ああ、きみはどこでなにをしているのだろう。
愛しのきみよ、きみは真っ白な羽根を広げ
自由に空を舞ってゆく。
きみが向かうは高みの空か、それとも幸福の海か。
僕も共に行かんとすれども、僕に自由の翼は生えない。
果てしなく優雅に翔ぶきみを、今日も地上で見上げている。
僕にもいつか翔べるだろうか。
希望はいつも胸のほんの片隅に。
眺める僕にきみは言う、
大切なのは羽根じゃないのよ。
いくら待ってても生えてきやしないわ。
希望はいつも柔く脆い。
ある日きみは地に堕ちた。
羽根は折れ、土にまみれた。
人はきみをわらい、叩き、放り出した。
僕は安心したんだ。
ナイフを手に取り、きみの元へ。
ああ、これで楽になれる。
けれど、堕ちた場所にきみはもういなかった。
足元には、土を被ったきみの羽根があり
視線を上げるとその先には、
きみの紅血がどこまでも続いていた。
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