爆死まくら

ガチャで爆死したおっさん、ゲーム世界に転生する。運0で乗り切る異世界ライフ
島 一守
島 一守

12月のクリスマスイベント

170連目 待ち合わせはいつもの公園で

公開日時: 2020年12月28日(月) 12:05
文字数:2,849

前章のあらすじ

「新たに女子高生、ワンコ、悪魔メイドが仲間に加わったのじゃ」


ガチャ神のワンポイント攻略情報③

「LvMAXのキャラクターに特定のアイテムを与えるとグレードアップするのじゃ」

「GLvが上がるとLvは1から再スタートじゃが、より強くなれるのじゃ」



「もう12月か」



 いつもの場所となった、カオリ達と出合った公園。名前は中央公園。

その中心に鎮座する噴水の縁で、俺はカオリの腕に抱かれ、鬼若を待っていた。



「あっという間の2ヶ月だったねー」


「うーん、確かに忙しかったけどなぁ……」



 俺がその問いの答えに多少悩む理由、それはこの世界の時間の流れに関係している。


 この世界の時間の流れは元の世界とは違う、それは前から気付いていた。

こちらに転生した初日、その一日で元の世界基準の日付は、2ヶ月進んでいたのだ。

そしてその後、ぱったりと元の世界基準の日付を示す端末スマホは、日付が変わらなくなった。

日時をスマホで確認する癖がある俺にとっては、混乱の原因でしかない。

だが、どうやらズレを修正するために、こちらの時間が追いつくのを待っていたようだ。


 そして今日、11月最終週の表示をほぼ丸々2ヶ月間続けていた端末スマホと、こちらのカレンダーが一致し、再び同期するように時間が流れだした。


 そんな訳で、「あっという間」という感覚と、「やっとか」という感覚が俺にはあったのだ。



 二ヶ月間。普通なら結構長い期間ではあるのだが、俺にとっては足りないくらいだった。

なにせやる事が山積みだったからだ。


 俺の周囲で多発するバグの修正のため、学園運営局うんえいにはほぼ毎日通っていたし、こっちの世界での俺は高校生なんてやってるもんだから、授業の内容がさっぱりで、補習を頼んで追いつくのに必死だった。


 授業中もカオリの補助あっての状態で、ずっと世話になりっぱなしだ。

その上に契約主として、契約者達の様子も見ないといけないらしい。

これほどの激務なら、トリプルワークしていた前世の方が楽だったかもしれない。



「カオリはこんなに忙しいのに、契約主をよくやってられるよな」


「え? 私の場合は契約者が少ないからね、そんなに大変じゃないよ?」


「マジか。そういや、クロ以外の契約者見たことない気がするな」


「他にも居るけど、手の掛からない人たちばっかりだからね」



 暗に俺の契約者達が手のかかる者ばかりだと言われた気がする。

実際、俺と契約しているのは、元の世界で素行の良い者達ばかりではない。

特にSSR★7が鬼と悪魔なのだから、それだけで他の人には脅威だ。

それもあって、俺の契約主としての管理責任が大きいのだろう。


 だが、俺もずっと二人の様子を監視しているわけではない。むしろ自由にさせている。

今だってベルが何をしているかは知らないし、鬼若はバイト中だ。

クロもバイト中で、カオリとこの公園で落ち合う事になっている。



 バイトというのは、皆がそう呼ぶだけで、実際はクエストのシステムに則ったお手伝いだ。

来訪者達もこちらの世界に来てしまったのだから、ここで生活していかなければならない。

そうなると必要なのは金だ。どこの世界でも金が必要とは、世知辛いものだ。


 そのために学園運営局うんえいが、来訪者向けのお手伝い募集、つまりクエストを出している。

俺がベル用にと育成素材を集めたのも、このクエストだ。その時はゲームだったけどな。


 内容は様々だが、クロはごく簡単なお届け物などをこなしているようだ。

鬼若は、無駄に有り余る体力を活かせるバイトをしていると聞いている。


 俺とクロが会ったときも、その手伝いの帰りだったらしく、

終わり次第この公園で合流するのが、いつものパターンなんだそうだ。



「ごしゅじ~ん! おまたせしましたぁ~!」



 そうこうしているうちに、元気な声が駆けてきた。

手をぶんぶんと振っているが、それ以上に尻尾が引き千切れんばかりに暴れている。

今日もクロは、どこのワンコよりわんこしているなぁ……。

などと近所の子供達に目を細めるおじいちゃんのオーラを出していると、クロに睨まれる。



「うぅ~……。ごしゅじんの膝の上は、クロの特等席なのにぃ……」


「クロってば……。ごめんね、まくま君」


「あぁ、いいよいいよ。クロのご主人を盗っちゃだめだよな」



 カオリは慣れた様子で、噴水の縁にハンカチを広げ、俺をそこへ座らせた。

だが、すかさずクロに抱き上げられガッチリと抱きしめられる。



「ごしゅじんの膝の上はクロの指定席ですけどっ!

 まくまさんの指定席はここですぅ~!」



 鬼若に引き続き、クロにも懐かれてしまったようだ。実はベルも気に入っているらしい。

どうやらそれには、まくらの中身が関係しているらしい。中身ってのは契約石、つまり課金アイテムなのだが、その石の魔力によって、何やら来訪者にとっては心地いいのだそうだ。

人間にとっての、ゲルマニウム枕みたいなものなのだろうか?



「まぁ別に構わないんだが、休憩したらベルを呼んで特訓だからな?」


「は~い! 今日こそベル姉さまに勝つのです!!」


「張り切るのはいいけど、無茶しないでね?」



 俺達が公園で待ち合わせる理由、それは手伝いが終ったら集まるためだけではない。

お互いの契約者の特訓をするためだ。


 この世界に、どのような来訪者が居るのかわからない。

そして、誰と敵対することになるかも分からない。敵対せずとも、戦闘になる可能性はある。

ならば少しでも経験を積んで、強くなっていた方がいい。


 そう言ってカオリを説得し、クロの特訓をする事になったのだ。

少し不安そうな顔で、クロの頭を撫でるカオリ。彼女には悪いが、本人のためでもある。


 そしてその相手、それはベルに任せる事にした。

なぜなら、鬼若が相手をすると、初撃で試合終了になるからだ。

その点ベルならば、“3ターンの溜め時間”があるため、クロの練習になると考えた訳だ。


 もちろん、ベルのレベル上げ育成も兼ねている。

実は前にやろうとしていたベルの育成は、本人から丁重に断られた。



侍女メイドとしてお世話する者に、強さは必要でありましょうか。

 そして何より、経験の伴わぬ強さに、意味などございましょうか。

 貴重なアイテムであれば、我よりも優先すべき者もおりましょう」



 といった具合の返答だったわけだが、まぁ一理あるかな、と思う。


 元々SSR★7であれば、ある程度の強さは保障されているのだから、今後のために取っておいて、全体の戦力を底上げする方が得策だ。

それに戦闘バトルをすれば、微量ながらも経験値を得てレベルアップできる。経験の伴った強さと言うのはどういう事かは分からないが、ゲーム内の人物達に言わせれば、その方が強いという事なのだろう。たぶん。


 冷静に現状を分析できるベルだからこその進言だったし、俺の事を思っての事だろうから、無理強いするのも気が引けたし、やめておいたのだ。


 けれどGLvを上げるための特殊素材はベルにしか使えないので、いずれLvが上がり、GLvを上げる時にと、自身で使えるように渡しておいた。

これはベルも反対する事無くすんなり受け取ってくれたので、俺のクエスト周回は無駄ではなかったと思う。


 その時に俺がこの姿に転生した理由と思われる事に気付いたが……。

まぁ、これはいずれガチャ神に答え合わせをしてもらおう。


 ってか、放置されてるわけじゃないよね? たまには姿見せるんだよね?

うーん……、ガチャ神だからなぁ。ほったらかして遊んでても不思議ではないが……。

「残業からの帰還。ガチャ神じゃ」


復帰一発目ですが、今回は質問が来ています。

あ、ちなみに来たのはなろう版での話な。以下一部抜粋。


『”ゆっくりしていってね!!”は書籍化出版できないワードだと思いました。

 そこだけ黒塗りにされてしまいます…』


「くぅ~、しかと胸に響いたのじゃ……」


危ない橋をさらに巨大ハンマーで叩くようなマネはやめろ。


「第二回ガチャ神の法知識コーナーじゃ!!」


スルーして唐突にコーナー始めるのもやめろ。


「今回の案件、残念ながらセリフだけで訴えるのは難しいのじゃ」


あ、そのまま続けるのな。俺の扱い慣れてきやがったな。


「長いセリフならまだしも、今回の場合は普通に使う事もある言葉じゃからな」


まぁ、確かにセリフ全部に著作権があるなら、日本語が喋れなくなるもんな。


「しかし、映像や画像との組み合わせならアウトになる可能性もあるのじゃ」


今回は”ゴム鞠”とか”水風船”とか言ってるんですが……。


「少なくとも”饅頭”とは表現しとらんのじゃ」


待て待て待て待て! ここで言ったらアウトじゃね!?


「とは言っても、奴らは元々大手掲示板のチャンネルが、今より3つほど少ない頃の

 アスキーアートが元になっておる。ゆえに権利を主張するのが難しいのじゃ」


権利を主張すれば、”呑んだくれ猫”のように炎上するだろうしな。


「回避に専念しすぎて検索しても炎上の元ネタがわからんのじゃ……。

 ともかくじゃ。万が一、いや億が一……兆?京?」


”那由他が一”くらいでいいんじゃね?


「そのくらいの確率で書籍化した場合も、挿絵を回避するか、

 赤や黄色、青の妖精にでも差し替えれば恐らくセーフじゃ」


青い妖精は、さんすう教室始めそうだからやめような?


「そのネタが分かる人がおるのかのぅ……」


というか、この”爆死まくら”自体が元ネタ……、とまでは言わないまでも、

モチーフとして色々なところに着想を得てるしなぁ。


「中の人いわく、”1.2次創作くらい”らしいのじゃ」


まぁでも、危ない橋だから他の作者様は止めた方がいいね。


「書籍化を望むような人は特にそうじゃのぅ。

 ところで、後書きじゃから好き勝手しておるが……これ大丈夫かのぅ?」


今さらかよ。


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