爆死まくら

ガチャで爆死したおっさん、ゲーム世界に転生する。運0で乗り切る異世界ライフ
島 一守
島 一守

480連目 まくらとチョコレート

公開日時: 2021年1月14日(木) 18:05
文字数:1,265

前回のあらすじ

「マイナス思考スパイラルに陥ったのじゃ」


ガチャ神の今日のひとこと

「そんな鬼若の主は、何を考えていたのじゃろうな?」

 「俺の隣に立つ資格がない」か。これはかなり重症だな。


 いつもは何かにつけて「俺の隣に立つに相応しい者になる」が口癖だったのにな。

これがもし「お前の隣よりいい目標見つけたんだ!」なんて話だったら、俺も「がんばれよ」の一言で済むんだが……。なんて妄想で現実逃避しても無駄だな。



 どうしたものかと、助けを求めるようにベルを見れば、ベルも困惑顔……、というか若干青ざめている。

さすがに、ここまで取り乱した鬼若はベルにも対処不能か……。

まぁ、ここでいつものように喝とも嫌味とも取れる発言されても、収拾がつかなくなるだけかもしれないけどさ。


 とりあえず今は、カオリが「そんなことないよ」とか「鬼若君はいつも頑張ってるよ」なんて声をかけてやるが、カオリでは意味が無いんだよな。

俺が言ってやれば、多少は効果があるかもしれないけど……。



 だが、理由も分からず、適当にそんなことを言ったところで、解決するだろうか?

おそらくは、俺の知らぬ所で鬼若は何か大きな問題を抱えているのだろう。

それを解決しなければ、結局は今までどおり「何かあるな」と勘付きながらも、不安定な鬼若を見守るだけになってしまう。


 鬼若はこんな見た目ナリだが11歳だ。

思春期と呼ぶには少し早い気もするが、理想と現実の間に挟まれて、すり潰されそうになりながらも、日々を過ごしているのだろう。


 そしていずれ、大きな挫折を経験して、それを引きずりながら大人になっていくんだ。

俺だってそんな時期を経験しなかった訳じゃないからな、少しは解っているつもりだ。



 その挫折が、鬼若にとっては「俺の横に立つに相応しい者になれない」事なのだろうか。

俺にとっては、今の鬼若だって十分立派だと思う。だから、「もう無理して背伸びすんな」って言ってやればいいのかもしれない。


 けど、それは鬼若にとって、本当に目標を達成したと言えるのだろうか。

きっと鬼若には、鬼若の目指す姿があって、俺の「十分」では足りないと思っているんだろう。

だからこそ悩むし、苦しむし、そして泣きたくなるんだ。

だから、俺のかけるべき言葉はこれじゃない。



 もっと、もっと、今の鬼若に必要な言葉を見つけるんだ。

それが俺の「契約主」としての使命。そして……、この世界にやって来た意味だ。


 きっと正解なんてない。けれど、俺のできる限りのことはしたい。

俺は、鬼若に語ってやらないといけないんだ。

俺は、いつでも鬼若の味方だと。いつでも側にいると。





俺は、鬼若の座るベンチに立ち、鬼若の目を見て語る。

鬼若、こんな真剣味に欠ける姿でごめんな……。



「鬼若、お前が何に悩んでるか、それは俺にはわからない。

 けどな、悩むって事は、前を見て進もうとしてるって事なんだ」



 俺は鬼若の頭を抱き寄せ、撫でてやる。

俺の中身課金石が、少しでも心に作用すればいいのだが……。



「もしお前が、真っ暗な前を見るのが辛くなったなら、振り返って俺を見るといい。

 たとえ前を向けなくたって、俺はお前をこうして抱きしめて、頭を撫でてやるからな」



 俺のできる事はここまで。

この先は、悩みを打ち明けるも、秘め続けるのも鬼若が決めるべきだ。

「今回えらく短くないかのう?」


まくらが問題を抱えてるわけじゃないからねー。


「して、次回は鬼若の大問題解決編なんじゃな?」


そんな大した問題じゃないけどねー。


「!? 唐突なネタバレを差し込んできた!?」


中の人は、次回のために色々画策してたけどね。


「あやつ最近荒んでおったぞ」


そういう時期もある。

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