部下の不始末のせいで、自分達より遥かにデカい「組」とトラブってしまったヤクザの親分。
だが……「敵」は、事を穏便に済ませようと……いや、待ってくれ、穏便過ぎて、逆に恐え〜よ……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
「あ……あの……ウチの若いのがやった不始末の件で……その……」
俺は、アルコール漬けにした、あの馬鹿の指とチ○コを差し出した。
「は……はい……本人は、もう、破門しましたので、どうか、ここは穏便に……その……」
だが、相手の「組」の連中は……俺を馬鹿を見る目で見ながら、溜息をついた。
……俺は、この騒ぎの原因となった馬鹿と、同じ位、馬鹿だったようだ。
俺が、最悪の選択をした事だけは良く判った。でも……最善の選択が何だったのか、この後に及んでも見当が付かなかった。
話は数日前に遡る。
「この馬鹿、何て、真似しやがった?」
「い……いや……知らなかったんすよ……マジで……」
ウチの組の若い衆である川町が、デリヘルの女を呼んで……何せ、当事者が後輩からさえも陰で「馬鹿の川町」と呼ばれてるようなヤツなんで、どう云う経緯で、そんな事になったのか、本人をいくら問い詰めても、はっきりしないが、ともかく、そのデリヘルの女をボコボコにしてしまったらしい。
ところが、そのデリヘルを経営してたのが、隣町を縄張りにしていた前藤組だった。
日本最大最強の同業者である挙母市会の系列の中でも「武闘派」とされる組だ。
ウチの組の上部団体である高須組は、あっさり、俺達を見捨てた。
自分達の手で解決しろ、事が解決するまで、俺達とお前らは無関係だ、と。
デンッ‼
前藤組の若頭は、俺が差し出した「賠償金」の上に、更に同額の金を乗せた。
「何か、勘違いされてませんか?」
小学校の校長先生みたいな風貌の前藤組の組長は、本当に小学校の先生が、子供に何かを教え諭すような口調で、そう言った。
「へっ?」
「何で、最初に謝る相手が私らなんでしょうか?」
「ええっと……それは……」
「あのぉ……このお金は、渡すべき相手に渡して下さい」
デンッ‼
前藤組の上部団体である五輪会の若い衆が、更に同じ金額の金を、俺が差し出した「賠償金」に上乗せした。
「話は聞いとります」
五輪会の会長は馬鹿を見る目で、俺を見ながら、そう言った。
「この金を渡すべき相手に渡してくれ、と言われるんやったら、私らが、その相手に渡しときましょ。この金を受け取るべき人は、貴方らに会いとうないでしょうし。でも、これが、私らへの謝罪の金やとしたら、受けとる訳にはいきませんな」
「は……は……はぁ……」
「これ持って、お帰り下さい」
「おい、川町、お前がボコボコにした女は何者だったんだ?」
「い……いえ……ただの……デリヘルの女です」
「まさか、どっかの有力者の娘だったなんて、そんなオチは無いよな?」
「い……いや……何で、そんな女がデリヘルで働いてんたんですか?」
「だが、どう考えても、あの挙母市会を動かせる程のヤツの関係者にしか思えねえぞ。どうなってんだ?」
「し……知りませんよ、本当に……うぎゃあっ……」
椅子に縛り付けられた川町は、チ○コを切り落され、続いて、喉を刺された。
「おい、こいつの指を切り落として、死体は山に埋めとけ」
「はい」
「それと、今日中に、この馬鹿の破門回状を他の組に送っとけ」
だが……川町のチ○コと指、そして、当初の4倍になった賠償金を、前藤組の最上部団体である挙母市会の幹部の元に持って行った俺は……挙母市会の連中に、何故か山奥に御案内され……。
「はい、お願いします」
「な……なんでしょう、これ?」
挙母市会のヤツが、俺に差し出したモノが、何なのかまでは判ったが……何の意図で、それを俺に渡したのかは全く理解出来なかった。
「スコップです。これで、穴を掘ってもらえますか?」
「あ……穴?」
「ええ、貴方が横になって入れる程の大きさの穴です。さっさと掘って下さい」
「あああ……」
「早くやって下さい」
「……」
「夜が明ける前には終らせたいんで……」
「……」
「さっさと、やれって言ってんだよ、この阿呆中年ッ‼」
「うわああああっ‼」
「おい、俺達にテメエの墓穴掘らせるつもりなら、楽に死ねると思うなよ、判ったかッ‼」
「なあ、この馬鹿、何で、ウチの組への『賠償金』は出そうとしたのに、自分の子分が怪我させた女の治療費は出そうとしなかったんだ?」
「知るか。単に馬鹿だったんだろ」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!