前回のあらすじ
「マイナス思考スパイラルに陥ったのじゃ」
ガチャ神の今日のひとこと
「そんな鬼若の主は、何を考えていたのじゃろうな?」
「俺の隣に立つ資格がない」か。これはかなり重症だな。
いつもは何かにつけて「俺の隣に立つに相応しい者になる」が口癖だったのにな。
これがもし「お前の隣よりいい目標見つけたんだ!」なんて話だったら、俺も「がんばれよ」の一言で済むんだが……。なんて妄想で現実逃避しても無駄だな。
どうしたものかと、助けを求めるようにベルを見れば、ベルも困惑顔……、というか若干青ざめている。
さすがに、ここまで取り乱した鬼若はベルにも対処不能か……。
まぁ、ここでいつものように喝とも嫌味とも取れる発言されても、収拾がつかなくなるだけかもしれないけどさ。
とりあえず今は、カオリが「そんなことないよ」とか「鬼若君はいつも頑張ってるよ」なんて声をかけてやるが、カオリでは意味が無いんだよな。
俺が言ってやれば、多少は効果があるかもしれないけど……。
だが、理由も分からず、適当にそんなことを言ったところで、解決するだろうか?
おそらくは、俺の知らぬ所で鬼若は何か大きな問題を抱えているのだろう。
それを解決しなければ、結局は今までどおり「何かあるな」と勘付きながらも、不安定な鬼若を見守るだけになってしまう。
鬼若はこんな見た目だが11歳だ。
思春期と呼ぶには少し早い気もするが、理想と現実の間に挟まれて、すり潰されそうになりながらも、日々を過ごしているのだろう。
そしていずれ、大きな挫折を経験して、それを引きずりながら大人になっていくんだ。
俺だってそんな時期を経験しなかった訳じゃないからな、少しは解っているつもりだ。
その挫折が、鬼若にとっては「俺の横に立つに相応しい者になれない」事なのだろうか。
俺にとっては、今の鬼若だって十分立派だと思う。だから、「もう無理して背伸びすんな」って言ってやればいいのかもしれない。
けど、それは鬼若にとって、本当に目標を達成したと言えるのだろうか。
きっと鬼若には、鬼若の目指す姿があって、俺の「十分」では足りないと思っているんだろう。
だからこそ悩むし、苦しむし、そして泣きたくなるんだ。
だから、俺のかけるべき言葉はこれじゃない。
もっと、もっと、今の鬼若に必要な言葉を見つけるんだ。
それが俺の「契約主」としての使命。そして……、この世界にやって来た意味だ。
きっと正解なんてない。けれど、俺のできる限りのことはしたい。
俺は、鬼若に語ってやらないといけないんだ。
俺は、いつでも鬼若の味方だと。いつでも側にいると。
俺は、鬼若の座るベンチに立ち、鬼若の目を見て語る。
鬼若、こんな真剣味に欠ける姿でごめんな……。
「鬼若、お前が何に悩んでるか、それは俺にはわからない。
けどな、悩むって事は、前を見て進もうとしてるって事なんだ」
俺は鬼若の頭を抱き寄せ、撫でてやる。
俺の中身が、少しでも心に作用すればいいのだが……。
「もしお前が、真っ暗な前を見るのが辛くなったなら、振り返って俺を見るといい。
たとえ前を向けなくたって、俺はお前をこうして抱きしめて、頭を撫でてやるからな」
俺のできる事はここまで。
この先は、悩みを打ち明けるも、秘め続けるのも鬼若が決めるべきだ。
「今回えらく短くないかのう?」
まくらが問題を抱えてるわけじゃないからねー。
「して、次回は鬼若の大問題解決編なんじゃな?」
そんな大した問題じゃないけどねー。
「!? 唐突なネタバレを差し込んできた!?」
中の人は、次回のために色々画策してたけどね。
「あやつ最近荒んでおったぞ」
そういう時期もある。
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