前回のあらすじ
「不意に前世の事を思い出して、変死体として発見されるであろう事実に気付いてしまったのじゃ」
ガチャ神のワンポイント攻略情報③
「LvMAXのキャラクターに特定アイテムを与えると、グレードアップするのじゃ」
「GLvが上がるとLvは1から再スタートじゃが、育てればより強くなれるのじゃ」
鬼若の話を纏めると……。
俺が契約式を行っていたところ、晴天にも関わらず雷が俺を直撃した。
警護のために同行していた鬼若が近づくとそこに俺の姿はなく、黒焦げのまくらが落ちていたということだ。
まさかそのまくらが俺だと思うはずもない鬼若は、落雷の衝撃でどこかへ吹き飛ばされたのではないかと思い、あたりを探し回っていたのだが見つからなかった。
途方に暮れていたのだが、契約主(つまり俺)と契約者(鬼若)の関係ならば、魔力を辿れる事を思い出し、俺を探したという。
そして行き着いた先でベルフェゴールが昼寝をしていたため、彼女がどこかに俺を隠していると考えた。
実際には手から落とされたまくらが魔力を出していた事から、俺がまくらへと姿を変えたと確信したらしい。
ちなみに雷に遭う前は普通に人間の姿だったようだ。
それにしても、考える時間を取ったというのに、鬼若の説明はあっちこっちとフラフラした話で、要約しないと内容が頭に入ってこなかった。
これは、俺がまくらに姿を変えたという事に混乱していたり、初動の遅れをごまかそうとしているのもあるのだろう。けれど、今後もこの主従関係が続くのであれば、少しばかり教育してやる必要がありそうだ。
「なるほど。我はその黒コゲのまくらを拾ったのだ。
不憫に思い、我の羽衣で新たなカバーをつけてやったがな」
「だから黒こげじゃなかったのか。ありがとう。
というか今の話だと、落し物を拾っただけだし、二人が戦う理由って無かったんじゃないか」
「うっ……、それはそうなんですが……」
俺の言葉に鬼若はバツの悪そうな顔をする。
「我が話を聞く耳を持たなかったのも原因のひとつ。
それに何事も起こらなければ、そのまま我のまくらコレクションのひとつにするつもりであったのだ。
この世界では、それは許される事ではないらしいのでな。非がある上に、勝負に負けてしまっては、こちらが引き下がるべきであろう」
「そうです! この女が主をさらったのが原因でありましょう!」
「戦闘前とは打って変わって、淑女な対応ですね。それに比べて、ウチの鬼若ときたら……」
やれやれというジェスチャーはできないが、さすがに鬼若も俺が呆れている事は分かったようだ。
小さく「悪かった……、です」とつぶやくのが精一杯の謝罪であったけれど。
ま、一応これで二人は和解したという事でいいだろう。
「それにしても、なんで鬼若が勝てたんだ?
俺の計算では十中八九といわず、確実に100%勝てないだろうと踏んでいたんだが」
否定の重ねがけに鬼若が涙目だが、ここはスルーしておこう。
それに今後の事を考えると鬼若の能力については知っておく必要がある。
今回“たまたま”勝てただけだとすれば、俺の運補正が掛かると、また勝てなくなるだろうしね。
「我には解らぬが、契約主たるお主であれば学園運営局の発表を見る事もできるであろう」
「ん? それってどういうこと?」
いじける鬼若をよそに、ベルフェゴールは丁寧に、解りやすく説明をはじめた。
やっぱお供に据えるなら、こういう美人秘書がいいよなぁ。
鬼若は強さが本物なら、ボディーガードにはなるかな。
「学園運営局は、我ら外の世界より来た者……。
この世界では来訪者と呼んでいるな。そやつらを技術と魔力でもって管理しておるのだ。
そして、その管理方法が変更されれば、我らがこの世界で使える能力も変わる。
契約主となれる能力を持つ者には、その管理状況の一部を、配布された端末によって通知されるのだ。
お主の端末を見れば、コヤツの能力が学園運営局によるものなのか否か、それくらいは知る事ができるであろう」
「主様、まさかそんな初歩の初歩な内容を理解されていなかったのですか!?」
「えっ、あれだあれ……。落雷のせい? で記憶が一部飛んでるんだ。たぶん」
鬼若はまた泣き出して、「姿だけでなく記憶まで奪われるとは、おいたわしや……」などと言いながら、俺をギチギチと抱きしめているが、ホントやめてほしい。苦しくはないけど、気持ちが苦しい。
でもこれで、俺がこの世界の事を知らなくても不審に思う事はないだろうし、ちょうどいいか。
「それで、その端末っていうのはどこにあるんだ? 俺はこんな姿だから、持つこともできないし」
「端末は来訪者にも管理用として配布されておるが、その形状は様々でな。
なにせ来訪者は人型とは限らぬから、望む形に変化するように作られておる。
今のおぬしなら、身に付ける形に変化しておるか、もしくは前に使っていた形状そのままで、どこかに存在するのではないか?」
知りたい事を端的に答えてくれるのだから、本当に優秀だ。
彼女は「ちなみに、我の端末はこれだ」と、首に巻かれた青い紙テープのようなものを指差した。
鬼若も負けじと「俺のはコレです!」と、手首に二重に巻かれた数珠のようなものを見せてくる。
鬼若の、この必死のアピールはいったいなんなんだろう。懐かれているのは……、悪い気はしないけど。
「それで、俺の端末はどこにあるんだ?」
「主様はいつも、蒲鉾板のような物でやり取りしておられましたよ」
「蒲鉾板?」
「それならば、中にあるのではないか? ちょっと失礼するぞ」
そう言うと、ベルフェゴールはおもむろに俺を脱がし始めた。
と言ってもまくらなので、まくらカバーを剥ぎ取られただけなのだが。
そして何の躊躇もなく、詰め物を入れるためのファスナーを開け、中に手を突っ込んでくる。
カバーを取るのもちょっとヤバさ感じたけど、これって人間なら、口の中に腕突っ込まれているようなものなんじゃ……。そう考えると気持ち悪くなるので、ここは必死に心を無にしよう。
「まくらカバーを取り替えて、いざ使おうとした時に、ナニか硬いモノがあったのだ……」
ごそごそと中を探りながらそう呟く。
なかなか見付からないのか、ぐっと腕を押し込まれ、気持ち悪さが限界に達しようとしていた。
実際には感覚というものはほぼ無い。だが想像してみて欲しい、麻酔をかけられていて痛覚などがないとはいえ、意識がある状態で体の中をごそごそと探られている様子を。
これはかなり精神的にキツいものがある。
「む……。あった、これではないのか?」
ズボっと引っ張り出され、やっと彼女の腕の圧迫から解放された。
俺はそういうのを快感に感じるタイプではない。なので、こういう責め苦はこれっきりにしてほしい。
俺にちょっとばかしのトラウマを植えつけながら取り出された物、それはスマートフォンだった。
あれ? 今回のタイトル伏字になってね?
「後半に続く、というやーつなのじゃ」
いつもながら短いのに、分ける必要性はあるのだろうか
「今回だけ4千文字越えるのも読みにくいからのぅ」
今章は投稿回数増えそうだな
「お菓子でも食べながら、ゆっくり眺めるのじゃ」
最高にウマいチョコレート菓子を頼む
「あ、ワシをパシリにするつもりなんじゃな……」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!