘だね」
だめだ。
この人の前で嘘は通じねーや。
『さっきから、私を見てて恥ずかしぃ〜』
その言葉に俺は目を逸らした。
さてさて、本当のことを言うのが正解なのか?
『LINE交換してください!!』なんて言葉、俺はまだ一度も使ったことがない童貞だ。
ここで使ってしまうのか……捨てていいのか?
絶対にいやだ。
この言葉は本当に好きな人ができたら使いたかった。
こんなところで使うとは思っていなかった。
というか、実際は使いたくない。
でも、使わなきゃ話は進まない……しゃーないな。
「ほんとはですね……」
『なんだろ……すごい真剣に私を見てる!! す、好きなのかな!? そういうことなのかな!? は、恥ずかしいよおおおおおお!!』
お前より、俺の方が恥ずかしいわい!!
俺はスマホをポケットから取り出して──。
一礼する──。
「俺とLINE交換してください──ッ!!」
──言ってしまった……さよなら、『俺とLINE交換してください』童貞よ!!
『ららららららLINE!? 後輩くんとLINE→異性とLINE→恥ずかしいっ!! やだだよぉ〜』
ねぇ〜それじゃあ、何でも終点は『恥ずかしい』になるじゃねーかよ。
異性とLINEすることが恥ずかしいのか……?
待て待て待て、俺初めてじゃん!!
異性とLINEするの。
普段は家族ぐらいだぞ異性!!
最近は神崎と石川さんともLINEをしているが、別に異性なんて忘れてた。
しかし、今回はバリバリの異性と感じてしまうのだが。
恥ずかしい──ッ!!
え、俺、LINEできるかな!?
「いいわよ。LINEね……」
『い、異性とは極力避けてきたけど……前の選んでくれたお礼もあるし、仕方ないよぉ〜』
あ〜俺と真逆なやつを選んだあれな。
あれを『選んでもらった』に入れてくれるのかよ。
「はい、オッケーだな」
「はい、ありがとうございます!!」
まぁ、無事にLINEを交換することができ、ミッション達成したのだが……。
『後輩とLINE交換してしまった……しかも、後輩くんと!! こういうのは自分からいくんじゃないのかな!? もっと先輩っぽくしたほうがいいのかな!? 恥ずかしいよぉ〜』
なんか、ごめんなさい……。
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