傷だらけのきみへ

公開日時:2022年5月5日(木) 15:54更新日時:2022年5月5日(木) 15:54
話数:1文字数:357
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ああ、きみはどこでなにをしているのだろう。


愛しのきみよ、きみは真っ白な羽根を広げ

自由に空を舞ってゆく。


きみが向かうは高みの空か、それとも幸福の海か。


僕も共に行かんとすれども、僕に自由の翼は生えない。

果てしなく優雅に翔ぶきみを、今日も地上で見上げている。


僕にもいつか翔べるだろうか。

希望はいつも胸のほんの片隅に。


眺める僕にきみは言う、


大切なのは羽根じゃないのよ。

いくら待ってても生えてきやしないわ。


希望はいつも柔く脆い。


ある日きみは地に堕ちた。

羽根は折れ、土にまみれた。


人はきみをわらい、叩き、放り出した。


僕は安心したんだ。

ナイフを手に取り、きみの元へ。


ああ、これで楽になれる。


けれど、堕ちた場所にきみはもういなかった。


足元には、土を被ったきみの羽根があり

視線を上げるとその先には、


きみの紅血がどこまでも続いていた。

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